小児科耳学問

小児診療の手の内を公開。ブログ内検索で日常診療に役立てて下さい。

吸入ステロイドと喘息の経過

2007年03月31日 | Weblog
気管支喘息の治療に吸入ステロイドを長期間使用しても中止すれば再び吸入前の状態に戻るそうです。喘息が治るかどうかは吸入ステロイドの使用の有無に関わらず自然経過のようです。しかし吸入ステロイドを使い続ければ気管支のリモデリングや呼吸機能の低下は防げるのではないかと私は思います。また吸入ステロイドの使用中は喘息発作、救急外来受診や入院の頻度が減り、日常生活の質が上がることは間違いありません。

ロイコトリエン受容体拮抗薬とDNA

2007年03月30日 | Weblog
2週間くらい前にNHKでロイコトリエン受容体拮抗薬の効果とDNAの関係を放送していました。そこで製薬会社のMRの方に聞いたところ3割は効かないそうです。効かない人は量を増やしても効かないそうです。効かない人に漫然と投与するのは無意味のようです。値段の高い薬ですし効くかどうかよく患者の話を聞き判定しなくてはいけません。ほぼ100%効果のあるステロイド吸入薬とは違います。

インフルエンザB型に罹患しました

2007年03月27日 | Weblog
土曜日から少し咳があり、喉がイガイガし少し咳が増えて肩がこるので月曜日に検査したらインフルエンザB型に罹患していました。ちなみに月曜日の夕の熱は36.8度でした。2002年10月で期限切れの熟成されたタミフルの試供品を飲み始めました。飲んで3時間程で喉のイガイガと肩こりが取れました。よく効きます。3年連続でインフルエンザ予防接種を2回しているのに軽症とは言え感染が防げなかったことは残念です。来シーズンは3回予防接種をしようかな~。

自覚の無いスギ花粉症

2007年03月24日 | Weblog
スギ花粉症の症状には眼のかゆみ、くしゃみ、喘鳴などがありますが、注意して診察すると症状の出方に個人差を認めます。鼻症状だけ、眼と鼻症状、眼と鼻症状と喘鳴の人などですが、なかには眼と鼻症状がなく呼吸音の減弱、ピークフロー値の低下だけを認める人もいます。このような患者はスギ花粉症の自覚に乏しいので、スギ花粉症との関連を指摘しマスク着用を促す必要があります。

インフルエンザ流行中

2007年03月24日 | Weblog
ここ2週間特にインフルエンザB型が猛威を振るっています。暖冬のため流行が後ろにずれてしまった感があります。しかしようやく春休みに突入しましたのでこのまま収束するのではないかと期待しています。休みが7日間以上続くと感染拡大防止に役立つと思います。B型の患者20人以上にリレンザを処方しましたが効果は良好のようです。ちなみに予防注射を受けた人も結構B型にはかかっています。

スギ花粉症と気管支喘息

2007年03月17日 | Weblog
スギ花粉飛散時期に喘息の悪化される方がいます。花粉症と感冒の鑑別ですが、花粉症は熱が無く、水様鼻汁が続き、晴れた花粉の多い日に症状が重く、雨など花粉の少ない日には症状が軽くなります。感冒は最初水様鼻汁でも次第に膿性鼻汁に変わります。発熱を伴うことも多く症状は天気と無関係です。花粉症に伴う喘息の悪化にはマスクをして花粉を吸わないことが第一ですが、子供にマスクをさせると口だけ隠して鼻が隠れていないことが多いので注意が必要です。

小児科勤務医の高齢化

2007年03月17日 | Weblog
小児科勤務医の高齢化が進んでいます。平成になったころからすでに少子化を見越し小児科医のなり手は少なく小児科勤務医不足でした。40歳前後で体力、気力、健康面で限界を感じ勤務医が辞め始めます。平成17年から始まった新臨床研修制度のため臨床現場への医師の供給が2年間断たれました。このため元々忙しい現場がさらに忙しくなり勤務医の退職に拍車がかかりました。一晩当直すると当日の朝8時頃から翌日の夕方6時頃まで連続34時間勤務になります。35歳くらいまでは当直も経験の内ですが、35歳を過ぎると疲れが残り、疲れを残さないためには月2回程度に回数を制限する必要があります。かつて小児科医のなり手が多かった頃は若手が当直回数をこなし、年齢が上がるにつれ当直回数も減り50歳以上は当直免除のようなシステムでしたが、小児科医のなり手が少ない今は年齢が上がっても当直回数は逆に増えています。苦肉の策として小児科医を大病院に集め大学や開業医の応援も加え24時間救急体制を維持する方向ですが、さらに高齢化が進めばこの体制もどこまで維持できるか不明です。将来は小児救急を受けられない地域が増えるのではないかと懸念されます。

小児の投薬量

2007年03月08日 | Weblog
小児の投薬量はmg/kg/dayで決められることがほとんどです。ただし一般的には大人の量を超えないことになっています。たとえばフロモックスなら9mg/kg/dayなので体重10kgなら90mg/dayですが、体重40kgなら360mg/dayではなく300mg/dayとなります。タミフルdsも同様で体重37.5kg以上は5g/dayになります。ちなみに小児用ドライシロップは錠剤やカプセルより倍くらいは割高です。

溶連菌感染症 その2

2007年03月08日 | Weblog
先日知り合いの内科の先生から溶連菌感染症の治療管理について質問を受けました。治療のスタンダードはAMPC内服ですが、除菌に失敗することが多いため、セフゾン、メイアクト、トミロンなどの使用を薦めました。投与期間はおそらく7日で除菌できると思いますが、私は念のためAMPC同様2週間投与しています。投与期間が短いと除菌できても流行が収まっておらず再感染の可能性もあるからです。厳密にはASO、ASKをペアで測定し腎炎のリスクを評価すべきですが、無熱時の採血は子供にも親にも不評なので検尿だけで4週間フォローしています。今まで除菌治療をして腎炎になった子供はいませんが、経過中に一過性に潜血や蛋白が++になったことはあります。浮腫や体重増加は腎炎の注意すべき症状です。

インフルエンザ流行中

2007年03月03日 | Weblog
当診療所周辺でもインフルエンザが流行中です。A型、B型ともに流行しています。例年より2ヶ月遅れですが流行しない年はないようです。タミフル内服後の異常行動が報道され、タミフル処方時は興奮、異常行動があれば中止するよう説明しています。当診療所を受診される方はマンションにお住まいの方が多いのでなおさらです。インフルエンザB型にはタミフルよりリレンザの方が効くようなので、年長児のインフルエンザB型にはリレンザを処方し始めました。リレンザはパウダータイプの吸入薬なので、喘息のコントロール不十分な患者では、喘息悪化の危険性があるようです。