歴史の教訓 「失敗の本質」と国家戦略/兼原信克/新潮社/2020
第二次安倍政権を安全保障外交面で支えた、官僚が纏めた、近現代史の歴史書。
内容的に素晴らしいと思うのは、大東亜戦争開戦前の日本政府内の分析、終戦を導いた軍人たちのドラマである。
満州事変、仏印進駐を外交上の悪手であると言い切るところ、山本五十六の歴史的評価などは一読の価値がある。
何より素晴らしいのは日本語表現である。流麗であるばかりでなく論理性も兼ね備えている。著者の文章力、見識、歴史観には感心することばかりである。
安倍元首相が暗殺され、ウクライナ紛争が長期化、中共による台湾侵攻が囁かれている今、過去の歴史の教訓から我々は素直に学ぶべき時に来ている。この本は、その教材となりうる貴重な一冊である。
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