太陽光発電はにわか業者も参戦でバブル的な混乱、風力や地熱発電は潜在力を生かせず低調──。これが、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)初年度の総評となるだろう。
太陽光、風力、水力、バイオマス、地熱で発電された電気を国が定めた固定価格で一定期間、電気事業者に調達を義務づけるFITの導入は昨年7月。再エネの普及を促すため、当初3年は発電業者の「利潤」が特に配慮された結果、買い取り価格はコストに比べ高く設定された。
2012年度の買い取り価格は、大型の太陽光が1キロワット時当たり40円、風力が同22円(共に税抜き、20年固定)など、ドイツの現状の2~3倍だった(13年度は太陽光が36円に引き下げられた)。
こうした優遇策で発生したのが、太陽光、とりわけ非住宅での参入ラッシュだ。住宅向けはすでに09年から余剰電力買取制度が始まっていたが、非住宅向けはFITが最初。太陽光は価格で優遇されているうえに、稼働までのリードタイムが2カ月~1年と他の再エネに比べ短く、参入しやすい。そのため、さまざまな業界からの新規参入が相次いだ。
■ 太陽光の認定は原発5基分
FIT導入から昨年12月末までに、政府から認定を受けた設備容量は、非住宅の太陽光が385万キロワットと全体の74%を占めた。FIT以前の導入量が約80万キロワットなので、その4倍以上の設備が認定を受けたことになる。件数も3万を超え、1000キロワット以上のメガソーラーも742件に及んだ。3月末には500万キロワットを突破する勢いだ。
500万キロワットというと原発約5基分となるが、あくまで最高出力であり、夜間や降雨時に発電しない太陽光の平均設備稼働率は約12%にすぎない。それでも急増である。
「FITの効果は絶大。これまでインセンティブが少なかった非住宅の需要が掘り出され、設備認可や申請数は予測を上回る勢い」と、太陽光発電協会の亀田正明技術部長兼広報部長は話す。同協会では最近、発電システムの施工・設計業者を中心に会員増加が顕著という。
当然ながら、太陽電池メーカーへの恩恵は大きい。昭和シェル石油傘下のソーラーフロンティアは、昨年までは6~7割に低迷していた工場稼働率が、今年1月からはフル生産になった。国内パネル価格が海外より4割高で高止まりする中、原材料のバーゲニングパワー拡大もあって採算も急改善。今年1~3月期は05年の創業以来初の黒字浮上(減価償却後ベース)となったようだ。
一方、発電業者は新規参入組が多く、現場では混乱も少なくない。「今後は設備認定の申請書類に、土地の借用書を加える必要があるかもしれない」と、資源エネルギー庁の村上敬亮・新エネルギー対策課長は話す。大型設備の認定を受けたが、土地の確保ができておらず、運転開始前にギブアップするケースも出ている。同一の土地を前提に3件の申請が出されたこともある。現状では、こうした場合も3件と認定されるため、「設備認定の数字は非常に波乱含み。どこまで運転開始につながるかは読めない」(村上課長)。実際、FIT導入以降の非住宅の運転開始はまだ20万キロワットにすぎない。
■ 普及阻む送電容量の不足
設備認定が太陽光で急増する反面、その他の再エネの導入は緩慢だ。12月末までで風力が45万キロワット、中小水力や地熱はゼロに等しい。
20万キロワット以上の風力発電の新規設備で、FITの認定を受けたのは2件のみ。風力は昨年10月に環境アセスメントの対象となったことで、環境アセス後の設備認定にたどり着くまでが長くなった。最初の風況調査・住民説明に2年、環境アセスで3~4年必要とされる。さらに、建設にも1~2年かかる。
地熱発電にしても、日本は米国、インドネシアに次ぎ世界3位の潜在力を有するといわれるが、自然公園の規制や温泉への影響が壁となって、なかなか開発が進まない。
