亜麻
(あま)(Flax)[ヘブライ語,ペーシェト,ピシュター; ギリシャ語,リノン]
古代から栽培されてきた植物で、今日と同様、普通、その繊維から亜麻布(リネン)が作られました。
アマ(Linum usitatissimum)は高さ30ないし120㌢ほどになります。
この植物の細長い茎は薄緑色の線形葉を付け、茎頂のところだけが枝分かれします。
枝もしくは小枝の先端には各々、濃い、あるいは淡い青色(まれに白色)の5弁の花が付きます。
亜麻は『花のつぼみを付ける』と、いつでも刈り入れることができるようになり、茎を引き抜いたり、くわで掘り起こしたりして刈り入れが行なわれました。
その後、亜麻は干されました。エリコのラハブの家の屋上にあった亜麻の茎は、そうした目的でそこに並べられていたものと思われます。
「だが、彼女はそのふたりを屋上に連れて行っていた。自分のため屋上に並べた亜麻の茎の間に彼らを潜ませて見えないようにしたのである」。
聖書(ヨシュア 2:6)
さやが取り除かれた後、亜麻の茎は完全に水に浸され、浮き上がらないように石の重しが載せられました。
亜麻は水に浸されると、木質部が腐って、繊維がほぐれました。
茎の外側の部分、つまり外皮がもろくなると、茎は水から引き上げられ、完全に乾燥するまで何度もひっくり返して天日にさらされました。
その後、亜麻は石板の上で木づちで打たれ、繊維が引き離され、梳いてきれいにされました。外皮のすぐ内側にある、品質の劣った繊維は灯心として使われ、
もっと白くて、品質の優れた繊維は紡いで糸にされ、硬い石の上で何度もたたかれて、仕上げられました。
もっと白くて、品質の優れた繊維は紡いで糸にされ、硬い石の上で何度もたたかれて、仕上げられました。
エジプトの際立った特徴である低地と沖積土は、亜麻の栽培に特に適していると言われています。
古代世界では,この国は良質の亜麻布で有名でした。したがって,亜麻と大麦を損なった、神からの雹の災厄は、エジプトの経済に深刻な打撃を与えました。
「モーセが天に向かって杖を差し伸べると、主(神)は雷と雹を下され、稲妻が大地に向かって走った。主(神)はエジプトの地に雹を降らせられた」。
「 亜麻と大麦は壊滅した。大麦はちょうど穂の出る時期で、亜麻はつぼみの開く時期であったからである」。
(出エジプト9:23,31)
後に、イザヤの記録した、エジプトに対する宣告によると、恥じる者の中に、「すいた亜麻で物を作る者たち」が含まれていました。
「すいた亜麻で布を作る者たちや、織り機で白い織物を織る者たちは恥をかく」
(イザヤ19:9)
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(イザヤ19:9)
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特徴
原産地はカフカス地方から中東にかけての一帯とされる。古代から中東やユーラシア大陸西域で栽培され、現在は各大陸で栽培される。
日本では冷涼な気候の北海道のみが栽培適地である。茎の繊維はリンネル(リネン)製品、種子は食用になり、搾油して亜麻仁油が採れる。
亜麻は大麻(ヘンプ)と誤解されるがまったく異なる植物種である。大麻よりも柔らかくかつ強靭で上等な繊維である。
古くは亜麻の糸を『ライン』(Line)といい、この細くて丈夫な亜麻糸からの連想で『線・筋』を意味する英単語になった。
フランス語ではランと発音され、ランジェリーはアマの高級繊維を使用した女性の下着に由来する。
また繊維の強靭性から劣質の繊維はテントや帆布として利用され、大航海時代の帆布はアマの織布である。
現在は大麻がロープや麻袋などに使われるのに対して、亜麻は、通気性・吸湿性に優れて肌触りが良いことから織られて高級な衣類などになる。
連作障害が起き易いため6~7年の輪作を行う。北海道では4月末から5月にかけて播種し、繊維用は7月末から8月に抜きとって収穫され、種子用途には1~2週間遅れて収穫される。
日本では、江戸時代・元禄の頃に小石川御薬園で種子(亜麻仁)を薬種として使用するために栽培された記録があるが、
当時は亜麻仁を中国から比較的安易に輸入出来たので栽培は定着しなかった。
