いつもより30分以上早く、朝食の席に美佳が降りてきた。
「今日は何かあるのかな?」と声をかけようとしたら、美佳「昨日、おかず入れを駅前のSドラッグに忘れてきました」。支度をしていた母が「2つとも?」と訊くと、美佳「はい」。
取り敢えずその日の分は別の容器を使うことにして、父「お店は9時からしか開かないから、帰りに寄ってきたら‥。もしなかったら新しいのを買えばいいから」と慰めたが、美佳「荷物が多すぎたから?」と失敗が頭から離れない様子で、そのまま早々に食事を済ませて飛び出していった。
母も朝から隣町まで出かけたが、昼すぎに帰ってきて言うには、「10時ごろ美佳から携帯に電話があったの。”今作業所に着いた”って言っていたから、駅前のSドラッグまで行ったのね」。
帰ってきた美佳に訊くと、「おかず入れはありませんでした」。朝、駅前のSドラッグまで行き開店まで待って確認し、それから作業所に向かったという。
こうと決めたら梃子でも動かない美佳。「人の意見を無視しやがって‥」と父はイラッ。