迷悟在己

痴呆寸前が巷間を漂いながら日々の雑感を書きます

城之崎温泉西村屋

2018-08-08 21:58:43 | 旅行
滅多にテレビを見ない私だが、先日偶然にみた番組に、懐かしい景色が映っていた。
そうだ 西村屋だ。懐かしさに見入ってしまった。
私が脱サラで商売を始めて2年、どうやら商売も軌道にのって、趣味の車も買えるようになり、清水の舞台から飛び降りるような決心でプリンスグロリアを買った。
その車でまだ小さかった子供たちを乗せて一年に一度温泉旅行に行くのが楽しみだった。
たまたま泊まった旅館が西村屋本館だった。実は子供が小さいので、騒いでもあまりご迷惑にならぬよう、ゲームなどの遊具があるところ、というわけで、新装なったばかりの別館に予約したのだが、手違いで本館の宿泊となった。それでみんながっかりしていたのだが、お詫びにと、旅館側は豪華なフル-ツの詰め合わせを用意してくれて、恐縮だった。
しかし、間違って宿泊した本館に、私はすっかり魅せられてしまった。何より宿泊客がみな品の良い人ばかりで、大変静か。夕食の豪華で美味なこと、とりわけ朝食のうまさは特筆ものだった。
私は西村屋の朝食を食すだけで宿泊価値があると確信している。一夜干しのカレイなどは絶品。以後一年に一度、都合5回足を運んだ。最後の年はカニ尽くしという贅沢なコースを選んだので、かなりの出費だったが、それが最後となってしまった。
中でも私が夢に描いたのは、高級車で門をくぐることだった。西村屋は玄関に横付けで車を止めると、下足番の人が車を駐車場まで運んでくれて、帰りにはまた持ってきてくれるのだが、これが私の成金心を大いにくすぐったものである。得意まんめんな顔で西村屋の門をくぐる そういうことをするために、一年しっかり働いて、その褒美として城之崎に通うというわけだった。グロリアはシーマになり、そしてセルシオになって、絶頂期だった。
番組の中で、「一年働いて、その褒美としてこの旅館に来るのが楽しみだった」という方がおられて、なるほどみな同じなんだと思ったことである。
世話を焼いて欲しいと思えばそれを察してこまごまと気を配ってくれる。そっとしておいてほしいと思えば、そういう対応をしてくれる、それが一流の旅館の証なのだと、わたしは確信する。
北陸のなんとかやのように、ぎらぎらとどぎつい設備におせっかい、はては一泊に10万などと、そういう接待を一流とは思わぬ。

さていつも部屋に挨拶にきておられた副女将、結構な年だが、なんと私と同年だった。その方の引退の特集番組だったのだ。
当時のさまざまな出来事が想いだされて、感慨に浸った。


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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2018-08-15 13:41:29
高級な旅館ですね (驚)

行ってみたいです。
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