小児科耳学問

小児診療の手の内を公開。ブログ内検索で日常診療に役立てて下さい。

夜間の病院は低機能

2008年06月28日 | Weblog
昼間小児科医が5人くらいいる病院でも、通常夜中の救急外来は小児科医は一人、検査技師はいないか、いても一人、病棟看護師は昼間の1/5程度です。なにが言いたいかというと、夜の病院は建物は昼間と同じでも職員は1/5くらいしかおらず、できることも昼間の1/5ということです。簡単に言えば昼間の1/5の機能しかないということです。さらに昼間以上に患者が受診すれば機能もサービスも1/5未満です。良い医療、サービスを受けたければ、平日昼間に受診しましょう。

腹痛の鑑別

2008年06月22日 | Weblog
腹痛を訴えて受診した場合、発熱、下痢なら感冒性胃腸炎、細菌性腸炎、便が数日出ていなければ便秘による腹痛を考えます。幼児では便秘で硬い便が動くとかなり痛がることがありますが、浣腸で治ります。虫垂炎、腸重積はいつも頭の隅に置いておきます。
肺炎でイレウスになり腹痛を訴えることもあります。肺と腸は横隔膜1枚で隔てられているので、肺に強い炎症が起これば腸の動きにも影響がでるのでしょう。
もっとまれなものに卵巣嚢腫の茎捻転や精巣捻転があります。これらは嘔気を伴わずに嘔吐します。完全に捻じれ切ってない時は、捻れると腹痛が強くなり嘔吐、緩むと腹痛軽減を認めます。感冒性胃腸炎と誤診しないよう注意が必要です。発症後8時間を過ぎると卵巣、精巣とも壊死のため摘出といわれていますが、完全に捻れきってないこともあるので8時間を過ぎていても緊急手術を受けるべきかと思います。

溶連菌感染症と嘔吐

2008年06月21日 | Weblog
発熱と嘔吐を主訴に来院すると反射的に感冒性胃腸炎(お腹のカゼ)と判断しがちですが、中には溶連菌による咽頭炎が原因のことがしばしばあり注意が必要です。話をよく聞くと嘔気は強くなく、咽頭痛があったりします。咽頭発赤を認めストレップで確認できます。治療はもちろん抗生剤の内服です。

新生児の発熱の診かた

2008年06月07日 | Weblog
生後6ヶ月までの乳児は母体からの移行抗体があるため通常は発熱しません。ただし、絶えず風邪にさらされる保育園児は例外です。生後1ヶ月までの新生児の発熱の大半は入院になるような中等症以上の疾患です。私も新生児が発熱で受診すると身構えてしまいます。新生児の発熱で一番軽いのはロタウイルスによる発熱、下痢で脱水にならなければ外来で観れます。それ以外では母親の咳、ハナの風邪がうつるくらいでしょうか。とりあえず発熱の新生児の検査は検尿沈渣と血清CRPを調べ尿路感染症と細菌感染症(敗血症、髄膜炎、肝膿瘍、骨髄炎など)を除外にかかります。発熱後すぐで全身状態がよくCRPが低い場合は半日~1日後にCRPを再検します。新生児は夏カゼでも容易に無菌性髄膜炎になるのでCRP陰性でもルンバールも考慮します。また発熱に痙攣などを伴えばヘルペス脳炎も疑われるので診断がつくまでゾビラックスの点滴を行うこともやむをえないところでしょう。とにかく診断がつく前、または血液培養などの必要な検査が済む前に外来で抗生剤を処方してはいけません。