映画 &音楽マニア

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奇術師

2007-05-08 19:52:39 | 読んだ本のこと
ラストに驚く、幻想的なミステリー小説。

ヴィクトリア朝末期のイギリスに名を馳せた
瞬間移動芸を得意とする2人の天才イリュージョニストの物語。

映画を観る前に(これは「プレステージ」の原作です)読みなおしてみたけれど、やっぱりこの小説は読み出したらとまらないほどおもしろかった。物語の軸となるのは、お互いにお互いを敵視し合っている
アルフレッド・ボーデンとルパート・エンジャという2人のイリュージョニストの物語。で、その外枠に彼らのひ孫であるアンドルーとケイトの物語があり、彼らが2人の残された日記や手記を読み進めながら、その2人の「謎」に迫っていくという感じです。この小説のおもしろいところは、後から出てくるもう1人の手記を読むと、それまでに知った事実がまた違った風にみえてきて「一体どうなってるんだろう?」と謎が倍増していくところと、ニコラ・テスラという実在した科学者の史実を交えて物語を展開していくところ。ラストで明らかになる「謎」にもびっくりさせられました。

私がこの作品の映画化の話を知ったのは、この原作をはじめて読んだときのあとがきでだったけど、楽しみな反面、この小説を映画にするのはかなり難易度が高そうだなぁとも思いました。あとがきには<クリストファー・ノーラン監督でジュード・ロウとガイ・ピアース主演で映画化されるらしい>と書いてあったけど、実際の主演はその2人ではなく、ヒュー・ジャックマンとクリスチャン・ベールになっていました。個人的にはジュード・ロウとガイ・ピアースのほうがキャラクターのイメージにあってたんだけどなぁ…。映画のストーリーをみるかぎり、原作に忠実というわけでではなさそう。でも、結構楽しみにしている作品です。主演の2人はイメージと違うけれど、パイパー・ペラーボが出てるんだもん! これは観なきゃ! ただ、ひとつ許せないのが「ルパート・エンジャ」が「ルパート・アンジャー」になってるところ。なんで「アンジャー」にしたんだろう??? 原作の日本語訳どおり「エンジャ」でいいじゃん 

〈プラチナファンタジイ〉 奇術師

早川書房

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MAKE 5 WISHES

2007-05-01 20:03:57 | 読んだ本のこと
"MAKE 5 WISHES" これはアヴリル・ラヴィーンがコラボしてるマンガ。

主人公は家庭にも学校にも居場所がないと感じている女の子ハナ。
アヴリル・ラヴィーンが彼女のヒーロー。
彼女の曲を聴き、想像上の彼女と話すことがハナの心の支えとなっていた。
そんな彼女はある日、ネットでmake5wishes.comというサイトを見つける。
今の状況から抜け出したい彼女は、アヴリルの制止をふりきり、
願い事が5つ叶うという箱を注文してしまう。
箱の中に入っていた悪魔によって、彼女の願いは次々と叶っていくのだが…。

MAKE 5 WISHES購入する前はマンガにしては値段高いよなぁ(約13$でアマゾンでも同じくらい)と思ってたんだけど、届いたらその値段にも納得しました。オールカラーで紙も上質なんだもん。アヴリルからのコメントも掲載されてます。
 このマンガを発売してるDEL REY MANGA社は日本のマンガ(主に講談社の)を出版しているアメリカの出版社。だからなのか、絵が日本のマンガっぽくていいなぁ。で、このマンガ、読み出したらはまってしまいます。 ハナというキャラクターにものすごく感情移入できるし、ハナに何が起こるのかとても気になってドキドキするし、ストーリーも深いし。その上、アヴリルまで登場するから(ハナのイマジナリー・フレンドだけど)読む楽しみは倍増。早く続きが読みたくてたまらない。そこまで難しい英語ではないから、英語の勉強にもなるんじゃないかな。「アヴリル・ラヴィーン 5つの願いごと」というタイトルで日本版もゴマブックスから発売されているみたいです。MAKE 5 WISHESの公式ページにいくと、アヴリルの曲のインストゥルメンタルとともに各エピソードの画像がみれるから、気になる人はのぞいてみて下さい。(i-Tunesのポッドキャストでも同じようなのが配信されてます)

Make 5 Wishes 1

Del Rey

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ラビリンス

2007-04-16 21:49:42 | 読んだ本のこと
一言でいうと、カタリ派と聖杯伝説をモチーフに繰り広げられる壮大な歴史ミステリー
なんですが、正確には、歴史ミステリーをベースにしたロマンティックファンタジーかな。
フランス南部を舞台に異なる時代に生きる2人の女性アリスとアレースの物語が描かれています。
現在と過去(中世)の物語が平行して語られていくんだけど、
私が中世を舞台にした作品が好きだからか、中世の物語はものすごくおもしろかった。
(その当時異端とされていたカタリ派にまつわるストーリーにグイグイひきこまれて
いきました。その物語だけを1冊にまとめてほしいくらい)
それに比べると現代の物語はいまいち入り込めなかったかな。
中世の物語の続きが気になって仕方がなく、結果的に読み出したら止まらない作品だったけれど。
この作品で描かれる聖杯の真実は、正直「う~ん、どうなんだろう?」と思うようなものでした。
でも、まぁその真実があるから感動的な結末になったわけなのでいいことにしましょう。
読み終わって思ったけど、カタリ派についての予備知識があると結末はよめてしまうかも。
「ヒストリアン」が好きな人はそこそこ楽しめる作品だと思います。


