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米国スタンフォード大学と金融取引業規制機構(FINRA)が「金融詐欺」阻止の共同専門調査センターを設立

2011-08-16 17:37:53 | 金融犯罪と阻止策


Last Updated :July 16 ,2020


 8月10日付けのFINRA (注1)からのニュースリリースで、米国スタンフォード大学高齢化センター(Stanford University Center on Longevity)(注2)金融取引業規制機構(FINRA)投資家教育基金(Investor Education Foundation)が法執行機関、政府および金融詐欺研究グループのための学際的支援機関となる「金融詐欺」阻止のための専門研究調査センターを立上げたとの情報を得た。

 米国における金融詐欺は、ねずみ講(ponzi schemes)からオンライン・フィッシング詐欺(online phishing scams)まで広がり、また住宅取得計画等にもかかる経済的社会問題として米国民は毎年数10億ドルの被害に遭っている。特に高齢者にその被害リスクが高まっているというのがその問題認識の背景といえる。

 今回のブログは、(1)同センターの具体的に目標とする課題について解説するとともに、(2)同センター諮問委員会の構成メンバー、(3)本年11月3日~4日にワシントンD.C.で開催される創立記念会議(inaugural conference:The State and Future of Financial Fraud)の概要、および(4)背景の一因となったこれらの高齢者問題の詐欺行為に対するFINRAのシティグループ・グローバル・マーケテイング部
(注3)への罰金処分の概要、最後に(5)今回の金融詐欺の被審人であるシティグループ・グローバル・マーケッツ部の元従業員タマラ・ランツ・ムーン(Tamara Lanz Moon:女性43歳)に対するカリフォルニア州北部地区連邦検事局の起訴概要を紹介するものである。

1.設置目的
 同センターの設立目的等から抜粋する。この中でも明記されている通り、被害者の心理面や社会政策的な問題を重要視しており、従来の金融詐欺に関する取締り、法執行、司法機関や行政機関の取組みとは一線を引く内容と考える。

(1)・誰が最も金融詐欺に騙されやすいか。
・どのようにしたら効果的に詐欺から人々(高齢者や社会的弱者)を守れるか。
・詐欺師は犠牲者を説得するのにどのようなテクニックを用いるか。
・人はなぜ簡単に詐欺の犠牲になるのか。
・米国における詐欺被害による経済的および感情的な影響は何か。

(2)同センターは金融詐欺の新たな調査研究の情報交換の場であるが、犯罪捜査研究を支援する一方で、情報の配分、理解、情報の適用に寄与する。

2. 「金融詐欺」阻止のための共同専門調査センター諮問委員会の構成メンバー(2011.8時点)
・Laura Carstensen:Fairleigh S. Dickinson Jr. Professor in Public Policy, Professor of Psychology,Director, Stanford Center on Longevity
・Geraldine Walsh: Vice President, Investor Education, FINRA and
Acting President, FINRA Investor Education Foundation
・Roderick Kramer: William R. Kimball Professor of Organizational Behavior,Stanford University Graduate School of Business
・Rob McKenna:Washington State Attorney General, President National
Association of Attorneys General
・Lori Schock :Director of the Office of Investor Education and Advocacy
for the US Securities and Exchange Commission
・Doug Shadel :State Director for AARP Washington
・William F. Sharpe:STANCO 25 Professor of Finance, Emeritus, Stanford
University Graduate School of Business
・Teresa Thome :Deputy Chief Inspector of the Eastern Field Operations in the United States Postal Inspection Service

3.2011年11月3日~4日にワシントンD.C.で開催される創立記念会議(inaugural conference:The State and Future of Financial Fraud)の参加者や運営
 連邦政府等の政策立案者、研究者、実務家、法執行機関、擁護グループならびに詐欺的戦術に対し成功裡に取組んだ最新研究グループが参加者となる予定。政府の上級官吏および指導的研究者による基調講演後、会議では詐欺の被害者や加害者の解析を行う予定である。

4.FINRAのシティグループのグローバル・マーケット部門の賠償金および同部門への制裁罰金処分
 FINRAの自主規制のための法執行手続の概要は、日本証券業協会がまとめた資料(23頁以下)によると次のとおりである。なお、筆者がFINRAのサイトの解説に基づき補足説明や一部修正を加えた。(注4)

