私的メモ(他人は見るべからず)

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デジタルペン

2005年07月27日 | IT技術
スウェーデン、ストックホルム発――カーロ・カッシーサ氏が『ポスト・イット』に絵をいくつか描きなぐってペンでコツコツ叩くと、一瞬のうちに、その絵がカッシーサ氏の携帯電話の画面に表示された。

 「慣れてしまえばとても簡単だ。もちろん、慣れるには少し時間がかかるが」と、スウェーデンの通信大手テリアソネラ社幹部のカッシーサ氏は話す。

 カッシーサ氏は、消費者や企業に対してデジタルペンの猛烈な売り込みを開始している数十人の先兵の1人だ。ペンに小型カメラを組み込み、情報をコンピューターや携帯電話に転送する技術を開発したスウェーデンのアノト社は、すでに世界中で自社のデジタルペン技術の販売提携を結んでいる。

 「私たちが進出しようとしている紙とペンの市場は、この世で最も規模の大きい情報インフラストラクチャーだ。この市場が消えることはない」と、アノト社のクリステル・ファーレウス最高経営責任者(CEO)は語った。

 北欧ではテリアソネラ社が、電子メールやファックスを無線送信できるスウェーデンのソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ社の『チャットペン』を売り込んでいる。イタリアでは、テレコム・イタリア社が2002年12月初めにチャットペンを使うサービスを発表した。中国では、2400万ドルのベンチャーキャピタル投資を受けた新興企業が、アノト社のペンの市場を確立しようと計画している。

 米国では、米フランクリン・コビー社が1月に、米ロジテック社のデジタルペンで書き込むとコンピューターに直接入力ができるシステム手帳を売り出す。医療分野の出版社、メディメディア社は2003年初めから、患者の情報を電子データで集めたいという医師向けに、デジタルペンと記入用紙の販売を開始する。

 手書き認識ソフトウェアを扱う米マイコー(Mi-Co)社は、刑務所や警察、消防署などの職員にデジタルペンを販売できると考えている。また、米スリーエム社、米ミード・ウェストベーコ社などの製紙会社は、アノト社のペンを認識できる専用のデジタルペーパーを製造している。

 「15年後、デジタルペンは携帯電話と同じくらい普通になっているかもしれない」と、ファーレウス氏は予測を語った。

 ロジテックの新しいデジタルペン『ロジテックio』は200ドルもするので、予算があまりないという消費者には向かない。太さがソーセージほどもあるペンに慣れるのも大変だし、音もうるさい。

 「今の段階でこういう機器を買うのは、新しいもの好きな人だけだ」と、サンフランシスコのゼロス・グループ社のモバイル技術担当アナリスト、シェイマス・マカティア氏は述べた。

 アノト社には、イスラエルのOTMテクノロジーズ社などのライバルがいる。OTM社はイスラエルの新興企業で、どんな材質の面にも書けてマウスとしても使えるレーザー利用のペン技術を開発した。米マイクロソフト社、独シーメンス社、米モトローラ社などをはじめとする企業が、この技術をベースに製品を開発中だ。

 しかし、ロジテック社のビジネス開発担当責任者アシシュ・アロラ氏は強気だ。アロラ氏は、健康管理機関、保険会社、運送会社など、山のような書類を処理しなければならない業界がロジテックの市場になると考えている。

 「販売関連の仕事をしている人に、コンピューターを使うという発想が少ない。いまだにペンでメモを取っている人を目にする。こういった人たちが会社に戻ったときにデータをコンピューターに転送できる機能を提供すれば、とても有力な製品になる」とアロラ氏。

 ロジテック社のペンは、40ページ分のデータをメモリに保存し、クレードルを使ってコンピューターと同期できる。アノト社のペンと同じように、ドットを印刷してある特殊な用紙が必要だ。ペンに内蔵されたカメラが、走り書きした部分のドットを感知し、それをもとに同じ形を再構成する。

 今のところデジタルペン技術には限界があるが、アノト社のファーレウス氏は、デジタルペンが試練に耐えて生き残ることにほとんど疑いを持っていない。数年後にはサイズも普通のペンと同じになり、価格も100ドルを切って、ありふれた製品になっているはずだと言う。

 「紙にはフィードバックができないという欠点がある。それが変わっていこうとしている」と、ファーレウス氏は話した。

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