「自閉っ子」こんな風に生きてます

元気溌剌!「自閉症おねえさん」の生活記録

言葉の意味

2012-06-30 05:15:55 | 日記

 美佳が「今日、赤ちゃんに会った」という時は、本当に嬉しそうな顔をする。母から「触らなかったでしょうね」と念を押されると、「かわいい男の子の赤ちゃん」etc更に母を挑発して会話が弾むようになった。
 ”赤ちゃん”という対象物に対する感情を共有できるようになったことが、会話を成長させる基盤になっている。
 赤ちゃんを巡る会話のパターンは多くはないが、言葉と感情、ジェスチャーが一体となって、本当の意味での会話に成長しているように思う。”赤ちゃん”というテーマは、美佳にとっては数少ない”会話を楽しむ機会”になっているのだろう。

 最初のころは”単なる言葉遊び”の域を出なかったのが、会話を積み重ねシチュエーションを拡げていくうちに、言葉と感情がシンクロナイズするようになり、表情やジェスチャーが付随するようになった。
 こうした”言葉が意味するもの”のイメージを、他人と重ね合わせることができる対象を増やしていくことが、美佳の世界を拡げる契機になるのだが。


赤ちゃんに会った

2012-06-28 11:28:16 | 日記

 食事が終ったあと、美佳が太ももに指で何やら書いてニヤニヤ!「何をしているのか?」と不思議に思った父が、「ここに書いてみて」と手を差し出すと、手のひらに書いてくれたのだが皆目不明。父「なんて書いたの?」と訊くと、美佳は嬉しそうに「男の子の赤ちゃん」。

 赤ちゃんが大好きな美佳だが、バスや路上で赤ちゃんに会っても”絶対に触らない”よう、母から厳命されている。このところ、約束は守れているようだが、赤ちゃんに会えた日の美佳は上機嫌。
 赤ちゃんに会えた歓びを繰返し想いだして楽しむ・・・そのときに「男の子の赤ちゃん」「女の子の赤ちゃん」etc指で書くのが美佳のスタイル。ときには宙に書くことも・・。
 「今日、赤ちゃんに会った」とでも言おうものなら、母「どこで?触らなかったでしょうね」とチェックが入る。が、文字を書くことによって、情景を想いだし空想の世界に遊ぶのなら、例え母が横にいても干渉されない。
 いつでも好きな時に自分だけの世界に浸ることができる・・これは美佳にとって精神安定のための工夫なのかも。


出口のないループ②

2012-06-26 14:09:09 | 日記

 どうしても返してもらえないと分かると、美佳はミニパニック。「頭が痛い。利江叔母さんに電話します・・・」etcブツブツ言いながら戻っていった。母に訊くと、本当に利江叔母さんに電話をしたらしい。
 それで気が済んだのか、美佳は朝食のあと部屋の掃除を始めた。昼近くに顔を出すと、部屋のカーテンを外している最中。これから洗濯するのだと言っていたが、ご機嫌ナナメ。
 が、大声で喚かなくなったのは成長の証?それを褒めてリモコンを返すと、美佳はぶっきらぼうに「ありがとう」。

 そのまま父は外出し、帰ってきたのが3時半過ぎ。母に頼まれて洗濯物を取り込みに行くと、美佳がベランダにいた。午前中のふくれっ面はすっかり消えて、元気溌剌な明るい美佳。
 父「あっ、やってくれてるの。ありがとう」と言って、部屋に戻り書類整理をしていたら、美佳「お父さん、これ!」と、畳んだ父の分を持ってきてくれた。美佳としては最大限のサービス?
 何かのキッカケで気分が大きく変わる美佳。「どうして?」と訊いても「教えない」。分からないですねえ!