5.自主規制規則等のエンフォースメント
(1)規則違反に対する処分
 FINRA は、連邦証券関係法令またはFINRA 規則に違反し、またはFINRA の命令、指導ないし決定を無視または拒否した会員および登録外務員等被審人(respondent)に対し、以下のうち1つまたは複数の処分を課すことができる(FINRA8310FINRAの処分の根拠規定)。
① 譴責(けんせき)
② 過怠金
③ 会員資格または外務員等の資格の一定期間または条件付の停止
④ 除名、会員資格の取消、または外務員等の資格の取消
⑤ 他の会員との交流禁止
⑥ 一時的ないし永続的な業務停止・停職命令
⑦ その他適切な措置

(2)処分決定までの過程
 エンフォースメントにおいて大きな役割を果たすのは「全米裁定評議会(NAC)」(注5)である。NAC は現在総勢14 名で構成され、会員メンバーと大学・ロースクール等の専門家からなる非会員メンバーのバランスをとって構成されている。
 規則違反を犯した会社及び個人の処分においては、公正な仕組みによることに配意されている。処分は和解(settlement)、あるいは公式な決定書(注6) の発行によって行われる。訴状が発行された場合、当該事案についてのヒアリング・パネル(公聴委員会)が開催される。同パネルは専門のヒアリング・オフィサー(FINRA の雇用する弁護士資格保持者)が議長を務め、パネリストとして2 名の業界代表者も参加する。ヒアリングにおいては、当事者等の各関係者から、当該会社・個人がFINRA 規則、連邦証券関係諸法(federal securities laws) (注7)ないしSEC 規則の違反を犯したかどうかを判断するための証拠が提出される。また、本件以前における裁判所、SEC、NAC の判断も考慮される。
 処分の量刑は、FINRA の「処分ガイドライン」を基準に行われ、決定は理由を付して文書で行われる。
 当該会社及び個人はヒアリング・パネルの決定に不服の場合には、NAC に対して上告することができる。FINRA理事会が再検討を求めない限り、NAC の決定がFINRA としての最終決定となるが、これに不服な場合には、当事者はさらにSEC 又は連邦裁判所に訴えることができる。」

(3)2009年8月25日、シティグループ・グローバル・マーケッツ部の元従業員タマラ・ランツ・ムーン(Tamara Lanz Moon)の顧客口座への無権限取引や報告書記録改ざん等違法行為に対する同グループとして「賠償(restitution)」を行った旨のFINRAリリース(37頁以下)

①事実の概要
 被害者は高齢者、未亡人、病人、その中には難病であるパーキンソン病患者や米国の外交官や被告自身の父親も含まれており,自身の口座の管理が出来ない者も多くいた。無権限の住所変更届けのための署名偽造、自身の支払うべき自宅の補修代金支払いにつき口座間の取引や送金を行った。

②FINRAはシテイグループの使用者責任につき、顧客の機密情報にアクセスできる販売アシスタントなどあらゆる従業員を監督する義務があるとし、今回の事件では同社の最も弱いところを持つ顧客を餌食にして自身が持つ顧客の口座を悪用することで顧客の信頼を裏切った責任を明確にした。

(4)2011年8月9日、FINRAはシティグループに対する50万ドル(約3,800万円)の罰金刑を決定
 同グループはムーンの行動につき警告すべき一連の赤旗行為であったにもかかわらず、使用者として十分な調査や適切な措置をとらなかったことである。その赤旗には、新しい口座の申し込みや無関係の顧客口座間のうたがわしい資金の移送に関する「異例取引報告書(exception report)」(注8)等が含まれ、またシティグループは顧客口座につき適切な監視チェックのためのシステムやコントロールを怠った。
 その結果、ムーンは虚偽の新規口座の申込みや他の取引き記録の改ざんが容易に行えた。
 FINRAのシティグループに対する「処分決定文書(Letter of Acceptance,Waiver and Consent:No.2008013231502)」は10頁にわたるものである。本ブログで紹介した内容が列記されている。