日本風力発電協会の斉藤哲夫企画局長は、送電線への接続問題でも強い懸念を示す。「風力発電のポテンシャルのほとんどが(風況のいい)北海道、東北に集中しているが、両地域は電力会社の送電容量が小さい。建築基準法や環境アセスの制約のない太陽光に送電線への接続枠を先に占有されてしまうおそれがある」。
送電容量のネックはすでに太陽光の接続申請で表面化している。エネ庁の村上課長によれば、バンク(配電用変電所の変圧器)の容量がいっぱいのため、申請どおりの接続を電力会社から拒否された太陽光発電事業者からの相談がすでに100件以上あるという。
エネ庁も「系統接続が再エネ拡大に向けた最大の課題」(村上課長)と認識し、バンク対策に乗り出しているが、中長期的には送配電インフラ拡充の抜本対策が欠かせない。都道府県別で再エネの設備認定が最大の北海道は、北海道電力の送配電インフラが貧弱だ。電力消費の多い首都圏に電気を運ぼうにも、本州と結ぶ「北本連系線」の容量は60万キロワットしかない。再エネ関係者からは、地域間(電力会社間)の連系線拡充、広域での電力系統運用の必要性が叫ばれている。
再エネ拡大の基盤となる電力システム改革も重要だ。消費者の選択を増やし、再エネ需要の促進剤となるのは電力小売りの全面自由化であり、送電網の中立性を担保し、市場のニーズに応じた受配電と設備投資を推進するのに不可欠なのが発送電分離だからだ。
4月2日、政府は電力小売りの全面自由化を16年メドに実施、発送電分離も18~20年の実施を目指す方針を閣議決定した。ただ、これは欧米からは10~20年遅れている。そもそも自民党政権は、原子力、再エネを含めたエネルギーミックス(電源構成)を20年までに決めるとして結論を先送りしている。再エネの推進政策は迷走したままだ。 (週刊東洋経済2013年4月13日号)
このような記事は、再生エネルギーが普及する事に利がある事を前提として書かれているので、本当はまずそこを検証すべきなんですが、それはひとまず置いて考えてみます。
再生エネルギーに関しても太陽光発電が本当に良いのか、風力は、小水力、地熱、いずれも色々な問題があり、これが良いという方法も無いのが現状で、とにかく再生エネルギーを増やそうと実施しているに過ぎないと言えます。
例えば太陽光発電を考えると、シリコン単結晶を製造する為に投入する膨大なエネルギーと、完成後に発電するエネルギー量を考えれば、決して太陽光発電は良い方法ではないと言えます。他にも夜間や曇り、雨では発電出来ない、あるいは発電効率が低いと言った問題があるのです。
風力発電は低周波振動を周辺に出したり、稼働率が非常に低い(風が吹かないと発電出来ない)と言う問題があるのです。
そして再生可能エネルギーの最大の問題は、発電出来ない時間帯をどうやって埋めるかと言う問題です。特に太陽光発電の場合は夜間や天候によって発電の可否が決まるので、発電出来ない天候や夜間は代替発電が必要となるのです。
日本の場合、ベースとなる火力発電(本来はこれは原子力発電)が24時間運転し、昼間はこのベース発電量に必要な発電量を追加する必要があります。追加する発電量に再生エネルギーを当てるわけですが、これも曇りや雨となると代替エネルギーが必要となります。
結局、太陽光発電や風力発電に相当する火力発電所を常にスタンバイさせて置き、必要があれば稼働させねばならないのです。
発電事業も事業である以上対価を求めるわけで、儲かる必要もあるので、儲かるとなれば殺到し、儲からねばだれもやらないとなります。
しかも日本全体で必要となる電気量は決まっており、それを徴収するのは電力業者で、電力業者のコストの一部を担当し、その儲けを取る事になるわけです。
この記事にあって、もっとも気になるのは「送電容量の不足」と言う問題でしょうか、元々の送電網は無きに等しいわけで、配電網の一部を流用したりしているわけです。本来なら発電所を建設すると同時に送電網を新たに設置する必要があるのですが、それにはコストが掛かるわけです。