出口のないループ①

2012-06-24 12:12:42 | 日記

 月曜日の朝6時半頃、美佳がやってきて「頭が痛い。作業所をお休みします」という。
 土曜日は午前中に作業所へ行き午後からSD会、日曜日はNS会で遊んで疲れたのは分かるけど、「(作業所へ)土曜日に行っても、月曜日に休んだら意味ないじゃん」と父はイラッ!
 確か先々週も同じパターンだった。が、早朝から叱ってもパニックになるだけ。「じゃあ、ゆっくり寝ていなさい」と言って部屋に帰した。

 で、8時過ぎに行くと美佳は寝ていたのだが、部屋のエアコンは稼動中。美佳は体調が悪いと、エアコンなしでは居られない。「寝るときはエアコンを切る」という約束はどうなったの?こんなにいい気候なのに・・。
 頭にきた父はエアコンを切って部屋を出た。ところが、30分ほどして行くと美佳は熟睡中だが、またエアコンが動いていた。で、父は再びエアコンを切ってリモコンを隠してしまった。
 10時過ぎ、美佳がきて「お父さん、リモコン返して下さい」->父「どうして約束を守らないの?」->美佳「ごめんなさい」->「口先だけで謝ってもダメ」と父は強硬。


父の日

2012-06-22 11:36:34 | 日記

 夕食のメインは、美佳のリクエストで焼き餃子。いつも通り、母が準備した具を美佳が包む連係プレーで父の出番はなし。
 で、2階で本を読んでいると「ご飯ですよ~」の声。降りて行くと、美佳が「はい、これ」と差し出したのは、紙コップと紙皿のセット。コップには”ケーキとすももの絵”、紙皿には”花の絵”が貼り付けられた、結構手が込んだ作品。
 母「今使ったら」と勧められたが、勿体なくてしばし食器棚に飾って眺めることに・・。美佳にきくと、NS会で作ったのだという。

 と、ここまではよかったのだが、食卓の真ん中にはケーキがデ~ン。「え~っ!また?」と父は憮然。とは言っても、食べなきゃ仕方がないので、ご飯の量を減らすことに・・。
 少食の母などは割り当ての餃子さえ持て余し、「残りは明日にするわ」とギブアップして、ケーキもほんの少し口にしただけ。
 それを横目に黙々と食べていた美佳だが、そのうち「もう食べられない」と餃子を1/4近く残して満腹宣言。ダイエットに目覚めたのか?単なる母の物真似か?まあ、いい傾向ではあるけれど・・。


プレゼント

2012-06-20 15:22:29 | 日記

 6月に入ってすぐに美佳がやってきて、「お父さん、父の日のプレゼント、どうする?」。
 そう言われても、父にはとっさに思い浮かばない。母が「欲しいものがないみたいだから、お手紙でも書いてあげたら?」と助け船を出してくれたが、美佳は「・・・」。母がいろいろ宥めても、美佳は「プレゼントを買う」と譲らない。結局、父「ポロシャツにして」で決着。
 すると次の日曜日、美佳が衣料スーパーNの袋を提げて帰ってきた。濃紺のポロシャツはご丁寧に包装され、リボンまでついている。父の日には早いが、折角なので受け取る。

 ところが数日後、洗濯したあと畳もうとして、前ボタンの脇が1センチほど裂けているのに気がついた。調べてみると、ミシン掛けの加工ミス。
 電話で確認すると交換してくれるというので、現物持参でお店まで。ところが、他の色は残っていたが濃紺だけは売り切れ。ということは、美佳も結構いいセンスをしているということ?
 結局、似た濃紺のシャツに換え、帰って美佳に見せたが「はい」と気のない返事。気に入らないねえ!


パンツがない!

2012-06-18 11:06:19 | 日記

 朝6時前に美佳が寝室にやってきて、母のタンスの前でガサゴソと探しもの。目覚めた父が「どうしたの?」と訊くと、美佳「黒いショートパンツがない」。
 美佳によれば、前日プールで泳いで帰ってきて、シャワーを浴びるまで黒のショートパンツだった。シャワーを浴びてパジャマに着替えて・・・朝になって、ないことに気がついたという。
 仕方なく、父も一緒になって家中の部屋を探し回り、脱衣所や洗濯機の中まで探したが見当たらない。結局、それで美佳の気持の整理がつき、母が起きたら聞いてみることで納得。

 ところが7時半過ぎ、寝室に入ってきた美佳がゴミ箱の脇から何か持っていった。見ると、黒のショートパンツ。父「あったの?」と訊くと、美佳「ありました」。
 きっと昨夜も寝室で折込み広告を見ていたので、そこにショートパンツを置き忘れたに違いない。「なんだよ。黙って持って行くことないじゃない」とムクれた父が、「何故ここにあったと思う?」と質しても美佳は「・・・」。「だから最初からチャンと探せば・・」とでも言いたかったのか?