5.シティグループ・グローバル・マーケッツ部の元従業員ムーンに対するカリフォルニア州北部地区検事局の起訴の概要
(1) 6月29日、カリフォルニア州北部地区検事局は次の内容のリリースを行った。
 本日、FBIは6月23日に連邦大陪審が認めたムーンに対する起訴状(訴因は6つ)が正式に認められたことを受けて逮捕した。

・被告の容疑は、22人の顧客から投資勘定を盗んだとするもので被害総額は約749,978ドル以上(約5,700万円)である。

・被告は1996年から2008年までシティグループの従業員としてレッドウッドシティと現在はフレモントで勤務していた。その間、被告は米国FINRAが管轄する「一般営業員資格試験(Registered Representative Exams:RR)のうち「Series 7 :General Securities Representative(125問の選択肢の2つパートからなり、試験時間は各パートごとに3時間である。対象分野は、法人証券(corporate securities)、地方債(municipal securities)、地方債ファンド(municipal fund securities)、オプション、直接参加投資プログラム(direct participation programs:DPP) (注9)、投資会社商品(investment company products)および「変額型投資契約(variable contracts)」(注10)である。」および「Series 6:Investment Company Products/Variable Contract Limited Representative:この試験は「1940年投資会社法(Investment Company Act 1940)」に従い登録された会社の償還型債券の勧誘(solicitation)、購入または販売のプリンシパルとして機能する個人に資格を与えるもの。すなわち、同法はもともとの配分(original distribution)の期間中のみ1940年の投資企業法に従い、クローズド・エンド型投資信託会社は登録する、または 保険会社が販売する変動型契約、保険料掛金積立て制度(insurance premium funding programs)およびその他保険会社が発行する契約を扱う資格・登録免許を定める。(注11)

(2)シティグループ内におけるムーンの責任は、ブローカーのために取引を実行同グループ内に投資勘定を有する特定の顧客に関する書面作成というものであった。
 起訴状によると、ムーンは口座記録を改ざん、顧客の署名を偽造、顧客の資金を転用するため虚偽の認可書を作成、さらに顧客口座につき無権限取引を行った。
 一方、ムーンは、不正に取得した資金でもって自宅の改造、所有していた不動産のローンの支払、クレジットカードの支払い、ホームエクイティ・ライン・オブ・クレジット(home equity lines of credit:HELOC) (注12) ならびに不動産投資を行った。

 被告ムーンは、釈放されるとともに、2011年7月5日のカリフォルニア州北部地区地方裁判所への出廷が命じられた(事件番号:CR 11-0404 WHA)。
 被告の起訴事由はメール詐欺(合衆国現行法律集第18編1341条(Frauds and swindles))(注13)であるが、6つの各訴因につき最高刑は20年の拘禁刑、25万ドルの罰金、3年間の監視下釈放(supervised release)および賠償()である。

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(注1) 米国証券業界の自主規制機関である“FINRA”の自主規制機関としての組織、基本的機能(監査、制裁)やSECとの役割分担等については1月22日付けの本ブログの(注 4)を参照されたい。

(注2) スタンフォード大学高齢化センター(Stanford University Center on Longevity)と聞くと、わが国の「東京大学高齢社会総合研究機構(Institute of Gerontology)」「同大学政策ビジョン研究センター(Policy Alternatives Research Institute)」とついつい比較してしまう。同機構やセンターについて、筆者は設立時から関係しているのであるが、機会があったらスタンフォード大学の取組み等についての研究メンバーと意見交換も行ってみたいと考える。

(注3) わが国における「シティグループ・グローバル・マーケテイング部」の活動内容の理解と監視行動は、わが国での金融監督上で同様の被害阻止を実践する意味で極めて重要な意味を持つと考える。
 その意味で日本証券業協会の規制の在り方すなわち「日証協は、金融商品取引法に基づく認可金融商品取引業協会(自主規制機関)として、証券会社及び金融機関などの協会員がその社会的・公共的使命を適切かつ十全に発揮・遂行するため、投資者の保護や金融商品取引及び市場の公正性・健全性の確保等を図ることを目的とした自主規制業務」を実行する上で「定款」「自主規制規則 」さらに「過去の処分」等の詳細な中身を改めて厳密に比較すべきであろう。

(注4) FINRA規則や法執行の実務面について理解を支援するためFINRAは“FAQ”を用意している。FINRAの機能や任務につき具体的な説明がなされており、基本的に理解すべき点が整理されている。