太陽光、風力、水力、バイオマス、地熱で発電された電気を国が定めた固定価格で一定期間、電気事業者に調達を義務づけるFITの導入は昨年7月。再エネの普及を促すため、当初3年は発電業者の「利潤」が特に配慮された結果、買い取り価格はコストに比べ高く設定された。
2012年度の買い取り価格は、大型の太陽光が1キロワット時当たり40円、風力が同22円(共に税抜き、20年固定)など、ドイツの現状の2~3倍だった(13年度は太陽光が36円に引き下げられた)。
こうした優遇策で発生したのが、太陽光、とりわけ非住宅での参入ラッシュだ。住宅向けはすでに09年から余剰電力買取制度が始まっていたが、非住宅向けはFITが最初。太陽光は価格で優遇されているうえに、稼働までのリードタイムが2カ月~1年と他の再エネに比べ短く、参入しやすい。そのため、さまざまな業界からの新規参入が相次いだ。
■ 太陽光の認定は原発5基分
FIT導入から昨年12月末までに、政府から認定を受けた設備容量は、非住宅の太陽光が385万キロワットと全体の74%を占めた。FIT以前の導入量が約80万キロワットなので、その4倍以上の設備が認定を受けたことになる。件数も3万を超え、1000キロワット以上のメガソーラーも742件に及んだ。3月末には500万キロワットを突破する勢いだ。
500万キロワットというと原発約5基分となるが、あくまで最高出力であり、夜間や降雨時に発電しない太陽光の平均設備稼働率は約12%にすぎない。それでも急増である。
「FITの効果は絶大。これまでインセンティブが少なかった非住宅の需要が掘り出され、設備認可や申請数は予測を上回る勢い」と、太陽光発電協会の亀田正明技術部長兼広報部長は話す。同協会では最近、発電システムの施工・設計業者を中心に会員増加が顕著という。
当然ながら、太陽電池メーカーへの恩恵は大きい。昭和シェル石油傘下のソーラーフロンティアは、昨年までは6~7割に低迷していた工場稼働率が、今年1月からはフル生産になった。国内パネル価格が海外より4割高で高止まりする中、原材料のバーゲニングパワー拡大もあって採算も急改善。今年1~3月期は05年の創業以来初の黒字浮上(減価償却後ベース)となったようだ。
一方、発電業者は新規参入組が多く、現場では混乱も少なくない。「今後は設備認定の申請書類に、土地の借用書を加える必要があるかもしれない」と、資源エネルギー庁の村上敬亮・新エネルギー対策課長は話す。大型設備の認定を受けたが、土地の確保ができておらず、運転開始前にギブアップするケースも出ている。同一の土地を前提に3件の申請が出されたこともある。現状では、こうした場合も3件と認定されるため、「設備認定の数字は非常に波乱含み。どこまで運転開始につながるかは読めない」(村上課長)。実際、FIT導入以降の非住宅の運転開始はまだ20万キロワットにすぎない。
■ 普及阻む送電容量の不足
設備認定が太陽光で急増する反面、その他の再エネの導入は緩慢だ。12月末までで風力が45万キロワット、中小水力や地熱はゼロに等しい。
20万キロワット以上の風力発電の新規設備で、FITの認定を受けたのは2件のみ。風力は昨年10月に環境アセスメントの対象となったことで、環境アセス後の設備認定にたどり着くまでが長くなった。最初の風況調査・住民説明に2年、環境アセスで3~4年必要とされる。さらに、建設にも1~2年かかる。
地熱発電にしても、日本は米国、インドネシアに次ぎ世界3位の潜在力を有するといわれるが、自然公園の規制や温泉への影響が壁となって、なかなか開発が進まない。
日本風力発電協会の斉藤哲夫企画局長は、送電線への接続問題でも強い懸念を示す。「風力発電のポテンシャルのほとんどが(風況のいい)北海道、東北に集中しているが、両地域は電力会社の送電容量が小さい。建築基準法や環境アセスの制約のない太陽光に送電線への接続枠を先に占有されてしまうおそれがある」。
