書こうかどうしようかと迷ったが・・・、
イクラの元飼い主であった親友のご主人が昨年旅立たれたそうだ。
私の親友だった友達は50代でガンにかかり、私がイクラを引き取って間もなく60歳を待たずして逝ってしまった。
彼女はとても愛犬家だった。
死を前にして、愛犬のことだけが気がかりなようだった。
ご主人は大会社の重役だったが、仕事柄出張が多く留守がち、とても犬を飼うことが出来ないし、子供たちは犬の飼えないマンション生活。
動物病院に連れて行ったが処分を断られたと言っていた。
我が家は保健所から、犬のボランティアさんを経由して我が家にやってきた雑種犬ラブという名前の犬を飼っていた。
飼い主は見つかっても誰にも懐かない犬だったので返されてきた。
ボランティアさんは困って我が家に電話してきたいわくつきの犬だった。
犬に慣れている私からしても大変な犬だったなと思う。
4か月の犬が、6時間餌も食べず、オシッコもせず部屋の隅で籠城。
その後、何とか私だけに心を開いたみたいだったが、
綺麗に洗って抱いていたら、虱がそこいらを飛び回った(@_@;)。(笑)
家族には慣れず、誰かが帰ってくると怖がって大騒ぎして吠えまくるという大変な犬だった。
イクラがやってきたのは、ラブが5歳くらいの時、
そのころラブは外飼いしていたので、何とかなるだろうと思って引き取った。
動物も飼い主が元気で飼える間はいいが、飼えない状況になると悲惨だ。
引き取り手がなければ、捨てたり、殺処分にされる場合がある。
イクラは状況を察知していたのかご主人に連れらえてやってきたが、帰られた後も吠えることも鳴くことも騒ぐこともなく後追いは全くなかった。
帰っていくご主人を黙って見送っていた。
余程友達に言い聞かされて我が家にやってきたのだろうか?
自分の運命をたんたんと素直に受け入れているように思えた。
面白いことに、後からやってきた小さなヨークシャテリアのイクラに先住犬は最初の対面の一撃でこっぴどくやられてしまった。
それからイクラより下位にランクずけされた雑種の先住犬はイクラに対してはオドオドとした態度をとった。
まさか中型より大きい先住犬がこんな小さな犬に負けるとは思ってもみなかったので驚きだった。
大概どこのお宅でも多頭飼いの場合ワンちゃん同士は仲良しだ。
おやつも分け合って食べて、一緒に散歩している。
イクラはプライドが高く、いつでも居丈高な態度で先住犬を見下した態度をとっていた。
ラブが保健所経由の野犬だった差によるものなのだろうか?
何となく賢いイクラはラブの素性を察知したのかもしれない。
その後も2匹の犬が仲良くなることはなかった。
そんなわけで、散歩は仕方なく短時間でも1日4回連れて出ることになった。
気が合って仲良く出来る多頭飼いはいいけど、仲の悪い多頭飼いは結構大変だ。
イクラが旅立った後、親友が仲良くしていた二人の友人とご主人4人で会食した。
その時のご主人のあまりの変わりようにみんな唖然とした。
会社で重役だったときは、立派過ぎて近寄りがたかったし、何となく怖くて、到底近寄れる存在ではなかった。
が、その時は、一転してにこやかで、穏やかで饒舌でまるで人が変わったみたいだった。
定年後は自分で毎日自炊、週1のゴルフとパソコンを習いに行っているとのことだった。「料理は私は上手いですよ。」と。
「お茶一つ自分で入れない。」と親友は嘆いていたが。
もう一つビックリしたことは老人ホームのボランティアに行っていると言われたことだった。
この変わりようは友達が亡くなったことが影響したのかもしれない。
ご主人のことを「トド」と言っていた亡き友が聞いたら、さぞや涙を流して喜ぶだろうと後でみんなで言い合った。
その後私とご主人とは年賀状のやり取りだけだったが、もう年賀状が来ることもない。ご冥福をお祈りします。
黄泉の国があるなら、ご夫婦とイクラ仲良く暮らしてね。