柳沢教授と昔の飼い猫・まろ
以前の記事でも書いたことですが、私は昔からマンガ好き。
小学生のとき、ピアノ教室の待合室に置き去りにされていた「別冊マーガレット」(以下「別マ」)によって初めてマンガ雑誌なるものの存在を知りました。それまでマンガはどういうわけか単行本でしか読んだことがなかったので、一冊の中にいろんなマンガが入ってる!すごい!と驚いたものです。
ちなみにその「別マ」には美内すずえのあと味最悪の傑作『ひばり鳴く朝』が掲載されていて、そのせいで余計に強い印象を受けたのでしょう。以来私はマンガ雑誌にのめり込み、その後の長きに渡って小遣いの大半をマンガ(及び買い食い)に費やすことになるのです。ピークのころ(高校時代)には月刊・週刊・隔月刊・隔週刊および不定期発行の怪しいヤツなども合わせると、ひと月にゆうに20冊を越えるマンガ雑誌を買いまくっておりました。
あるときふと、自分は一生マンガをやめられないんじゃないのかな?大人になってもこうやって毎月大量のマンガ雑誌を買い続けるんじゃないのかな?と考えて暗い気持ちになったことがあります。当時マンガは子どもの低俗な娯楽とみなされていて、「良識ある」親は子どもがマンガを読むことにいい顔をせず、ましてや大人になってまでマンガを読むのはバカ。というのが(私の知る範囲での)一般的な風潮だったので、おそらくいい年になってもマンガをやめられないであろうダメな大人の自分を想像すると、まだ青春が始まったばかりのお年頃にもかかわらずシミジミと落伍者気分が味わえるのでした。
けれども実際はそこまで心配するほどのこともなく、年齢が上がるに連れ徐々にマンガ雑誌の購読意欲は薄れて行きました。山岸凉子の『日出処の天子』の連載が終わったときに掲載誌であった「LaLa」という雑誌を買うのをやめたのですが、どうやらそのあたりが曲がり角だったようです。その後もマンガ好きは変わりませんでしたが、好きな作品は単行本で揃えるようになり、マンガ雑誌はほとんど買わなくなりました。
そして今、新刊を見つけると必ず買うマンガはひとつだけ。それは山下和美の『天才 柳沢教授の生活』です。
今日このマンガの28巻を買いました。奥付には去年の9月23日発行とあるので、もうだいぶ前に出ていたんですね。本誌を読んでいないと単行本の出るタイミングがわからないので、ちょっと困ります。ほんとは調べる方法なんか、いくらでもあるとは思いますが。
『天才 柳沢教授の生活』は過去にドラマ化もされたほどの人気作品なので知っているひとも多いと思います。いいんですよね、このマンガ。読んでいないひとには、是非おすすめしたい。
主役の柳沢教授は理性の権化のような人物で、周囲の人々の矛盾した発言や動機不明の行動に遭遇すると、その非論理性を追求し事態の因果関係を解明せずにはいられません。一見人間味に欠ける冷徹な合理主義者に見えて、その実心暖かく子どものように好奇心の塊。死ぬまで学び続けるタイプの、永遠の学徒なのです。なんか説明すんの、メンド臭くなってきた。自分で読んでください。損はしません。一話完結のものが多いので、途中の巻から読んでもじゅうぶん良さがわかると思います(ただし19~24巻は話がつながっているのでダメ)。
山下和美は絵柄が(特に女性が)岩館真理子の描く絵と似ていることに最初はちょっと反感を持っていたのですが、『摩天楼のバーディー』という作品を読んだとき「これはタダモノではない」と思い、『天才 柳沢教授の生活』を読むに至って「山下和美は天才じゃないか?」と思いました。私はこのひとは、マンガ界の宮部みゆきだと思います。むずかしいことを言わず面白く読ませ、楽しませながら極めて大切なことを伝えてくれる。山下和美と宮部みゆきには、同種の理知と包容力があるように感じられます。
