今日の一貫

守るだけの農政と決別を  乗れねば悲惨TPPが日経に出ている。

日経11月1日に上記タイトルで「核心」に平田育夫論説委員長が書いているので、紹介しておこう。

また日経新聞の社説「TPP参加へ農業改革の方向早く示せ」も紹介しておこう。

平田さんの「核心」,正論と思う。
ただこれ、山下一仁著「亡国農政の終焉」(ベスト新書)のパクリ(と思われる)ので、同書も合わせ読むことをおすすめしておく。
 
山下の主張は、柳田国男、石黒忠篤等は、農政の本質を見極めていたという話。
柳田国男は、「保護主義ではなく、農業改良、農業の生産性の向上が必要」とするのが本来の農政とした。
石黒忠篤もその流れにあるというのだが、、.。
農政は、小作人の解放と零細農業構造の改善が二大課題だった。石黒忠篤は前者に努力した人。今日で言えば、零細農耕の固定化の系譜に連なるのだろう。
戦後の課題は、後者に移ったのだが、農政のトライアングル構造の構築によってそれが阻害されている。
山下は石黒忠篤を高く評価するが、評価の視点を、戦前の農水官僚に国士が多い点に置いている。
石黒忠篤も、国士として、農業は国の本だから尊いのであって、としてる点を評価し、「国民に高い米価を押しつけ、公的な農地を転用して利益を得るエセ農業」が国の本となる農業ではないと、石黒も言ってるのだと言うのが、山下の評価点。平田の引用してる部分。
現在においては、官僚、議員の中に、農政を本筋に沿って善導する国士ははたしていなくなったのだろうか。
「農業強化議連」を作ろうという議員はもはやいないのだろうか、?
 

守るだけの農政と決別を――乗れねば悲惨、TPP交渉(核心) 

  コメに限らず、小規模農家などへの保護は手厚い。保護は財政支援(納税者負担)と関税(消費者負担)からなる。日本は特に関税による保護が大きい。

  農家保護を数値化すると関税による保護の割合は日本が88%とEUの45%の2倍近い。図のように高関税の品目も多く、貿易自由化の妨げになっている。

  「3白」と呼ぶ白い食物のコメ、砂糖、牛乳は生産者の力が特に強く、関税率に反映している。

 政治力で高関税を維持するようでは、グローバル時代に生き残れない。せめて関税による保護から財政保護に変える必要がある。

 農水省元幹部の山下一仁・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹は、日本で食べる短粒種の中国産米が値上がりし、日本米に近づいた事実に着目する。

 「今のような高関税の必要性は薄れている。農地の集約を促すような所得補償方式に変え、減反もやめれば、規模の大きな農家を中心に生産が増え価格が下がる。その結果、関税を撤廃できるだけでなく中国などにコメの輸出を増やせる」と解決の方向を示す。

 内外価格差が縮小してきた乳製品も同じような方法をとれるとみる。

 どんなに努力しても外国産にかなわない作物については、農家に転業を促す道もあろう。米国には政府が転業を助ける「貿易調整支援制度」がある。

 一時的に財政支出が膨らんでも、減反奨励金を廃止し、農業土木をさらに削れば、長い目でみてかなりの財源を手当てできる。

 農水省出身でTPP問題の調整役を務める平野達男内閣府副大臣は「農村の高齢化で後継者対策が必要な今は改革の好機だが(TPP交渉参加に)1~2カ月では結論を出せない。個人的には超党派で話し合うべきだと思う」と早期の議論開始を呼びかける。

 それでも来年春に統一地方選を控え、農林議員らの抵抗は続くのだろう。

 振り返れば自民党政権の時代も農家には深情けで、そのやり方も稚拙だった。ウルグアイ・ラウンド(多角的通商交渉)では6兆円強の対策費を温泉ランドや農道空港などに浪費し、競争力向上に役立たなかった。

 ひたすら農家に甘いだけの農政では農業の将来はないし、日本経済を窮地に追い込んでしまう。

 農本主義者で、戦中に農相を務め「農政の神様」と呼ばれた石黒忠篤がこんな言葉を残している。

 「農は国の本なるということは、決して農業の利益のみを主張する思想ではない。……国の本たらざる農業は一顧の価値もない」

 現代の“農本主義者”も「国の本」が何か、よくよく考えてほしいものだ

 

 

TPP参加へ農業改革の方向早く示せ(社説)

2010/10/29  日本経済新聞 朝刊  2ページ  973文字

 米国が主導する環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への菅直人首相の参加方針をめぐり、与党内部も賛否が分かれ来週末の決定が危ぶまれる情勢だ。

 この協定交渉への参加は輸出を伸ばすためにも、国内製造業の一層の空洞化を防ぐうえでも重要である。問題は関税撤廃で打撃を受ける農家への対策だ。菅内閣は自由化に耐えられるようにするための農業改革の方向を早く示すべきである。

 チリなど4カ国が始めた自由貿易協定を基に、米、オーストラリアなど計9カ国は協定の拡大・改定を交渉している。これがTPP交渉だ。関税撤廃の例外を絞り自由化の度合いが高い協定を目指す。カナダ、韓国、中国も関心を示しており、日本も加われば巨大な貿易圏になる。

 協定に加われば関税がかからなくなり輸出は伸びる。もし参加しなければ米国などへの輸出が関税分だけ不利になる。企業が協定参加国に生産拠点を移すなど日本経済は大きな損失を被る。米国は来年秋の交渉妥結を目指していると伝えられる。政府は早く交渉参加を決めるべきだ。

 参加に反対する農業関係者を説得するためには、農産物関税の撤廃の影響を最小限に抑える政策が要る。

 その方向は「関税による保護から財政による保護への転換」だが、作物によって二通り考えられる。

 一つは、ある程度の国際競争力があり、しかも食糧安全保障に重要なコメなどの作物の場合だ。関税を撤廃しても生産を維持できるよう、農地の集約を促す所得補償方式を導入するとともに、減反を廃止する。今よりは大規模な農業が普及し、所得補償の総額を大幅に増やさなくても関税ゼロに耐えやすくなる。

 二つ目は、いかに努力しても大きな内外価格差が残ると予想される、コンニャクイモや砂糖などについてだ。ほかの作物の生産、あるいはほかの業種への転換を農家に促す。そのために政府が支援する。これに関しては追加的な財政支出が避けられない。

 それでも転換が済むまでの一時的な支出であり、これまでの農業補助のように、ずるずると保護し続けるのとは違う。

 農業の担い手が高齢化し、次の世代に引き継ぐべき時期にある今は、改革の好機ともいえる。所得補償を大規模農家に限るとしても、そこに土地を貸す小規模農家が今よりは高い地代を得られるようにすれば、納得をされやすいはず。

 こうした人口動態も頭に入れた賢い改革の方向を示してほしい。

コメント一覧

ベトナムコシヒカレ
ナンセンス
農業よりも、世界一、甘やかされている日本マスコミ。既得権益の塊。日本マスコミの落とし子の記者クラブ改革に繋がるのなら、TPP賛成ですね(笑)再販制度ぶっ壊して、一部30円ぐらいで読める海外ニュースペーパーが入ってきたら、消費者は大喜び(笑)日本の新聞社はぶっ潰れても仕方ない!だってバスに乗り遅れる訳にはいかないから(笑)
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