ラビリンス 上

ソフトバンククリエイティブ

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ラビリンス 下

ソフトバンククリエイティブ

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ブラックストーン・クロニクル

2007-01-26 22:33:00 | 読んだ本のこと
映画にしても本にしても、ホラー/サスペンス物は大好きなんだけど、
これは本屋さんをぶらついていたときに目に付いてたまたま手にした本。
読んでみるとすごくおもしろくて、時間を忘れて立ち読みしてしまった。
その後図書館で借りて読みました…。

物語の舞台はアメリカの小さな町ブラックストーン。
その町にある今は廃墟となってしまった精神療養所の取り壊しが決定した時から不吉なことが起こり始める。その町の住人に誰からともなくプレゼントが届き、それを受け取ったものは殺されてしまうのだ。次々と出る犠牲者。一体誰が何のために?取り壊される精神療養所と何か関係があるのだろうか?

この本はアメリカでは「グリーン・マイル」のように全6冊を毎月1冊ずつ分冊して出すという形を
とっていたんだけど、日本では3冊分を1冊にまとめ上下巻で刊行されています。1冊(1部)ごとに、ひとつのプレゼントにまつわるストーリーが描かれているわけだけど、もし、日本でも毎月1冊ずつというスタイルで刊行されていたら、待ちきれなくてイライラしただろうなぁ。それほど1冊(1部)ずつの内容が濃く、おもしろくて一気に読んでしまった。でも、「次は何が起こるんだろう?」「結末はどうなるんだろう?」とものすごくひっぱったわりにはありがちなオチだった(と私は思う)から、そこが少し残念。全体的にはすごくおもしろかった。この人の他の作品も読んでみたいですね。

ブラックストーン・クロニクル〈上〉

求龍堂

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ブラックストーン・クロニクル〈下〉

求龍堂

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香水-ある人殺しの物語

2006-12-10 20:11:30 | 読んだ本のこと
「一生に一度しか出会わないだろうなぁ」と思ってしまうくらい風変わりなストーリーだった。

舞台は18世紀のパリ。匂いに魅了された男の物語。
その男グルヌイユは人一倍鋭い嗅覚を持ち、ありとあらゆるものを嗅ぎ分けられる。
そんな彼は今まで嗅いだことのない究極の匂いと出会う。
それは美しい少女から発せられる香りだった。その匂いを自分のものにしたいと思った彼は…。

描写がリアルだから読んでいると自分もその匂いを嗅いでいるような気になってしまう。ストーリーも変わっててほんとなんともいえないんだけど、ラストの展開も独特でなんともいえなかった。このなんともいえない読後感はほんと読んだ人にしかわからないです。不思議で奇想天外な小説です。
ちなみに、NIRVANA"Scentless Apprentice"はこの小説にインスパイアされて書かれた曲らしいです。

この前映画館に行ったときにこの映画の予告編をみてビックリ!!!まさか映画化されてるとは知らなかったです。この小説を映像化するのって無理なんじゃぁ…って思ってたけど、予告編をみた限りでは小説の世界観がちゃんと出てておもしろそうな感じがした。アラン・リックマンにダスティン・ホフマンも出てるからびっくりです。監督は「ラン・ローラ・ラン」のトム・ティクヴァみたいだから期待していいかも???
映画のレビューはこちら→「パフューム/ある人殺しの物語」

香水―ある人殺しの物語

文藝春秋

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ミネハハ

2006-11-20 20:08:26 | 読んだ本のこと
「エコール」の上映に伴ってその原作である「ミネハハ」が女優の市川実和子さん翻訳で刊行されました。
私のところは「エコール」が来年にならないと上映されないからその前に原作を読むことに。

タイトルの「ミネハハ」とはインディアンの言葉で「笑う水」という意味。
「私」の隣人である老婦人が謎の死をとげ、その老婦人が「私」に託していた原稿が
「ミネハハ」と名づけられた、彼女の少女時代の物語だった。
それは彼女と少女たちが森の中の寄宿舎で暮らしていた頃のミステリアスな物語。

19世紀にフランク・ヴェデキントによって書かれたこの小説は読んでるときもそうなんだけど、読み終わってからもなんともいえないフシギな感覚を味あわせてくれる小説です。いろんなことに対して「?」マークが頭の中をよぎるけど、その「答え」は提示されていないから読み終わっても「?」マークは頭の中に居座り続けます。でも逆にそれがこの本の魅力でもあると思います。自分なりの答えをみつけて「こういうことなんじゃないのかなぁ?」と想像するのが楽しかったから。それに情景描写がうまいので、ついつい自分の頭の中でその情景をイメージしてしまって最後まで自分の創造した世界にひたりながら読めるのがよかったです。
で、この小説はなんと、あの「サスペリア」を生んだ小説らしいです。
読んだらものすごく映画を観たくなってきました。
予告編を観たけれど、この世界をすごいうまく映画化しているような気がする。

