Prog-ING日記

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テインカー

2006-12-08 23:26:11 | SF本

早川書房さん。こういうアニメチックなカバーつけるの止しましょうよ。「またロリコンですか?」と言われちゃいますよ。で、ピッツバーグ在住の女性SF作家ウエン・スペンサーの2003年作品が本書「テインカー」である。

テインカーは本作の主人公で18歳になったばかりの物理学の天才少女。いとこのオイルカン以外、親類縁者のいない彼女はピッツバーグでスクラップ業をしながら発明に励んでいる。実は20年前のある日、中国が恒星系に植民船を送るべく設置した衛星を起動したところ、何とアメリカのピッツバーグを中心とした円形の領域がパラレルワールドに転移してしまったのだ。そこ移転先は科学技術の代わりに魔法力が発達し、不死を獲得したエルフ達の済むエルフホームだった。ピッツバーグと地球との交易のために月に一度の「シャットダウンデイ」には中国の衛星がシャットダウンし、ピッツバーグが地球に戻って物資の補給が可能になるのだ。

事件はそのシャットダウンデイに起きた。エルフの領主であるウインドウルフがテインカーのスクラップ場で何者かに襲われ瀕死の重傷を負ってしまう。まずい事にピッツバーグが地球に戻っている間、魔法力をたたれてしまうエルフは自力では回復が出来ない。エルフ世界の治療院にウインドウルフを送り届けようとするテインカーに人間でもエルフでもない何者かが襲いかかる。

こうして始まる事件をきっかけに、平行世界や人類の歴史伝承の謎、テインカー出生の秘密などが次第に明らかになっていく。そして18歳のテインカーをめぐる恋と、うっかり結納を受け取ってしまったためにウインドウルフと結婚してしまったテインカーの心の成長が描かれていく。

SFとファンタジーの境界線の作品だが、SFとしても楽しめ、アクション娯楽作品として素直に楽しめる作品だ。



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