ところでこの柳沢教授、ドラマでは松本幸四郎がやっていました。松本幸四郎は好きでも嫌いでもないけれどちょっとイメージには合わない気がするし、それにこういう作品をドラマ化したってどうせロクなことにはならんと頭から決めつけて見ませんでしたが、もし今度ドラマ化するのなら柳沢教授はぜひ小泉純一郎元首相にやってもらいたい。だってこのふたり、目元が似ていませんか?小泉さんが髪型を変えてふくみ綿をしてヒゲをつけたら、きっとソックリになると思うんだけど。
willow42様と同じで 私も「LaLa」は「日出処の天子」が終わった後位から読まなくなりました、というか 正確には 姉が購読しなくなったのですが。。。あの頃の「LaLa」は粒揃いな連載が一杯で「プチフラワー」(でしたっけ?萩尾望都が「メッシュ」を連載していた、小学館から出ていた雑誌です)と共に 大のお気に入りだったのですけどね。。。
山下和美の作品も幾つかは読んだことがありましたが 上記の作品は未読です でも面白そう!一度読んでみますね
あと 今 タイトルも漫画家の名前も思い出せないのですが(最近 完全に健忘症です)あの頃やはり「LaLa」で連載されていた「oo氏の優雅な生活」という イギリス紳士のお話も好きだったなぁ
(って これで分かります?)
しかし最盛期には20冊ほどの雑誌を買われていたとは 凄いですね それらの雑誌 今はどうなったのですか?
おすすめのマンガと言う事なので早速アマゾンにて取り寄せ読んだ次第です。
大変面白かったです。トンカチでたたいても曲がりそうにない教授の性格に引き寄せられ、そして何かを得ていく人々・・・
う~ん奥深く、爽やかです。
わたしも、中学生の頃月刊・週間・単行本に狂いました。そうですね、1番に思い出すのは、「はいからさんが通る」ですが、アニメ化された時はがっかりしました。
原作の絵とあまりに雰囲気が違ってたので・・・ありがちですね・・・
Kazueさん、こんにちは!
「LaLa」に「プチ・フラワー」Kazueさんもお姉様といっしょに
読んでらしたのですね。私も『メッシュ』好きでした。
連載初回のときのタイトルページのメッシュが衝撃的にきれいだった。
メッシュが歌劇『カルメン』のホセの歌を聞いて涙を流すのを見て、ミロンが
「ホセで泣くやつも珍しい」とかなんとかつぶやく場面がありましたよね。
ちょっと難しいところもあって、当時は全部はわからなかったような気がします。
あー、読み直したくなってきたな。
>「バジル氏の優雅な生活」でした!
思い出せて良かったです(笑)
私も坂田靖子、好きでしたよ。絵柄も内容も個性的でね。
趣味が合いますね
『エルドンの夜』は、単行本持ってます。実家から連れてきました。
当時の雑誌類は、大学で親元を離れるときと結婚するときに
大半を始末してしまいました。
雑誌って、古くなるとインクが裏ページにまで染みちゃうんですよね。
最近のはそんなことないのかな?
>早速アマゾンにて取り寄せ読んだ
おおー、それはそれは!
確かに読後感が爽やかですね。
巻が進むに連れてもっと面白くなりますので、
気が進んだらぜひ4巻以降も読んでくださいね。
『はいからさん~』も面白かったですよね。ギャグも効いてて。新喜劇っぽい。
マンガのアニメ化は、たいていの場合がっかりですよね~。
アニメから入って→原作の順番だとあんまり気にならないけれど、
逆の順番だとまず間違い無くガッカリする。
『パタリロ』くらいかな、あんまりガッカリしなかったのは…。
メッシュがバルコニーから体をふわっと乗り出してるところとか。。。。
「ホセの歌で泣くやつも珍しい」って下りも 覚えてます 読み返したいけど 全部実家に置いてきちゃった。。。どーしよー
>全部実家に置いてきちゃった。。。どーしよー
送ってもらえば(笑)
私は単行本買っちゃおうかな。