Prog-ING日記

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啓示空間

2006-08-17 07:43:29 | SF本

イギリスの新鋭アステア・レナルズの2000年作品。文庫本の限界を超える1039ページの大ボリュームですが、無駄な装飾など一切無くしっかりストーリー展開しているので、最後まで一気に読み倒せます。

時は26世紀、人類は恒星系への進出を果たしていますが、そこにはかつて異星の文明が栄え滅亡した痕跡が随所に有った。リサーガム星の文明を滅ぼした「イベント」の謎を調査すべく発掘調査隊を率いていた主人公シルベステは、リサーガムの政変により地位を奪われ幽閉されてしまう。一方、太古の戦争で使われた巨大宇宙船で、疫病にかかった為冷凍保存された船長の治療をすべく、シルベステの父親の知識を求めて航行するボリューワの一行はシルベステの故郷であるイエローストーン星に立ち寄った際に地元で暗殺者として生計を立てていたクーリを雇い入れリサーガム星系へと進路を取る。

宇宙空間には、太古の危険な知識を保管して通常空間から隠遁している種族がおり、その隠遁領域がいくつか発見されていた。その「啓示空間」は通常の方法で進入することは不可能だがシルベステとその同僚は精神を改変することで過去に「啓示空間」との接触に成功していた。一方、巨大宇宙船の中では、ボリョーワが前任の砲術管制担当者を発狂させ死に至らしめた原因「サンステイーラー」の謎の解明に取り組んでいた。そしてリサーガム星域で彼らの物語が交錯し、次第にこの宇宙の謎が明らかになっていくという展開。

科学的正確性に、近年のコンピューター技術やナノテクを背景に巧みなストーリ展開を併せ持ち「今年度ベスト1SFだ」との呼び声も高い傑作です。



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