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座右の銘は
ほんの些細な幸せも、積もれば豊かな人生になる。
そんな自己満足万歳日記

『メタボラ』

2010年09月24日 11時03分04秒 | 独り言
やっぱり桐野夏生氏の作品は読んでて一気に惹き込まれます。

人が社会生活において退廃していく様が、容赦無く淡々と描かれている。
今回の『メタボラ』もそう。
私はどうもハッピーな物語よりも、桐野氏がよく描いている様な「どうしようもない所まで転落していく人間」をモチーフにした物語に興味が湧きやすいみたいです。
『メタボラ』主人公の1人、ギンジが抱える「嫉妬、孤独、引け目、嫌悪、風邪の様にぶり返すこれらの負の感情」なんて、大なり小なり誰もが抱えているものであって、自然とそこにあるもの。

私が興味があるのは、それらの負の感情に押し潰された後に人が行き着く先を、作者はどう描くのか。
ある作者は、希望を見出せるラストシーンにする。
これはこれで面白い。読んでいる自分も安堵するし 笑
しかし桐野氏の作品中の登場人物は、ラストまでとことん破滅的。
登場人物が開き直ったというか悟ったというか。
同作者の『グロテスク』のラストでは、美人過ぎる妹を終始蔑み嫌っていた公務員の姉が、結局最終的には妹と同じ売春の道を選んでるし、今回の『メタボラ』も、結局同じ過ちを繰り返して終わるのかよ、と。←まだ文庫版発売直後なので、一応ネタバレ控えます(^-^;)
躊躇無く登場人物を救い様の無い結末にしてしまう展開が気持ち良かったりします。
『メタボラ』のもう1人の主人公、ホストのジェイクなんかは本当にどうしようも無い 笑
けど憎めない。むしろバカ正直で真っ直ぐ過ぎて、ちょっと羨ましい面もあります。

読み始めて一気にのめり込んで、寝不足です(._.)
しかし既に次の睡眠不足の原因候補作品を探しております。

徐々に本の置き場が無くなってきた…(°-°)