前回から
2005/02/20
今回の貸金(提訴)と賃金未払い(告訴)でつくづく思ったのが「証拠は自分で作るモノ」「書類は自分で書くもの」「法律は自分で調べるもの」ということです。
屈強で強面のお兄さんや、タイトスカートでスリムなお姉さんがどっかからわいて出てきて
「ヒャッホぅ、証拠ハケーン(w」
なんていうことは全然なく、全部自分で証拠も書類も作成しましたし(もちろん先生や受付の方のアドバイスを頂きながらです)、法律は自分で調べました(正しく言うと"調べる"というよりも幾人の先生のところを渡り歩きながら"聞き回り"ました)。
私の場合、最初何をすれば良いのか全然分かりませんでしたから、そこからスタート。とにかく色々な人や先生に事情を話してどうすれば解決出来るのかを聞く、というのを延々と繰り返しました。人や先生によって若干意見が違うのでそれを吟味してみたりもしました。私に仕事が無かったという事が逆に幸いして「いっぺんに2件する」ということであっても、十分に時間を取る事が出来ました。
もし、仕事をしながらすすめていくと、休みの日に活動を限定されたり、相談したい人のアポイントメント(約束)のチャンスが限られたりして、下手すると手続きだけで半年くらいかかるかも知れません。提訴や告訴は結構ヒマじゃないと難しいと思います。さらに自分からマメに動く事や根気も大事だと思います。面倒くさがっていると、多分いつまで経っても進まない・・・かも。
「証拠を作る」なのですが、法律的には「口約束でもOK」だったりします。だけれど、実際問題は「証拠書類が無いと立証はかなり難しい」とどの先生からも言われました。
例えば「貸金」なんかは良い例で「このお金は借りたんじゃない、もらったんだ」と相手に言われてしまったらオシマイです。「契約書」や「借用証書」があれば「このお金は借りたんじゃない、もらったんだ」と相手に言われても「この紙にちゃんとあなたのサインとハンコがあるんで」と言い返す事が出来ます。そういうわけで、証拠(ほとんど書類)作成に奔走する私でありました。(注意:提訴や告訴の際に本物は自分の控えとしてとっておき、コピーを提出することになります)
まず貸金の場合なのですが、お金を貸す際に必ず「借用証書(=法律的には"金銭消費貸借契約書"と呼ぶそうです)」を書いてもらうというのが大前提でしょうね。私は法律とは全く縁がない生活をしていたのでこういう基本的な事を思いつきませんでした。幸運にも「嘘や夢であって欲しかった その2」でもお伝えした通り、なんのトラブルも無くスムーズに書いてもらえました。後から先生に聞いた話では「お金を貸した後から借用証書を作成出来るのはナカナカ無い事」だそうです。もし、借用証書をどうしても作成出来ない場合は「貸金支払い時にこちらが強制的に領収書を切って渡す」と良いそうです。
借用証書を作る際には「日付」「貸した日付」「金額」「自分の住所と名前(自分で直筆で書く)と印」「相手の住所と名前(これは相手に直筆で書いてもらう)と印」が必要だそうです。「自分や相手の住所と名前」「印」以外はプリントアウトしたものでも直筆でもOKです。紙も大きさも自由です。収入印紙はあっても無くても法的に成立するのでOKだそうですが、あった方が良いらしいです。返済方法や支払い期日、利率は書くようにした方がトラブルは少ないでしょう。相手と自分の2通作成し、それぞれ持って証拠とします(複数相手がいる場合はその枚数分)。
借用証書はホントは「公正証書(公証人役場というところで作る書類)」にした方がベストなのですが、公証人にまず連絡を取り、相手と自分が公証人役場まで出向いていって作成しなければいけない・・・とかなり手続きが難航しそうなので私はしませんでした。
借用証書は私のように「お金を貸した後で作って」も有効です。しかし、借主の心情を考えるとお金を借りた後で書かせるというのはナカナカ借主からの同意が得られず難しいと思います。私はこの点については幸運だったと思います。
分割でお金を返してもらう際には支払いの度に「領収書」を切って渡すとそれも証拠になるそうです。「相手の名前」「自分の名前と住所」「日付」「金額」を書き、写しを切って渡します。領収書を普段から書いている人(販売員とか)はおなじみの作業ですが、私は販売員から"足を洗って久しい"ので書き方を忘れていましたので、何故か郵便局員さんに教えてもらいました。
私のように「あー、いままで全然領収書を作成していなかった・・・・」という場合は、今まで支払ってもらった分の一覧表を作成して証拠とします。「日付」「金額」は必要です。私は引き直し計算をしたのでその表をそのまま証拠としました。
自分の日記やメモ等を証拠とする事も出来ます。「日付」「金額」「出来事」がハッキリと分かれば分かる程良いでしょう。私は相手とのやり取りのいくつかをメモしていたので、出来るだけ私情をはさまないように書き直し「事実経過一覧表」として証拠としました。
私は金融業者からお金を借りてそのお金をそのまま借主に貸し付けたので、金融業者の「ご利用明細」をそのまま証拠としました。もし「ご利用明細」を無くしてしまった場合は、金融業者に行って明細や一覧表の再発行をしてもらいます(私は明細を持っているので一覧表の発行は断られましたけど・・・)。
相手が支払いを遅滞している場合に「お金をちゃんと支払ってください」と言う時は、電話よりも「内容証明郵便」のほうが証拠になります。詳しくは「嘘や夢であって欲しかった その3」を見てみてください。
告訴の場合も基本的には「証拠書類」が大事です。まぁ、貸金と違って犯罪は多種多様ですので「これが証拠です」というのはナカナカ一言で言い表せません。
取りあえず、私の「賃金未払い」を例にとってご紹介します。いきさつについては「只今のお仕事はデザイナー その1」から見てみてください。
まずは「この会社の従業員です」「給料をもらっている」という証拠がいります。会社に入る時は必ずといって良い程「契約書」を交わすのですが、今回私が入った会社はそれがありませんでした。そういうわけで「給料明細」を証拠としました。
給料が振り込まれる預金通帳も証拠となります。私の会社は給料は「手渡し」が多かったのですが、私は給料をもらうとその日に必ず預金口座にお金を入れていましたのでそういう場合も証拠となり得ると思います。尚、私の使用履歴は気にしないように。
貸金と同じように、自分の日記やメモ等を証拠とする事も出来ます。「日付」「出来事」がハッキリと分かれば分かる程良いでしょう。
そもそも、告訴状には「告訴に至る経緯」として"どういういきさつで告訴をする事になったのか"を書くのが一般的のようです。そういうわけで別途証拠として用意する必要は無いと思います。私は相手とのやり取りのいくつかをメモしていたので、出来るだけ私情をはさまないように告訴状に直接書きました。
会社の場合は「商業・法人登記簿謄本の登記事項証明書」が必要です。法務局に行って交付してもらいます。印紙代が一部1,000円です。
告訴状には「被告訴人」を書かなくてはいけない(もちろん犯罪によっては"不詳"と書く場合があります)のですが、代表取締役である社長の住所がどうしてもつかめないため、登記簿謄本の記載のまま住所氏名を書きました。
つづく