送電容量のネックはすでに太陽光の接続申請で表面化している。エネ庁の村上課長によれば、バンク(配電用変電所の変圧器)の容量がいっぱいのため、申請どおりの接続を電力会社から拒否された太陽光発電事業者からの相談がすでに100件以上あるという。
エネ庁も「系統接続が再エネ拡大に向けた最大の課題」(村上課長)と認識し、バンク対策に乗り出しているが、中長期的には送配電インフラ拡充の抜本対策が欠かせない。都道府県別で再エネの設備認定が最大の北海道は、北海道電力の送配電インフラが貧弱だ。電力消費の多い首都圏に電気を運ぼうにも、本州と結ぶ「北本連系線」の容量は60万キロワットしかない。再エネ関係者からは、地域間(電力会社間)の連系線拡充、広域での電力系統運用の必要性が叫ばれている。
再エネ拡大の基盤となる電力システム改革も重要だ。消費者の選択を増やし、再エネ需要の促進剤となるのは電力小売りの全面自由化であり、送電網の中立性を担保し、市場のニーズに応じた受配電と設備投資を推進するのに不可欠なのが発送電分離だからだ。
4月2日、政府は電力小売りの全面自由化を16年メドに実施、発送電分離も18~20年の実施を目指す方針を閣議決定した。ただ、これは欧米からは10~20年遅れている。そもそも自民党政権は、原子力、再エネを含めたエネルギーミックス(電源構成)を20年までに決めるとして結論を先送りしている。再エネの推進政策は迷走したままだ。 (週刊東洋経済2013年4月13日号)
このような記事は、再生エネルギーが普及する事に利がある事を前提として書かれているので、本当はまずそこを検証すべきなんですが、それはひとまず置いて考えてみます。
再生エネルギーに関しても太陽光発電が本当に良いのか、風力は、小水力、地熱、いずれも色々な問題があり、これが良いという方法も無いのが現状で、とにかく再生エネルギーを増やそうと実施しているに過ぎないと言えます。
例えば太陽光発電を考えると、シリコン単結晶を製造する為に投入する膨大なエネルギーと、完成後に発電するエネルギー量を考えれば、決して太陽光発電は良い方法ではないと言えます。他にも夜間や曇り、雨では発電出来ない、あるいは発電効率が低いと言った問題があるのです。
風力発電は低周波振動を周辺に出したり、稼働率が非常に低い(風が吹かないと発電出来ない)と言う問題があるのです。
そして再生可能エネルギーの最大の問題は、発電出来ない時間帯をどうやって埋めるかと言う問題です。特に太陽光発電の場合は夜間や天候によって発電の可否が決まるので、発電出来ない天候や夜間は代替発電が必要となるのです。
日本の場合、ベースとなる火力発電(本来はこれは原子力発電)が24時間運転し、昼間はこのベース発電量に必要な発電量を追加する必要があります。追加する発電量に再生エネルギーを当てるわけですが、これも曇りや雨となると代替エネルギーが必要となります。
結局、太陽光発電や風力発電に相当する火力発電所を常にスタンバイさせて置き、必要があれば稼働させねばならないのです。
発電事業も事業である以上対価を求めるわけで、儲かる必要もあるので、儲かるとなれば殺到し、儲からねばだれもやらないとなります。
しかも日本全体で必要となる電気量は決まっており、それを徴収するのは電力業者で、電力業者のコストの一部を担当し、その儲けを取る事になるわけです。
この記事にあって、もっとも気になるのは「送電容量の不足」と言う問題でしょうか、元々の送電網は無きに等しいわけで、配電網の一部を流用したりしているわけです。本来なら発電所を建設すると同時に送電網を新たに設置する必要があるのですが、それにはコストが掛かるわけです。
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