睡眠不足

2012-06-16 20:48:32 | 日記

 このところ、急激に変化する気候に身体がついていかないようで、美佳の顔色は冴えない。今朝も、「体調が悪いので、(作業所へ)遅れていきます」と言って起きてこない。「またかよ!」と父は憮然。

 美佳は姉と張り合ってか、寝るのは12時前後。それが、朝5時前には起きて、NHKニュースを見てからラジオ体操をして洗濯機を回し、また一眠り。7時半ごろには起きて、身支度して洗面所に降りてくる。睡眠時間はネットで5時間程度。
 最近は体重が増えたせいか酷く疲れるようで、部屋で一人静かなときなど居眠りをしていることが多い。それでも寝る時間を変えない。
 テレビを見ながら転寝して風邪をひいたりetcで朝起きられなくなると、作業所を遅刻もしくは休みで、体調回復を図るというパターンの繰返し。

 この悪循環を断ち切るには、朝5時のNHKニュースを見なければいいのだが、拘りが強くやめられない。だったら寝る時間を早くしたら・・・というのもイヤ!で、八方ふさがり。生活環境を変えない限り、打つ手なし?


ダイエット

2012-06-14 18:08:51 | 日記

 美佳が記入済みの体重表をもって父のところへやってきた。体重表を見ながら、父「美佳さあ、”体重計の数値-5kg”を記入するって約束、守っているよね。」に、美佳「はい」とは答えたが何となく不安げな顔。
 先日たまたま姉が居合わせたら、体重計の針は”記入数値+10kg”を指していたという。「あれじゃ体重表をつける意味ないじゃん」と姉は辛らつだが、美佳はときどき”こうありたい”という希望というか、”体重が減っています”という父母に迎合するような数値を捏造する。

 「本当に体重が減らないと意味ないじゃない」と、気がつくたびに訂正させているのだが、いつの間にか元の木阿弥。今年も新年の目標では「ダイエットします」と言っていたのだが、一向に実行が伴わない。
 母「あと10kg痩せたら、いろいろ可愛い洋服が選べるのに・・」と釣っても、ケーキの誘惑には勝てない。「正しい数値を記入して・・」と、もう何回も確認したセリフを繰り返す父もお疲れモードだが、これで諦める訳にはいかない。ネバー・ギブアップ!


定期券を落とした③

2012-06-12 18:39:56 | 日記

 ここまでは美佳も納得したが、「(新しい)定期券はどうしますか?」と、今度はそちらのほうが気になる様子。父「連絡が遅れているのかも知れないから、もう少し待とう」->美佳「何日までですか?」->父「あと3日。それでダメなら新しいのを買おう」->美佳「はい」で決着。

 ところで、翌日からのバス代は大丈夫なのか?心配になった父が「パスモに幾ら残っているの?」と訊くと、美佳「68円」。手持ち現金も少ないので、母に臨時交通費2,000円也の支給を申請。
 母「朝混んでいるバスで入金するのは迷惑になるから・・」と言われ、美佳がローソンへ行ってパスモにチャージしてきた。これで一区切り、となったのだが・・。

 翌朝美佳の部屋を片付けていた父が、余暇活動で使ったレジャーシートを干そうとしたら、ポトンと落ちてきたのは美佳の定期入れ。バッグに入れた時に、レジャーシートの袋に入ってしまったらしい。
 母から連絡を受け、夕方帰ってきた美佳はご機嫌。父の部屋に顔を出してひと言、「お父さん、ありがとう」。「えっ、それだけ?」と父は拍子抜け。