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訴訟における離婚時の慰謝料分割請求について

2005年11月06日 | 民事訴訟法
 Q 離婚の際、相手方にはほとんど資産がなく、慰謝料を全額、即時に請求できない場合には、分割請求をできるのでしょうか? その場合、利子を付けることができますか?

 和解においては、両当事者が同意すればで当然にできますが、訴訟においては、分割請求はできますが、分割した金員に利子を付けることはできないと思います。
 ところで、少額訴訟(価額が60万円以下)の場合は、原告が希望しなくても、被告の資力その他の事情を考慮して、3年を超えない範囲で、裁判官が分割を許容する定めをすることができます(民事訴訟法375条1項)。少額訴訟の場合は、原告が希望しなくても、一定の要件の下に裁判官の裁量で行えるということです。

 どのような判決(主文)になるか分かりにくいですから、『Q&A 本人訴訟・少額訴訟』214頁・219頁(梶村太市外二名編、青林書院 1999年3月30日発行)から次のとおり転記します(発行当時の少額訴訟の価額は、30万円でした)。

「Q30
 貸金訴訟(残元本28万円)の少額訴訟で、元利金につき毎日7000円ずつの分割払い(利息については、残元本の支払完了まで毎月の残額に対する年18%の割合)とする和解ができました。少額訴訟では「分割払判決」もできるそうですが、それを希望するにはどうすればいいですか。
(中略) 
 この場合の請求金額は28万円、遅延損害金の利率は年18%の割合、遅滞に陥った日を平成10年4月1日、訴え提起の日を平成10年6月30日ということにします。」

「分割払いを命じる例
 一 被告は原告に対し、次の金員の支払義務のあることを確認する。
   1 元金28万円及びこれに対する平成10月4月1日から同年6月30日までの遅延損害金1万2565円の合計金29万2565円
   2 元金28万円に対する平成10月年7月1日から支払済みまで年1割8分の割合による遅延損害金

 二 被告は原告に対し、前項1の金員を次のとおり分割して支払え。
  1 平成10年11から平成13年6月まで毎月末日限り各9000円
  2 平成13年7月末日限り4565円
  
 三 被告が前項の分割金の支払を二回以上怠った時は、被告は期限の利益を失い、原告に対し第一項の金員を支払え。

 四 被告が期限の利益を失うことなく第二項の分割金を支払ったときは、第一項2の金員の支払い義務を免除する。」

 (注:ここでいう遅延損害金の利率は、利息制限法1条1項の「元本が10万円以上100万円未満の場合です。(筆者))

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