ガラルダ神父さま 土曜入門講座・聖書研究会 カトリック麹町 聖イグナチオ教会  †St.Ignatius Church†

キリスト教への理解を深め イエスさまの愛と救いを学ぶ 聖書のわかりやすい箇所を読み生きる愛するという意味を考えます

†10月6日の講義録†

2007年10月13日 | 講義録
★ルカ17章5~10節:赦し、信仰、奉仕★
・「もしあなたがたにからし種一粒ほどの信仰があれば、この桑の木に、『抜け出して海に根を下ろせ』と言っても、言うことを聞くであろう」という部分は誇張された譬え。
・ルカ18章25節の「金持ちが神の国に入るよりは、らくだが針の穴を通る方がまだ易しい」、マタイ26章24節の「人の子を裏切るその者は不幸だ。生まれなかった方が、その者のためによかった」などの箇所や、マルタとマリアなどにも見られる表現。
・この表現自体に引きづられずに、福音全体の中でその意味する所を捉えることが大切。
★マタイ19章3~12節:離縁について教える★
・結婚は愛における一体化であり、一体化における命。人生を分かち合う一体化、愛から生まれる一体化と言っても良い。お互いに全てを捧げ、2人の一体化から2つの命-①子供②2人の成長(精神的な命)-が生まれる。
・不法な結婚とはギリシャ語Porneiaの訳で、カトリックでもポルネイアな状態にある場合は、結婚自体が最初から無効であったとして離婚を赦している。
・キリストはSema<神を愛しなさい、人を大切にしなさい>という精神を最も大切にしている。この精神から一度結婚したら、忍耐と信頼感と忠実性で2人が離れないことを望んでいる。
・結婚には全ての人にGraciaがあるが、カトリックが定める7つの秘蹟の1つであり、洗礼を受けている人の結婚には秘蹟が支えるGraciaがある。洗礼によって秘蹟のGraciaを受け入れる心の門が開かれる。
・結婚の秘蹟は司祭は見届ける役目を果たすのみで、結婚する2人がお互いにGraciaを捧げるもの。この秘蹟は離婚を望まない為のGraciaであり、2人の愛を守る為の手段をお互いに約束する。
・結婚生活は狭い部屋に2人でいることに似ており、危機が訪れた時に①ドアから出て行く〝別れる〟②中から2人でドアを閉める〝一緒にいる〟という2つの選択肢がある。結婚生活に危機が訪れた際には、2つの“あい”で乗り切る→「話し合い」&「今の愛」。苦しいことがあっても、虚しいことがあっても、喜んで一緒にいる。但し、どうしても危機が避けられない場合は、神様がお赦しにならないということではない。聖書に書いてあることは、人を苦しめる為にあるのではない。
★マタイ19章13~15節:子供を祝福する★
・子供というのは、弱い立場の人と解釈しても良い。この福音は幼児洗礼について勧めているという解釈もあるがそれは拡大解釈。
・幼児洗礼は、大人になった時に危機が訪れる可能性があるがそれでも勧めたい。子供に4Kを避けることを早くから教え、深く喜んで生きる為の自信を付けられるから。キリストというぶどうの木に枝として結び付けられ、点滴の様に恵みを与えられるから、子供にとっても幸せである。
・もう一つの理由は、小さい時から教会の良い雰囲気に慣れさせて、「私の教会」という意識を持たせられる。
†振り返って†
・10月6日は、教会の向かう道すがらでさわやかな風の香りに気が付いた。何だろうこの懐かしいような不思議な匂いは…と思っていたらキンモクセイの香りだった。初めて研究会に参加した時にも、教会前のキンモクセイが香っていたことを思い出し急いで教会に向かった。キンモクセイは去年と同じ場所で期待通りに素敵な芳香を放っており、同じ場所から空を見上げていた苦しかった1年前が自然と思い出されて、感慨深くもあり、また時の経つ早さにも驚かされた。
・からし種一粒ほどの信仰~の様な譬えは、イエスさまが信仰などを語る際に使った極端な表現だが、信仰の薄い弟子たちに思わず大げさな表現を使っている様な感じがしてとても“人間味”があり好きだ。神父さまが仰ったのは、聖書を読む際には「テキスト」以上に「コンテキスト」の理解が重要ということだと思う。良く聖書の一部のみの表現を以って自己中心的な理解をしている人や、人を論破する材料にセンテンスを使っている人を見掛けるが、頑なな解釈で躓かない様に神父さまの話に耳を傾けたい。
・連休中、TVドキメンタリー『余命1ヶ月の花嫁~最後のメッセージ~』を見て、結婚がもたらすGraciaについてとても深く考させたられた。7月に放送された際にとても感動してしまい、もう一度見たかったので何とか再放送してくれないかとTBSにリクエストしていたもの。私の様に再放送を望む反響が大きかった様で、異例とも言える短期間で再放送が決定。個人的なブログではないのでここでは詳しく書かないが、花嫁長島千恵さん、父親貞士さん、恋人太郎さん、多くの友人の暖かい人間性に人の希望を感じ、普段泣くことなどない性格の私だが今回も涙が溢れて止まらず号泣。
太郎さん「元気になったら何がしたい?」
千恵さん「外に行きたい。こんな東京の外だけど風が吹いてきて気持ちいいんだよ」「風って気持ちいいんだよ…知ってる?」
太郎さん「病院で何してるの?」
千恵さん「生きてる!」
愛らしい笑顔で元気いっぱい微笑み「大丈夫、頑張る」と言い続けて最後まで治ることを信じ戦い続けた千恵さん。
本人以外は余命1ヶ月と知りながら悲しみを隠して笑顔で祝福した結婚式の参加者には、多くのGraciaが注がれていることを確信した。
「明日が来ることは奇跡」
「生きてるって事は奇跡。いろんな人に支えられて生きてるんだよね。私これで元気になれたらすごい人間になれると思う」
彼女にような素晴らしい女性が何で命を失うことになるのかと神様を恨めしいような悲しい気持ちになるが、この番組を見た人に生き方を変えさせる程の影響を残したことが、微かな慰めになるかと心の慰めを探った。長島千恵さんは天国に召され、神の豊かな恩寵に擁かれていると信じずにはいられない。
千恵さんの5月7日のmixiに最後の日記が残されている。
『みなさんに明日が来ることは奇跡です。それを知っているだけで、日常は幸せな事だらけで溢れています。』…真実なメッセージに泣かされます。
『もうりんこからは返事は来ません。りんこは返事をだしたくてもだせなくなってしまいました』という太郎さんのメッセージも切なくて…この太郎さんもとても素晴らしい方です。
11月末に書籍が発売されるそうですので、番組を見ていない方も是非手にとってみてください。http://www.tbs.co.jp/program/cancersp_20070718.html(K)

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