(注4-2) 日本証券業協会のFINRAの会員の処分についての解説から一部引用する。○FINRAは、連邦証券関係法令又はFINRAルールに違反した、又はFINRAの命令、指導、ないし決定を無視又は拒否した会員及び登録外務員等に対し、以下のうち1つ又は複数の処分を課すことができる(FINRA8310)。①譴責②過怠金③ 会員資格又は外務員等の資格の一定期間又は条件付の停止④ 除名、会員資格の取消、又は外務員等の資格の取消⑤ 他の会員との交流禁止⑥ 一時的ないし永続的な業務停止・停職命令⑦ その他適切な措置


(注5) NAN(全米裁定評議会)の現メンバーは次の14名である。
Barbara Black University of Cincinnati College of Law
Pam Cavness, Chair Edward Jones
Alan L. Davidson Zeus Securities, Inc.
Lisa M. Fairfax The George Washington University School of Law
Michael J. Fishman Kellogg School of Management, Northwestern University
M. Todd Henderson University of Chicago Law School
Stephen A. Kohn Stephen A. Kohn & Associates, Ltd
Donald C. Langevoort Georgetown University Law Center
Andrew S. Margolin, Vice Chair Bank of America Merrill Lynch
Donna M. Nagy Indiana University Maurer School of Law - Bloomington
John F.X. Peloso Morgan, Lewis & Bockius, LLP
Charles V. Senatore Fidelity Investments
Duncan F. Williams Duncan Williams, Inc.
James H. Williams Financial Telesis, Inc.

(注6) NAC(全米裁定評議会)の決定書はかなり大部である。今回のシティグループマーケテイングの従業員の無権限取引や記録改ざん等違法な営業行為に関する2011年8月9日のNAC決定の原本の確認手順方法について補足しておく。
①FINRA Disciplinary Actions Onlineの画面にアクセスする。
②このアクセスについて5つの英数字の入力および利用に当たっての同意を求められる。
③入力後、決定書の原本が表示される。

(注7) “federal securities laws”とは、SECによると次の法律等をさす。
・Securities Act of 1933
・Securities Exchange Act of 1934
・Public Utility Holding Company Act of 1935
・Trust Indenture Act of 1939
・Investment Company Act of 1940
・Investment Advisers Act of 1940
・Securities Investor Protection Act of 1970
(以下略す)

(注8) FINRAの8月9日の報告書によると、「例外報告書」の内容としては顧客の住所につき通りの住所と市や郵便番号とは不一致であったり、3桁の“telephone prefix”が当該住所の郵便番号と不一致であった。このような赤旗報告に関しムーンは顧客がアリゾナに転居したせいである(このような説明は合理性に乏しいが)と説明した。これに対しシティグループは更なる疑問解決を行うことなくムーンの説明を受け入れた。その結果、ムーンはさらに顧客の資金流用が可能となった。
 特に、監督上の責任欠如が著しい例としては死んだ顧客から死亡の通知を受け取っていたにもかかわらず、ムーンが口座資金の移送や支出を行うのを黙認していた。そのためムーンは未亡人お名前を使って偽の口座を作成できた。

(注9) 投資家を直接投資のキャッシュフローと税制上の優遇措置に参加させるように設計された事業資金投資の手法である。“DPP”は一般的に不動産やエネルギー関連のベンチャー投資が対象である。

(注10) 州と連邦政府の両方によって規制される契約の一種。 契約の裏打ちとして機能する別々の口座価値に依存するため、この契約は典型的な契約に比べより危険である。変額保険や変額年金等が上げられる。変額契約の内容保障のため州保険省によるライセンスを必要とするなど厳格さが求められる。http://www.ldi.state.la.us/docs/commissionersoffice/legal/Regulations/Reg28_Cur_VariableContractRegu.pdf 参照。

(注11) FINRAが管轄する登録および試験の要求要件は、(1)投資銀行・証券業務の監督、業務の監督、営業員の教育等を担当する 個人事業主、役員、パートナー、検査部門の管理者証券会社の部長等に対する「登録プリンシパル(Registered Principal)」に関するもの(Series 4,9および10,23,51.53)、(1)プリンシパル以外の副役員や「一般証券営業外務員 (Registered Representative:RR)」に関するもの(Series 6,7,)、および(3)FINRAが管轄する分野である全米商品先物(Sires 3)、先物に関する支店管理者(Series 30)、先物管理ファンド(Series 31)等に関するものに大別される。