ONGALOO (オンガルー)

リトルモア

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サーカス団長の娘

2006-10-19 16:10:25 | 読んだ本のこと
「ソフィーの世界」の作者がおくる不思議なミステリー。
主人公のペッテルは次から次へと沸きあがってくるアイデアを作家志望の学生や、
書けない作家に提供する、いわゆるゴーストライター。
自分の産み出した物語に翻弄されてゆく彼の人生が綴られています。
この作品はストーリー構成がうまいと思った。
随所にペッテルが産み出した作品が散りばめられているので、
読んでる本は一冊だけど、何冊も読んでしまったような満足感が味わえる。
その作品は社会風刺のものもあればサスペンスのものもありとさまざま。
それぞれを一冊の本として読みたい、と思ってしまった。
読みながら尽きることのないペッテルの創作力にも驚かされるけど、
実はこの作品を創り出した本物の作者であるヨースタイン・ゴルデルの
アイデアの豊富さがすばらしいわけで。
ほんと読み飽きることのない作品でした。

サーカス団長の娘

日本放送出版協会

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ガラダの豚

2006-09-05 13:23:06 | 読んだ本のこと
はじめて中島らもさんの作品を読みました。
新興宗教、超能力、そしてアフリカの呪術をモチーフにした娯楽サスペンス大作。
ページをめくった途端物語に引き込まれてしまい、大作ながら一気に読んでしまいました。
次はどうなるんだろう、とラストまでワクワク感が持続して読むのをやめられない。
登場人物のキャラクターも魅力的で、練りこまれたストーリーに夢中になりました。
怪しい新興宗教に警笛を鳴らし、手品師や超能力者が使っているトリックも明かされたり
と、すごく興味深い内容でかなりおもしろかった。
1990年代に書かれた作品だけど、
そういう怪しげな新興宗教がはびこっている現代にこそ読みたい本だと思う。
これを読めばその怪しさが理解できるし。
それにしても、いろんなことを細かくリサーチして物語の中に取り入れてるのがスゴイよなぁ。

ガダラの豚〈1〉

集英社

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ガダラの豚〈2〉

集英社

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ガダラの豚〈3〉

集英社

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インド旅行記1 北インド編

2006-08-31 14:06:21 | 読んだ本のこと
中谷美紀さんは、以前「ヘイ、ヘイ、ヘイ」に出てるのを見て
「この人って天然???」と、とても不思議な印象を受けた人。
この本は彼女に「女優を辞めようと思った」といわしめるほどハードだった「嫌われ松子の一生」の撮影で、
精魂共に尽き果てた彼女が「リフレッシュしよう!」と向かった先インドでの出来事が綴られた旅行記です。
私たちが知らないインドの姿を垣間見れるのもおもしろいけど、
彼女が体験したいろんなエピソードもすごくおもしろかった。時に笑え、時に泣けて。
牛に激突された話とか、パスポート盗まれた話とか。
「うちには、ニコール・キッドマンやジェーン・カンピオンが泊まったのよ!」と
やたら自慢するヨガの先生がウケル。そしてそれに対して「私はそんな大女優ではないですから」と
心の中で謙遜していくくだりが笑えた。「イヤイヤ、そこまで謙遜しなくてもぉ」と思ってしまった。
初めて彼女の本を読んだけど、「やっぱり不思議な人だなぁ」と読み終わってからしみじみ思いました。
その不思議さがスキなんだけどね。
早く続きが読みたいな。

インド旅行記〈1〉北インド編

幻冬舎

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ねじの回転

2006-08-30 14:33:09 | 読んだ本のこと
ヘンリー・ジェイムズの「ねじの回転」はゴシックホラーの傑作です。

イギリスの片田舎の古い屋敷を舞台に繰り広げられる幽霊譚。
そこで暮らす幼い兄妹の家庭教師として赴任した若い女性の手記という形で物語は綴られています。
その幽霊が幼い兄妹とその家庭教師にしか見えないという設定や

緻密な心理描写が恐怖感をあおり、かなり
ひきつけられて夢中で読んでしまいました。
たまに背筋が「ゾクッ」となってしまった。これは、映画で観たらものすごく怖い気がするなぁ。
謎を残したまま終わるラストも味があってステキだなぁ、と思うけど、
このラストのおかげで文学上の大論争が起こったとか。
多くの批評家がこの本の根底には「同性愛的観念」が流れてるとゆったそうだけど、
それは深読みしすぎでしょう。
彼が描きたかったのは純粋な幽霊物語であり、それ以上でもそれ以下でもないと思う。

ねじの回転

新潮社

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