『横浜近代建築――関内・関外の歴史的建造物』増刷に寄せて
(公社)横浜歴史資産調査会副会長 吉田鋼市(横浜国立大学名誉教授)
『横浜近代建築』は、日本建築家協会の関東甲信越支部神奈川地域会に属する建築家の方たちによって編まれた横浜の近代建築の解説書である。現存の建物52棟と無くなった建物48棟が、すべて写真付きで掲載されている。無くなった建物も掲載されていることと、吉田新田開墾以来の横浜の都市の歴史も図版付きで簡潔に示されていることで、単なるガイドブックではなく記録書としての価値も備えている。現存の建物はすべて大判のカラー写真で、これも編集に関わった建築家の方によって撮られたようだが、その出来栄えはプロはだし。解説には、その建築を設計した建築家の顔写真付きのプロフィールが添えられており、なるほど建築家の方たちがつくった本だということがわかる。19世紀までは、建築家はみなまたすぐれた歴史家でもあったが、20世紀の後半という一時期、建築家が歴史を学ばないという傾向があった。歴史的なつながりのある景観を大切にする本来の建築家の姿がこの本に示されていてすばらしい。エールを送りたい。
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