 個々のSiresの内容については、FINRAサイトが逐一詳しく解説しているので別途参照されたい。(わが国で解説されているものは、内容が古かったり不正確なものが殆どである。)
 また、「Series 7」を取得した場合でも、このままでは登録(Registered)された州内だけの営業に限定される。そこで、今度は「北米証券行政協会(North American Securities Administration Association:NASAA)」(2011年6月8日付け本ブログ(筆者注7)参照)の試験で「Series 63」を取得し、全米で営業できるようにする必要がある。
 なお、坂下晃:岡山商科大学教授(元日本証券業協会)がまとめた龍谷大学経営学会経営学論集第50巻4号「米国における証券投資勧誘規制の新たな展開 : 登録外交員(RR)に受託者責任(fiduciary duty)を適用」は実務的にも参考になる内容である。

(注12) 次のような説明が分かりやすい。
「アメリカでは、主に自宅の不動産に含み益があると、含み益を担保に与信枠が作れる。“Home Equity Line of Credits”呼ばれる。たとえば、評価額が100万ドルの物件に、第一ローンが70万ドルあったとすると、物件の価値の90%の90万ドルまで与信枠を広げられます=20万ドルのHELOCを設定できる。このHELOCの与信枠はいつでも「財布代わり」に利用でき、利率もPrime Rate(2011年8月9日現在は3.25%)前後である。また、HELOCの金利支払いはある額まで税金から控除できるので、HELOCを利用して、高級車や大型テレビを買ったり、旅行に行ったりと、まさに、アメリカ人のお財布として活躍してきた。
このHELOCが、危機を迎えている。アメリカで不動産の物件価値が下落し、「含み損」を抱える物件保有者が増え、それが差し押さえの元凶になっている。含み損の影響でHELOCも支払いの滞りが激増し、CountrywideやNational Cityなどの大手の会社が、「与信枠」を取り上げるという、暴挙に出ている。(ウェルズ・ファーゴのサイト解説等から抜粋、仮訳後引用)

(注13) 米国の「メール詐欺」の手口は多様である。2010年1月24日付けの本ブログ(筆者注8)で詳しく解説しているので参照されたい。また、連邦郵政監察局(U.S.Postal Inspection Service)は Mail Fraud Schemes”と題して次のとおり各詐欺手口を分類している。今回のブログでは主たる項目のみ挙げその詳細な説明は省略するが、この種の犯罪手口の迅速な情報公開はわが国でも必須といえよう。

(1)雇用詐欺
販売代理店・フランチャイズ詐欺(Distributorship and Franchise Fraud)
儲かる良い仕事の斡旋詐欺(Phony Job Oppotunities)
マルチ商法詐欺(Multi-Level Marketing Jobs:Pyramid Schemes)
④その他、“Six-Cent and Other Short-Paid Postage”、“Postal Job Scams”、“Work -at-Home schemes”、“Mystery Shopper Scam”

2020.7現在の一覧

(2)金融詐欺
①「ペイ・パー・コール専用電話番号である900番台の偽電話詐欺(900 Telephone Number Fraud) ペイ・テレビジョン等のように利用される“pay-per -call”900番台を使って被害者に働きかけ詐欺行為を行うもの。この詐欺問題に関しては連邦取引委員会(FTC)が「FTC規則」等との関係で詳しく解説している。
また、「ペイ・パー・コール」に関しては、「809」「649」「284」等のように長距離電話を意図的にかけさせる詐欺の警告がFCC(連邦通信委員会:Federal Communications Commission)サイトから行われている。
②前払い手数料式ローン詐欺
③チャリティ詐欺
④クレジットカード詐欺
高齢者向け割引率適用健康保険詐欺(Cut-Rate Health Insurance Fraud)
⑥投資詐欺(Ponzi Schemes)
送り状(インボイス)を偽装した勧誘詐欺


(3)くじや宝くじ詐欺


(4)テレマーケテイング詐欺


(5)その他のメール詐欺
①家の増改築詐欺
②偽相続詐欺

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