昼休みに公園のベンチで気軽にコーヒーを飲んだり、通勤の移動中にのどを潤す…。自分用の飲み物を水筒に入れて持ち運ぶマイボトル文化は広く定着したが、その火付け役となったのがステンレス製魔法瓶メーカーのサーモス(東京都港区)の「ケータイマグ」シリーズだ。1999年の発売以降、飽くなき軽量化に挑み続け、昨年9月に最軽量モデルを発売。市場をリードする。
サーモス史上最軽量と銘打った「真空断熱ケータイマグ」の最新モデルは、発売から約8カ月の5月末までに130万本以上を販売した。人気の秘密は、何といってもその軽さだ。従来品に比べ約20~30%の軽量化を実現しており、同容量帯で最高クラスの軽さだ。ボトルを構成するステンレス板の軽量化技術の革新がある。
ケータイマグの第1世代が生まれたのは1999年。このときの板の薄さが0.5ミリで、重量は容量330ミリリットルタイプの場合で320グラムだった。それを発射台に、新潟県燕市にある開発部門とマレーシア工場の技術チームが薄さと軽さを極限まで追い求めた。最新モデルでは、下敷きのように薄い0.08ミリの板を実現し、重量は容量350ミリリットルタイプの場合で170グラム。第1世代から約50%軽くなった。
「他社に軽量化の先手をとられたあの日から『いつか見返してやろう』と誓った」。ステンレス製ボトルの超軽量化に挑んだ当時のマレーシア工場の技術部長だった古和康弘氏はこう振り返る。もともと世界で最初のステンレス製の魔法瓶は、サーモスの前身の日本酸素が1978年に開発した「高真空ステンレス製魔法びん」だ。それまでのガラス製と比べ、軽くて割れない。だが、その後、ステンレス製が急速に普及。マイボトルの分野も競合他社が追随し、差別化が難しくなった。
そこで「ウルトラライト&コンパクト」というテーマでボトルを革新しようと古和氏に指令が下った。持ち前のものづくり魂に火が付き「趣味じゃないの?」といわれるほどに古和氏は軽量化技術の開発に熱中したという。ステンレス製魔法瓶は、「外瓶」と「内瓶」との二重構造。その間を宇宙と同じ水も空気もなく、温度を伝えることがない真空状態にすることで、飲料の熱が外に逃げるのを防いでいる。
スリムな形状のケータイマグは、「ステンレス板そのものを薄くするとともに、2つのステンレス板の間の真空層をできるだけ薄くしつつ、保温・保冷機能と耐久性、容積を満足させなければならない」(サーモスマーケティング室広告宣伝課の山本敏雅マネジャー)。
板をあまりに薄くすれば強度を損なう。繰り返しシミュレーションして見いだしたのが0.08ミリという薄さで、真空層を1ミリ程度にするというバランスだった。古和氏は競合を引き離す軽量化技術への貢献度が認められ、2012年に社長賞に輝いた。
サーモス独自の製法にも秘密がある。ステンレス板を加工して外瓶と内瓶を重ね、1000万分の1気圧以下という高真空状態の「真空チャンバー」という特殊な装置の中に入れ、溶接し取り出すと真空層のあるボトルができる。この技術は「他社のベンチマークとなってきた」(同)。
ケータイマグで「一家にボトル1本」から「一人に1本」へ市場を広げたサーモス。激しい販売競争に打ち勝つために、軽量化とともに目指すのが、「ボトルを使うシーンを広げることだ」と山本マネジャーは語る。同社の調べによると、マイボトル利用者の7割超が週1回以上使っているという。それを8割以上に高めたい考えだ。
そのために「デザイン」「ボトルを切り口とした新しい生活スタイルの提案力」を重視する。真空断熱ケータイマグの新モデルでは、飲み口を外して洗えるシンプル構造とすることで手入れをしやすくしたほか、デザイン性や質感を高めた。スポーツ向けのボトルでは、生地を何層にも重ねて立体的にみせるポーチの開発にもこだわる。
「魔法瓶のパイオニア」として常に市場を牽引してきたサーモスが、次にどのような一手を繰り出すか。現在、年間2000万本という魔法瓶市場をさらに広げる努力は今後も続く。(臼井慎太郎)
非常に面白い記事なので紹介しました。さて、熱という物があります。物理的に言えば熱とは、振動エネルギーであると定義できます。高温は高振動、低温は振動の少ない状態で、マイナス273.5℃、絶対0℃は分子レベルで見ても振動の無い状態で、一切の変化(化学変化)が起きない状態と言えます。
この熱が伝達する方法は通常、接触による直接伝達と輻射による伝達の2種類ですが、接触による直接伝達は効率よく、輻射による伝達は効率が悪いと言えます。
地球上では通常、対流による伝達と輻射による伝達とされます。対流による伝達と言うのは、空気を構成する分子や水分子が高温の物体に直接接して、その振動エネルギーを吸収し、他の物質に接触して振動エネルギーを伝える・・と言う事になります。
輻射は、高温の物質から赤外線と言う形でエネルギーが放射され、赤外線は他の物質に吸収されてエネルギーは伝達されます。
「高真空ステンレス製魔法びん」は熱い又は冷たい液体をステンレス製の容器に入れ、この容器を周辺のステンレスとの接触面積を減らし、しかも対流が起きる空気分子から遮断して、熱伝導が少なくしているわけです。
