今日の一貫

船井幸雄先生 農業にコメント 農政改革閣僚会合もご存じだった

船井総研の大御所。船井幸雄氏。
船井総研の人々とは、マーケティイングコンサルや企業コンサルでたまにご一緒することがある。
今から15年以上も前に、「農業が元気になるための本」や「一点突破突破で元気農業」を出版したことがある。
その中で主張したことは、適地適作の地域の長所を伸ばすことや、地域のリーダー専業農家にやりたいことをやらせるという機関車農家論。
機関車が走れば、兼業農家である客車も牽引されてるうちに走れるようになる、、といった内容。

マーフィーの法則ではないが、当時の農村をつぶさに、しかもなめるように歩き、感じたものを法則として述べた本だった。
だから現場感覚を持った農業者には受けた本だが、当時の限界はそれを経営理論まで作り上げなかったこと。

それはともあれ、「元気農業」シリーズは、「長所伸張法」を主張していたことだ。これ船井コンサルタントの主張とうり二つだったことから、親近感を持っていたが、献本に対しても丁寧な礼状をいただいたことがあった。

この間本屋で、「資本主義崩壊最終ラウンド」 徳間書店を発見。
著者をみると、なんと船井幸雄先生と櫻庭雅文氏。
農業への言及もあり以下のような主張。

この内容、この部分を読む限り、拙著「日本農業は成長産業に変えられる」と似た主張をされている。農業成長の応援団がいたということ、、、ありがたいことといえそうだ。
そういえば、船井幸雄先生、元々京都大学の農業経済学科出身。農学部、農業経済に染まらなかったのがよかったのかもしれない。
実際農業へはひとかたならぬ関心をお持ちのようだ。


以下288P以降引用

「農業が雇用を受け入れ、本来あるべき国の姿を取り戻す」
 最後に、日本経済の今後を考えるとき、農業が大きな役割を果たすだろうことは、いまや議論の余地がないと言っていいほどだと思います。そこで、その点にふれておきたいと思います。

(中略)

 日本経済は完全に世界の資本主義経済のなかに組み込まれ、産業は完全に輸出主導の工業にシフトし、農業はまったく顧みられることがなくなってしまっていたのです。
 兼業所得が農業所得を上回る第二種兼業農家が農家全体の六一・七パーセントを占めるようになり、専業農家はわずか二二・六パーセントしかなくなってしまったのです。さらに減少した専業農家のうち、いまでは六五歳未満の男子がいる農家は四二・二パーセントしかないのです。
 これは、農家を自民党政権の集票システムとして利用し、農協に配慮した農政で、やる気のある専業農家の意欲をそいだ結果といえましょう。
 日本の農業は、いまでは技術の蓄積、資本の蓄積がほとんどできなくなっています。かつてオーストリア生まれのアメリカの経営・社会学者ピーター・ドラッカーは流通業を「経済の暗黒大陸」と呼びましたが、農業はまさにいまの日本経済の暗黒大陸となってしまったのです。
 しかしいま、大転換のなかで日本経済は本来の姿をとり戻そうとしています。
 二〇〇八年からこれまで、工業、すなわち第二次産業で雇用されていた人たちが雇用崩壊で職を失ってきましたが、これは農業への雇用シフトの条件が整ったということなのだともいえます。
 さらに、政府は農政改革関係閣僚会合を官邸に設置し、遅まきながら農政改革に乗り出しました。今後、減反の見直し、農地の流動化が実現すると、日本の農業は戦後の農地改革以来の変化の時代を迎えることになりそうです。
 農地の流動化により大規模な農業経営が始まれば、技術と資本が集約され、労働者の受け皿となり、新たな産業として農業は生まれ変わるでしょう。
農業が再生すると、工業から農業へのシフトによる雇用の確保だけでなく、輸出主導から内需主導の経済の実現による産業構造の立て直し、食糧自給率の向上と、日本経済が急速な経済発展のなかでいびつにしてしまった産業構造が、本来のありうべきかたちに戻ることになると思います。
そういう意味で、現在の経済危機は、日本が本来の国家としての姿を取り戻すチャンスともいえるのです。
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