猛暑日にネジバナを見る

連日の猛暑にいささか根を上げています。

仕事に出発する午前３時半過ぎ。はるか東の空はうっすらと明るさがあります。深夜から早朝の空気は夏特有の重さがあるものの、ちょっとだけ涼しくて、それに草や木の匂いが混じって特有の雰囲気がすばらしく感じられます。
暑い日中は嫌ですが、夏の早朝はなかなかいいものです。

仕事で乗っている車の中はツイン・エアコンなので快適ですが、目的地で降りれば一気に汗だくになってしまいます。
毎日訪問する郊外のとある取引先の中庭は一面の芝生で覆われています。その脇に車を止めて降りると瞬間に芝の香りに包まれます。猛暑の中でもこの草の匂いには心が休まります。
目を凝らせば緑一色の芝生の中にピンク色の小さな花を付けた植物がポツンポツンと飛び出しています。

ネジバナです。

小さい植物ですので近づいてのぞき込みます。香りは無く（感じられません）密生することはありません。一本一本がその名の通りらせん状にねじれて花びらをつけています。





今の時期、以前にも書いた「アベリア」がどこでも満開ですし、樹木に絡みつくようにして成長する鮮烈なオレンジ色の「ノウゼンカズラ」や「サルスベリ」の花など、さすが夏の花！っていう感じの強烈な個性を放つ花々の中でこのネジバナは奇跡に近いほどミクロで美形で、目立たない夏の時期の可憐な植物です。

アベリア

ノウゼンカズラ

サルスベリ



誰もが暑さのために身の回りの植物への関心が薄れるこの時期、この世の中で最も弱い立場にいる「植物」にもっと気を止めて慈しんであげたいと思うのです。

だってどんなに弱い生き物でも追い詰められれば相手（敵）を攻撃します。鳥は空に逃げられるし、小動物は巣穴に逃げ込みます。
しかし植物はその場にとどまらざるをえず、敵の思うがままにその運命をゆだねます。
そんなことを考えると僕はこの最弱の生物である植物に深い悲しみすら感じます。

そんなことが心の底流にいつもあって、僕は植物を大切に思うのです。



毎日こうも暑いと家に帰っても（仕事の特性で帰宅は正午前です）エアコンをつけずにはいられません。折しも原発問題に絡む電力供給能力が取りざたされていますが、この強烈な猛暑では電力を使うことを我慢できず・・・さぞや原発推進派には追い風が吹いているだろう・・・なんて考えると複雑な気分になる昨今の猛暑です。

さてここまで書いたところで、我が家（我が地域）は大きな積乱雲の下に入ったようです。
急に涼しげな風が吹き始め、真っ黒な雲がいつのまにか空を覆ってしまいました。
家族はみんな外出中。僕だけが一人、薄～い水割り（ウイスキー）で喉を潤していた今です。
落雷も始まりました。大粒の雨が斜めに走っています。



家族からヘルプの電話があれば車で迎えに行くことになりそうですので薄い水割りは急きょ破棄！
おそらく短時間で過ぎ去るであろうこの夕立を家の中から密かに楽しむ（！）ことにします。

では今日のエントリーはここでおしまいにします。
みなさんお身体を大切にして猛暑をしのいで下さい。