Prog-ING日記

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REAL TIME

2007-07-22 08:48:13 | 音楽

SAXの入ったロックバンドというと、皆さんはどんなバンドを思いうかべるだろうか?ブルース・スプリングスティーン、チェッカーズ、ロキシーミュージック、ジェスロ・タル・・・・いろいろ有りますが、私の場合VAN DER GRAAF GENERATORでした。

VDGGは1969年から1971年にかけて4枚のアルバムを発表、しばらく解散していて、1975年から1977年にかけて、さらに4枚のアルバムを残したプログレッシブ・ロックバンドでした。最近知った所によると、プログレ界の大御所であるGENESISと同じ事務所・同じレーベルの兄弟バンドだったそうだ。それってかなりすごい。当時のGENESISはそれまでのライブパフォーマンスの概念を一新し、化粧&着ぐるみライブやパントマイムダンスを導入したカリスマボ-カリストPeter Gabrielと後のキーボード奏者に多大な影響を与えたキーボーダーTony Banksを擁していた。一方のVDGGも負けていない。今日まで根強いファンを持つ伝説のボーカリストPeter HammillとSAXで和音の出せる変態SAXプレイヤーDavid Jacksonを擁していたのである。

そのVDGGが2005年に唐突に再結成を果たし新作Presentを発表した。28年振りというからあきれる。で、事のついでにライブもやっちゃおうかと言うことで、2005年5月6日にロイヤルフェステイバルホールで録音したライブ版がこれ、REAL TIMEである。70年代の曲がそのままのアレンジで、但し最新の録音技術で収録されていて、ある意味ベスト盤かつリレコ版という見方もできるお買い得盤。VDGG入門編としてもいいかも。

聴いてみると、やっぱりVDGGは他に比べようもない。常識外れである。まず編成が変である。ドラムスのGuy Evansは良いとして、キーボードのHugh Bantonは今時使う楽器がオルガン。以上終わり。従ってこのアルバムでは常にオルガンの音がしている。そして管楽器担当のDavid JacksonはSAXとフルート担当。SAXを2本同時に吹いて和音出すこともある。最後がボーカルのPeter Hammillだが、Peterはたまにピアノも弾く、ごくごくまれにギターも弾く。でもホントにたまにであまり上手くない。と言うことは、このバンドはギターとベースが居ない。これはなかなか想像が着きにくいだろう。

基本的にDavidのSAXとフルートはオカズ専門で殆どデタラメに吹いてるんじゃないかと思うほどなので、歌の伴奏はHughのオルガンのみとなります。今回のライブ盤で改めて感心するのは、Hughのオルガンがいい音だしてるという事。アナログオルガンなので、深みのあるいい音だ。ベーシストがいないので、低音部はHughがベースペダルでカバーし、足で弾いてるんだけど、かなり速いフレーズも難なくこなしていて、足裁きに感心。でもって、足でベースパート、左手でコード部をアルペジオ、右手でオカズかソロ部を弾くというマルチオペレーションをしている。

PeterのボーカルがVDGGの売りなのだが、30年のブランクを感じさせない、パワフルな歌には脱帽。この人のは歌と朗読と吟遊詩人がごったまぜになったような物で、採譜がほぼ困難。音程やリズムの外し方がすごくて、それで居て音楽になっている。しかも声のトーンのバリエーションがいろいろで思わず引き込まれる。全体的に暗い曲調の物が多く、暗黒のイメージのなか、PeterのVoiceが闇を切り裂く感じです。

30年を経てこれだけの演奏ができてしまうところはさすがであった。



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