今日の一貫

政策決定プロセス 官と政のありかた  読売新聞

農政改革閣僚会合特命チームの議論は、官僚議論の限界と言うことに落とし込んでいる。
政策決定プロセスが改めて問われることになる。
7月9日、読売新聞に「政策点検・政策決定システム」が載っている。
引用しておこう。


[衆院選・政策点検](2)政策決定システム(連載)

2009/07/09 東京読売新聞 朝刊 4ページ 1831文字
 ◇09衆院選
 ◆政府と与党一体化/民主 族議員の圧力増大/自民
 民主党は次期衆院選の政権公約(マニフェスト)で霞が関の官僚主導による政策決定から政治主導に転換することを掲げる。自民党も公務員制度改革などを通じた政治主導強化の姿勢を見せてはいるが、「政府」と「与党」を使い分ける現在の政策決定システムを変えない限り、大きな争点となりそうだ。
      ◇
 「日本では官僚が『大きな政治』をやって、政治家は『小さな陳情』の受け皿をやっている。これでは大きな改革はできない」
 民主党の菅代表代行は8日、東京都三鷹市での都議選候補者の応援演説で、6月に訪英した際の逸話を交えながら訴えた。
 同党は政権公約で、政府に100人以上の国会議員を入れ、中央省庁の政策立案・決定を担うことを打ち出す。「脱官僚」ができなければ地方分権などは進まず、税金の無駄遣いもなくならないと見ている。党の政調会長が閣僚を兼務するなどした政府と与党の一元化も目標だ。“非公式ルート”で与党議員と官僚が接触すれば、首相が目指す政策が曲げられたり、癒着が起きると考えるからだ。首相補佐官など首相官邸スタッフや、各省副大臣・政務官の増員も検討中で、国家行政組織法改正案を政権交代後すみやかに国会に提出する方針だ。
 官僚側は気が気でない。
 6月中旬、旧通産省出身の藤末健三参院議員のもとに、あわてた様子で面会を求める経済産業省の官僚らが相次いだ。その数日前、党の経産部門会議で「複数省庁にまたがる中小企業対策を一本化するため、内閣府に中小企業担当相を設ける」という構想を議論したことが伝わったのだ。
 「どこの省庁が事務局をやるんでしょうか」「内閣府が大きくなるだけで、行政改革に逆行しませんか」――そんな問いに、藤末氏は「役人には今の枠組みを変えたくないという意識がある」と思った。一方で、「最近は理解を示してくれる官僚が増えてきた」とも感じている。
 民主党内でも、「官僚たたき」の印象が先行して改革の「負」の面への配慮を欠くことは得策でないとの声があり、“微調整”も行われている。
 例えば、閣議前に各省の政策調整を行う事務次官会議については、一時は廃止論もあったが、存続させる方向だ。党幹部は「事務次官会議を通さずに直接閣議にかける案件は増えるだろうが、各省庁横断の調整機能は無視できない」と語る。また、鳩山代表は幹事長当時、幹部官僚の政治任用を進めるため、「各省庁の局長以上はいったん辞表を出させる」としていたが、法律的に難しいと指摘を受けて撤回した。菅氏も官僚組織を「内閣をサポートする専門家集団」と位置づけ、専門家としての経験や知恵は尊重するとの立場を強調している。公約の目玉となる子ども手当や高速道路の無料化、農業の戸別所得補償制度なども、「詳細な制度設計は官僚のアイデアを活用すればいい」との声が出ている。
    ◇
 自民党政権は、特定の政策分野に強く、業界団体の支援などを背景に持つ「族議員」が関係省庁と連携し、政府の政策決定に関与してきた。政府(首相官邸)と党(族議員)の方針はしばしば対立し、族議員を通じた官僚の政策決定への影響力が目立った。公明党が与党に加わって以降も、この構図は基本的に同じだ。
 構造改革を旗印とした小泉政権は族議員を「抵抗勢力」と見なし、首相主導で政策決定を進めたが、麻生政権は小派閥出身の麻生首相の政権基盤が弱く、内閣支持率も低迷して、党側が相対的に強い。それは「経済財政改革の基本方針2009」(骨太の方針09)の過程を見れば明らかだ。
 「骨太の件では、ありがとうございました」
 厚生労働省幹部は骨太の方針09が6月23日に閣議決定された後、議員会館に与党の厚労族議員を訪ね、頭を下げて回った。社会保障費の自然増2200億円を抑制するとした当初方針を撤回させたことへの謝意だった。同省は医療現場の窮状を訴える資料やデータなどを族議員に提供、これをもとに族議員が首相側に方針撤回を迫る構図だった。福祉重視の公明党も「抑制は限界」(坂口力・元厚労相)と、圧力を強めた。
 同様の図式は、政府の地方分権改革推進委員会が勧告した国の出先機関改革の具体化の先送りや、関係閣僚会合と特命チームを設けてまで検討したコメの生産調整(減反)への選択制導入などの見直しが「骨太の方針09」に入らなかった過程でも見られた。
         
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