本格的な栽培は北海道開拓の初期に榎本武揚によって導入され、第二次世界大戦中をピークに繊維用として北海道で広く栽培されたが、
化学繊維の台頭で1960年代半ばに栽培されなくなった。2002年に種子を食用に利用するために北海道の当別町で亜麻栽培が復活し、北海道亜麻ルネサンスプロジェクトが進行している。
2007年には当別町亜麻生産組合が設立されて、栽培技術の向上と普及に取り組んでいる。北海道独自の特用作物として亜麻の評価が高まるにつれて、十勝地方や上川地方に栽培が広がっている。
亜麻には産業用だけでなく、多様な園芸種がある。多年草の園芸種の亜麻は花が可憐なことや栽培が容易なことから愛好者が増加し、
北海道では一般家庭だけでなく、街路の植樹帯や公園でも栽培されている。
特に札幌市の麻生町や苗穂地区および当別町では、亜麻の歴史と文化の普及のために多彩な行事が開催されて、亜麻を生かした街づくりが行われている。
種子からは亜麻仁油(あまにゆ、リンシードオイル、フラックスシードオイル)が採れ、これは食用や塗料・油彩に用いられる。
アマニ油
100 gあたりの栄養価
エネルギー3,852 kJ (921 kcal)
脂肪100.0 g 99.98 g
飽和脂肪酸 8.09 g
一価不飽和脂肪酸 15.91 g
多価不飽和脂肪酸 71.13 g
ビタミン
ビタミンA相当量 (0%) 1 μg
β-カロテン (0%) 10 μg
ビタミンE(3%) 0.5 mg
ビタミンK(10%) 11 μg
他の成分
コレステロール2 mg
ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した。試料: 食用油
単位
μg = マイクログラム • mg = ミリグラム IU = 国際単位 %はアメリカ合衆国における 成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。
アマニ油(100g中)の主な脂肪酸の種類
項目分量(g)
脂肪 99.98
飽和脂肪酸 8.976
16:0(パルミチン酸)5.109
18:0(ステアリン酸)3.367
一価不飽和脂肪酸 18.438
18:1(オレイン酸) 18.316
多価不飽和脂肪酸 67.849
18:2(リノール酸) 14.327
18:3(α-リノレン酸)53.368
亜麻仁油(アマニ油)
亜麻仁油(アマニ油)は、成熟した亜麻の種子から得られる、黄色っぽい乾性油(空気に触れると固まる油)。
食用のほか、油絵具のバインダーや木製品の仕上げなどに用いられる。
亜麻の種子を圧搾、又はこれをつぶして溶媒で抽出することで得られる。代表的なω-3脂肪酸であるα-リノレン酸をはじめとする不飽和脂肪酸に富み、栄養サプリメントとしても販売されている。
沸騰させた亜麻仁油は油絵具のバインダーや、「オイルフィニッシュワニス」として木製品や皮革の仕上げに使われる。加熱することで亜麻仁油は簡単に重合・酸化するようになる。
最近では、VOCを放出しない溶剤としてシックハウス症候群対策の塗料に使われている。
また、亜麻の種は水かその他の水分と乳化し、卵の代用品として使用出来る。水分3に対し、亜麻の種は1ほどの割合で。
主に焼き菓子などの菓子作りに向いている。亜麻の持つ食物繊維も十分に取れ、さらに栄養素も高まる。
栄養学的には 100 gの亜麻の種には 450 kcalの熱量があり、脂肪 41 g、食物繊維 28 g、タンパク質 20 gを含む。
法規制
日本では、厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課輸入食品安全対策室より、10ppmをこえるシアン化合物が検出された
生の亜麻の実は食品衛生法違反として扱うよう通達がなされ、生の亜麻種子輸入者に自主検査を指導している。
海外では生の亜麻の実のほか加工した亜麻種子が食用として一般に販売されているが、日本への輸入の際には加熱加工した
亜麻の実の関連製品(Flax seedやFlax meal)であっても、基準値以上のシアン化合物が検出されると廃棄または返品処分となる恐れがある。
~Wikipedia~



2017-01-19の再掲