暇猫のブログ

写真を撮ります。

暇猫の話、、その5

2009-08-26 16:42:28 | 暇猫の日記
先に行っていた弟の足にまとわりつくように、そいつはいた。

どちらかと言うと黄色に見える大きな目、

体はさほど大きくなく、されど、子猫ではない微妙な大きさ、

一見すると、
全身が真っ黒の毛に覆われているように見えるが、鼻の辺りからは真っ白な毛があり、それがお腹の辺りを覆っていた。
また、足は半分まで黒であるが、途中から白になるという、通称「靴下」を履いた猫だった。



俺は少々驚いた。

この辺りの猫は基本的に警戒心が強く、
餌を持たずに近づけば確実に逃げるやつばかりで、こいつのように人に慣れている猫はそうそういないからだ。

なのにコイツは、まるでうちの猫であるかのように弟に懐いているではないか。
これはいったいどういう事なのか?


しばらく、庭を走り回るそいつを見ながら考えていたが、
向こうは俺に気づいたのか、速歩で寄ってきた。


暇猫の話、、その4

2009-08-25 23:15:00 | 暇猫の日記
それからさらに30分ほど寝ただろうか。

足下で延々と点いているファンヒーターによって
乾燥した室内の空気を長時間吸っていたために、喉が渇き目が覚めてしまった。

部屋の入り口付近に置いてある冷蔵庫の扉を開てスポドリを飲もうとしたら、不意に入り口の戸が開いた。


そこにいた人物を目にして、俺は意表を突かれなかった。

背は俺よりも10㎝ぐらい低く、黄色のパーカーを着た少年が息を切らせながら戸に手を掛けていた。見紛うことはなく、うちの弟である。

息を切らせながらこう言った。
「兄ちゃん!猫がおる!」

特別、意に介さないように俺が答える。
「知ってる。それがどうした。」

バッサリである。基本的に家で家族と喋るときはあまり言葉を使わない。
だるいので返事すらしない、したとしても一言であることが多い、、、、良く喋る弟に対しては特に。


部屋から出たくない俺は、
しばらく入り口で問答していたのだが、あまりにうるさい弟に嫌気がさして、しぶしぶ外に出ることにした。
(ちなみに、俺の部屋は母屋とは別の納屋を改造した部屋で、戸を出るとすぐに外に繋がっている。)


部屋を出て、埃っぽい納屋の土間を出ると、そいつがいた。


暇猫の話、、、その3 

2009-08-24 17:04:02 | 暇猫の日記
ふと目が覚めると、
いつも通りの狭い部屋で、ファンヒータからは暖かい風が足下に送られており、
テレビでは教育テレビかもしれないが、花畑で踊っている着ぐるみが映し出されていた。



「、、、夢の内容はこいつか、、、」

眠りの浅いレム睡眠時には、
周りの環境、、、つまり音や震動などによって夢の内容に影響を与える事があると、物理の先生が言っていたことを思い出す。

しばらく、チャンネルを変えずにそのままその番組を見ていたのだが、


またしても、遠くで猫の鳴き声がする。


「にゃあ、、、にゃあ、、、」

音源を探そうとしたが、
体全体を動かすのは面倒なので、首から上だけを動かす。

首を人体における可動域限界のところまで捻ると、外に通じるガラス戸の向こう側からそれは聞こえるようだった。



音源の場所を確認したのち、顔を元の位置に戻す。
大方、近所の野良猫が人の家の庭で走り回っているか、喧嘩しているんだろう。

あのガラス戸の先に、猫の類の生き物はいるだろうが、野良ゆえに開けた瞬間に奴らは逃げてしまうのは目に見えている。
ならば、開けるだけ無駄であり、そこまで歩くのもおっくうなので、無視するのが一番である。


そう考えて、自分は再び目を閉じることにした。


暇猫の話、、その2

2009-08-23 19:57:16 | 暇猫の日記
2007年1月7日、、、

寒い冬の日だった。

短いながらも、
自分たちに休息を与えてくれた冬休みも、カレンダーを見ればあと二日しかなく、
課題があることを今更思い出して、憂鬱なことこの上なかった、その日、

彼はやってきた。


寒い日に、とことん部屋から出ようとしない俺は、
ファンヒーターの前に寝そべり、特に見てもいないテレビを視界に入れていたのだが、いつの間にか寝ていたらしい。




遠くで猫の鳴き声がする。

あー、、、これは夢なんだな、、、考えるまでもないことだが、猫が二足歩行するはずがないもんな、、、、
しかも、花畑で踊り狂う猫なんて、夢であるに違いない。

とはいえ、やつは楽しそうだ。
どうやらこちらに気づいたようで、一心不乱に踊りながらも、じわじわと近づいてくる。

無残にも踏み荒らされる花畑、、

そして俺の前で、右手、もしくは右足を上げながらこう言った。

「にゃあ」

と、、、、
なんなんだ、、、、そのどや顔は、、、どうせなら日本語を喋ればいいじゃないか、、、

などと、俺がいろいろなことにツッコみたい衝動に駆られ、どこから突っ込もうかと考えていると、、


残念ながら目が覚めた。


暇猫の話、、その1

2009-08-22 20:58:32 | 暇猫の日記
過去に、何度か言ったことがあると思うが、
このブログのタイトルや管理人の一人にもなっている、暇猫にはモデルが存在した。



猫の名前は「ヨウ」といった。
某打ち切り漫画の主人公の名から取って俺が命名したが、この命名の真相は今まで誰にも話していない。
(始めはエロゲのヒロインから取ったけど、後にオスであることが判明したため、改名)


”した”
”いった”


と過去形なのは、既に彼がいないからである。

自分が彼と過ごしたのは、約3ヶ月、高校も終わりに近づいた2007年の冬休みのある日に遡る。


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