プリズム
百田 尚樹 著 幻冬舎 / 2011.10
「僕は、実際には存在しない男なんです」
世田谷に古い洋館を構えるある家に、家庭教師として通うことになった聡子。
ある日、聡子の前に、屋敷の離れに住む謎の青年が現れる。
青年はときに攻撃的で荒々しい言葉を吐き、ときに女たらしのように馴れ馴れしくキスを迫り、
ときに男らしく紳士的に振る舞った。
激しく変化する青年の態度に困惑しながらも、聡子はいつして彼に惹かれていく。
しかし彼の哀しい秘密を知った聡子は、結ばれざる運命に翻弄され―。
とても興味深くて(というのも失礼な気がしますが)、あっという間に読み終わりました。
自信を感じられる程の徹底した取材、そして、それをもとにリアルさをもって百田さんの世界観で綴っているという印象を持ちました。
テーマは違えど、『風の中のマリア』に共通するものを感じ、かなり集中させられます。
解離性同一性障害、馴染みのない病気ではありますが、幼少期の虐待が大きな原因で、恐怖や苦痛から逃れる為に別人格を生むというのは理解できるなと思いました。
また、子供は想像力が豊かということもあり、それが別人格を生みやすいというのもなるほどと思いました。
知らないことがたくさんあって正直驚きましたが、この病気で苦しんでいる人がいるんだと思うと、虐待というのは本当にあってはならないことだと思いました。
ただ後半、聡子と卓也のロマンスが濃過ぎた感じがして、印象として、単なる恋愛小説になってしまったのがとても残念でした。
TBありがとうございました♪
またよろしくです♪