アンケート大作戦

 

 

 

「アンケート」って、知っていますか? 　やったこと、ありますか？

 

私が中学～高校生のころ、女子の間で好きな男子に質問状を送ることが流行っていて、この質問状を「アンケート」と呼んでいました。好きになった相手のことをもっと知るために、細かい質問を箇条書きにし、友だちに託して意中の彼に渡してもらうのです。

彼にできるだけ可愛いところをアピールするために、質問を書くのに使われる便箋は厳選されたファンシー系、文字は細心の注意をはらった丸文字で書かれます。

 

質問は「好きな色は？」とか「好きなスポーツは？」とかいう他愛の無いものからはじまり、５問目くらいで「好きな芸能人は？その理由は？」とじょじょにテンションを上げ、中間あたりで「好きな女の子のタイプは？」という是非とも聞いておきたい質問をはさみつつ、終盤には「今つきあっている人はいますか？」とか「彼女がいるのにつきあいを申し込まれたらどうしますか？」とかいう、今後の方針を定めるために必要な質問をズケズケとぶつけるのが通例となっておりました。

 

もどってきた「アンケート」は、差出人女子とその友人一味によってじっくりと吟味されます。

回答の傾向として、モテ慣れた男前ほど文字数少なくそっけない。逆にモテ慣れていない男子ほど、その回答内容は詳細を極めるのでした。

たとえば「好きな色は？」という質問にモテ男はただ「黒」と答え、いっぽう非モテ男は「黄色。服とかだったら、水色とか青系。女子の服とかは、ピンクとか可愛いくて好き」などと長ったらしい回答を書いてよこすのです。

この場合、モテ男のそっけないクールさにはさらに恋情をつのらせる効果があり、反対に非モテ男子の聞かれていないことまでつい書き連ねてしまう余熱のこもった回答姿勢には、かえって質問者側の熱を冷ましてしまう働きがあるのでした。

 

私も中学から高校までの６年間に五度ほど、この「アンケート」をお願いしたことがあります。ちなみに五度とも、相手とつきあうところまでこぎつけることは出来ませんでした。ふん、馬鹿なヤツら。

この五回のアンケート大作戦の中でも、もっとも印象に残っているのが、高校１年のときに好きになったＫ山さんです。Ｋ山さんはバスケ部の先輩で、名前のとおりクリっとした顔だちの、でも男っぽい感じの人でした。残念なことに既につきあっている人がいたのですが、それでも私のしょーもない「アンケート」に誠心誠意答えてくれて、彼女がいるとわかってもよけい好きになってしまったのでした。

 

彼女がいることよりもショックだったのが、「好きな芸能人は？」の質問に「榊原郁恵」（時代色）、その理由として「足首がちょっと太めのところ」と答えていたことでした。

この部分を読んだ瞬間、「これはアカンな」と私は思いました。

なぜならそのころの私はとても痩せていて、足首などは片手でつかめるくらい細かったからです。

 

今は、えぇ、片手ではつかめません。　というか、つかめるからって、なにがどうしたとゆーのだろー。

 

 

「将来どんな職業につきたいですか？」

 

という質問に

 

「阪急電車の運転手になりたい」

 

と答えたＫ山さん。望みは叶ったかな。

 

 

 

------------------------------------------------------------------

来週水曜日は連休中なので、次回は木曜か金曜か土曜か日曜に更新予定です。

または、一週飛ばすか