自分もステンレス製の魔法びん型水筒を愛用しております。これから真夏に向かって、水筒を使用する事も増えると思います。
サーモス史上最軽量と銘打った「真空断熱ケータイマグ」の最新モデルは、発売から約8カ月の5月末までに130万本以上を販売した。人気の秘密は、何といってもその軽さだ。従来品に比べ約20~30%の軽量化を実現しており、同容量帯で最高クラスの軽さだ。ボトルを構成するステンレス板の軽量化技術の革新がある。
ケータイマグの第1世代が生まれたのは1999年。このときの板の薄さが0.5ミリで、重量は容量330ミリリットルタイプの場合で320グラムだった。それを発射台に、新潟県燕市にある開発部門とマレーシア工場の技術チームが薄さと軽さを極限まで追い求めた。最新モデルでは、下敷きのように薄い0.08ミリの板を実現し、重量は容量350ミリリットルタイプの場合で170グラム。第1世代から約50%軽くなった。
「他社に軽量化の先手をとられたあの日から『いつか見返してやろう』と誓った」。ステンレス製ボトルの超軽量化に挑んだ当時のマレーシア工場の技術部長だった古和康弘氏はこう振り返る。もともと世界で最初のステンレス製の魔法瓶は、サーモスの前身の日本酸素が1978年に開発した「高真空ステンレス製魔法びん」だ。それまでのガラス製と比べ、軽くて割れない。だが、その後、ステンレス製が急速に普及。マイボトルの分野も競合他社が追随し、差別化が難しくなった。
そこで「ウルトラライト&コンパクト」というテーマでボトルを革新しようと古和氏に指令が下った。持ち前のものづくり魂に火が付き「趣味じゃないの?」といわれるほどに古和氏は軽量化技術の開発に熱中したという。ステンレス製魔法瓶は、「外瓶」と「内瓶」との二重構造。その間を宇宙と同じ水も空気もなく、温度を伝えることがない真空状態にすることで、飲料の熱が外に逃げるのを防いでいる。
スリムな形状のケータイマグは、「ステンレス板そのものを薄くするとともに、2つのステンレス板の間の真空層をできるだけ薄くしつつ、保温・保冷機能と耐久性、容積を満足させなければならない」(サーモスマーケティング室広告宣伝課の山本敏雅マネジャー)。
板をあまりに薄くすれば強度を損なう。繰り返しシミュレーションして見いだしたのが0.08ミリという薄さで、真空層を1ミリ程度にするというバランスだった。古和氏は競合を引き離す軽量化技術への貢献度が認められ、2012年に社長賞に輝いた。
サーモス独自の製法にも秘密がある。ステンレス板を加工して外瓶と内瓶を重ね、1000万分の1気圧以下という高真空状態の「真空チャンバー」という特殊な装置の中に入れ、溶接し取り出すと真空層のあるボトルができる。この技術は「他社のベンチマークとなってきた」(同)。
ケータイマグで「一家にボトル1本」から「一人に1本」へ市場を広げたサーモス。激しい販売競争に打ち勝つために、軽量化とともに目指すのが、「ボトルを使うシーンを広げることだ」と山本マネジャーは語る。同社の調べによると、マイボトル利用者の7割超が週1回以上使っているという。それを8割以上に高めたい考えだ。
そのために「デザイン」「ボトルを切り口とした新しい生活スタイルの提案力」を重視する。真空断熱ケータイマグの新モデルでは、飲み口を外して洗えるシンプル構造とすることで手入れをしやすくしたほか、デザイン性や質感を高めた。スポーツ向けのボトルでは、生地を何層にも重ねて立体的にみせるポーチの開発にもこだわる。
「魔法瓶のパイオニア」として常に市場を牽引してきたサーモスが、次にどのような一手を繰り出すか。現在、年間2000万本という魔法瓶市場をさらに広げる努力は今後も続く。(臼井慎太郎)
非常に面白い記事なので紹介しました。さて、熱という物があります。物理的に言えば熱とは、振動エネルギーであると定義できます。高温は高振動、低温は振動の少ない状態で、マイナス273.5℃、絶対0℃は分子レベルで見ても振動の無い状態で、一切の変化(化学変化)が起きない状態と言えます。
この熱が伝達する方法は通常、接触による直接伝達と輻射による伝達の2種類ですが、接触による直接伝達は効率よく、輻射による伝達は効率が悪いと言えます。
地球上では通常、対流による伝達と輻射による伝達とされます。対流による伝達と言うのは、空気を構成する分子や水分子が高温の物体に直接接して、その振動エネルギーを吸収し、他の物質に接触して振動エネルギーを伝える・・と言う事になります。
輻射は、高温の物質から赤外線と言う形でエネルギーが放射され、赤外線は他の物質に吸収されてエネルギーは伝達されます。
「高真空ステンレス製魔法びん」は熱い又は冷たい液体をステンレス製の容器に入れ、この容器を周辺のステンレスとの接触面積を減らし、しかも対流が起きる空気分子から遮断して、熱伝導が少なくしているわけです。
自分もステンレス製の魔法びん型水筒を愛用しております。これから真夏に向かって、水筒を使用する事も増えると思います。
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