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国内・海外問わず旅が好きです。以前のブログが、無料容量限界に達したのでその続きです。

50MHzトランシーバー「TRIO_TS-600」水晶発振の周波数調整

2024年07月22日 | 無線・ラジオ・家電・パソコン

 TS-600はトリオ社(現KENWOOD社)のヒット商品だった。50MHz帯はAMモードがまだまだ人気の時代において、満を持して世に出した10Wのオールモード機です。

 メーカー修理もできない古い機種なので、いくつもの不具合が出たが自分で修理して使っている。今までの修理記事は、旧ブログで紹介しています。TS-600は新スプリアス基準を満たすので、保証認定をとって免許状にも掲載されています。精密なVFO実装(今では当たり前)で、さらにオプションで5チャンネルの水晶振動子を入れられるようになっています。

 この機器は知り合いから買ったものですが、その局は若くて亡くなったので形見でもあります。(残念ながら病死でした)水晶は、CH1に51.0MHzが実装されています。(1MHz毎のバンド毎に使えるので、正確に言うと5X.00MHzの水晶です)

 52MHz以上のバンドを使おうと思ったら、オプションのバンド用水晶も必要です。52MHz台の水晶は実装してますが、53MHz台は未実装です。なぜ52MHzが必要かというと、当時のVK(オーストラリア局は)の免許は52MHz以上だったためです。52MHz以上で運用するVK局を呼ぶためには、オプションの水晶が必要でした。

 オーストラリアは、50MHz帯のすぐ近く(下の周波数)にTVQ-0というTV局がいたので、TVI防止のために世界標準の50.0MHz~52.0MHzはアマチュア局には免許になりませんでした。そのため、VKが開けると50.0MHz帯でビーっという、TVのアナログ映像信号の音が聞こえました。(VKが開いたぞとの目安にもなった)TVQ-0の周波数変更に伴い、VK局も50.0MHzから運用が許されました。

 53MHz以上は、一部のローカルQSO専用で使っている場合を除き、通常では使われていません。(これは今でも同じ)

 今ではメインで使うことはないのですが、夏場のEスポワッチ用に使っています。地方ではEスポが出ないと誰も出ていません。春になり、Eスポが出始めました。固定チャンネル1には水晶(51.0MHz)が入っているので、1CHでワッチをしていますがなんとなく周波数がずれている感じがします。

 「みんな微妙に周波数ずれてるやん、しっかりしてな」と思ったのだが、良く考えたらずれているのは自分だった。(そりゃそうだろう古い機器だし)

 それじゃということで、水晶の周波数調整を行うことにします。作業自体はいたって簡単ですが、調整用のマイナスドライバーが必要です。普通の金属製接密ドライバーを使うと、発振周波数が引っ張られるのでうまくいきません。

 上部のカバーを引っ張り上げます。カバーは2個のナイラッチで留まっているだけなので、手で引っ張ると簡単に開けることができます。メンテナンス性は良く設計されています。

 黒いつまみは、マイクゲイン用の調整用です。その右に水晶振動子が1つあります。TS-600は、1つの水晶で送受信が共用になっています。(当時の機器では、送信用・受信用に2つの水晶が必要な場合が多かった)水晶の右にはトリマーがありますが、水晶1つ1つにトリマー1個対応しています。(黒いソケット)

 チャンネル用水晶のさらに右には3個の水晶振動子がみえますが、これはバンド用の水晶です。(白いソケット)この機器は50.0MHzから52.99MHzまで使えるようになっています。

 チャンネル1を調整するためには、黒いソケット右の下から5個目のトリマを調整します。

 簡単な調整方法としてCALスイッチを入れると、各バンドの5X.00MHzの周波数でキャリアが確認できます。

 TS-600側のトリマーをゆっくり回転させて、Sメーターが一番振れるところで止めます。幅があるので中間点を探ります。なんとS5⇒S9まで振れるようになったので、ずいぶんずれていたようです。

 万一CALが発振しないようなら、他の50MHz帯トランシーバーを使って調整を行います。51.00MHzに周波数を合わせFMモードにします。アンテナは必ずダミーロードを接続し、最低出力で送信します。TS-600で受信ができなければ、少しずつ出力を上げていきます。受信できたら、トリマーでSメーターが最大に振れるように調整します。

 TS-600用のチャンネル用水晶とバンド用水晶は、当時トリオ社から純正オプション部品として販売されていました。こういうオプションは、当該機器の販売が行われている間は簡単に手に入りますが、製造中止になって何年も経つと手に入らなくなります。

 水晶振動子については、かつてはアマチュア向けに比較的お安い価格で1個から製作してくれる会社があったのですが、いまはほとんど無くなってしまいました。あったとしても特注品は高価で、おいそれとは手が出せなくなりました。TS-600用の水晶を頼んでみようかなと思ったのですが、費用対効果が見込めないのでやめました。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (かいちょうだべさ)
2024-07-23 21:22:18
これはまた懐かしいリグですね。
私が入社する遥か前の物です。
食堂の通路を利用して古い機種の展示コーナーがあったのですが(来客用みたいでした)、確かこれもあったと思います。
(会社創業時代のコイルセットも飾ってありました。)

昔のリグは水晶がズラッと並んでいましたね。
外からアクセスしやすいような構造にもなっていたかと。

PLLの時代になってからは水晶が基本は1つなので安定度は抜群になりましたが素人が修理、改造出来なくなりましたね。

高い機種だとTCXOは当たり前、オプションでOCXOも選択出来ました。

その後DDSが出て来るとアマチュアでは逆立ちしても手に負えないですね。
ここまで来ると測定機レベルです。

割とHP(現、キーサイトテクノロジー社)とかは測定器の回路を公表していて数百万円のSGとかの回路図も見ましたが、「こんなにカネ掛けれたらな…」としみじみ思ったもんです。

それと高周波測定機ってめちゃくちゃ重たいんですが、この重量の殆どは一つ一つのユニットを分厚いダイキャストケースに入れて遮蔽してるからなんです。

水晶を作ってくれる…、ありましたね。そういうサービス。

個人的に使おうかと思った時もありましたが、社会に出て水晶1つ1つの品質確保の難しさ、水晶発振回路の底しれぬ奥深さを知り結局使いませんでした。
その頃社内の水晶発振回路のワーキンググループの一員だった事もあるのですが。

なおグループ会社にケンちゃんデバイス、という水晶振動子やTCXOを作る会社があってかなりの比率でそこの物を使っていました。

単に組立だけじゃなくて、発振子用水晶の原石を買って来て切出し、研磨などもやっていたんです。

TCXOも作っていて、これらの製品は大手水晶発振子メーカーにもOEM供給していました。
小さい事業所でしたが技術力はかなりありました。今は解散してしまい勿体ないです。
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TS-600 (ブログ主)
2024-07-24 09:07:47
新しいブログの方でもコメント有難うございます。コメント第一号です(笑)
TS-600の記事は過去に何本か書いてますが、この時代の無線機は自分でなんとかなるレベルです。(故障個所にもよりますが)メンテナンス性も良く考慮されていて、調整するのが前提で設計されているなあと感じます。
水個人を相手にしてくれる晶振動子の会社も、すっかり無くなってしまって寂しいかぎりです。まあ個人相手は儲からないからしかたなんのでしょう。夏休みでしばらくブログ活動は休止しますが、記事は仕込み済みなので毎日1本20時に公開されますので宜しくお願いします。
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