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Financial and Social System of Information Security

インターネットに代表されるIT社会の影の部分に光をあて、金融詐欺・サイバー犯罪予防等に関する海外の最新情報を提供

Splogsによる脅威

2010-10-10 07:30:48 | 詐欺社会への警告と対応

 
Last Updated: March 27,2021
 

”Splogs”とは、spam とblogをあわせた言葉である。つまり、このスパマーは「たわごと」のみという例もあるが、多くはギャンブルサイトやポルノサイトの誘導とその利用促進を狙った違法業者の手足として機能するものである。百科事典のWikipediaに最近出てきた用語であるが、2005年10月19日WSJの記事(電子版)をもとにIT詐欺社会の最新情報として紹介する。

 なお、WSJ電子版の記事のNews Archiveは全文は有料会員にならないと読めないが、冒頭の記事分は日付がわかれば検索可である。

(https://www.wsj.com/news/archive/2005/october)

記事本文の冒頭部

 グーグル、マイクロフト、ヤフーなどの検索エンジンを使って違法なサイトの人気を意図的に拡大させるものである。さらに偽ブログの所有者は違法サイトに誘導して消費者が1クリックするごとに数セントの手数料を稼ぐのである。

 つまりブログの作成者を対象にして、最も関連するテーマについて焦点を当てて誘導するのである。この1週間の間に、グーグルの最も一般的なブログ作成ツールである「Blogger」が約13,000のSplogsの作成に寄与したとグーグルは述べている。

 典型的な”Splogs”は、ポーカーの遊び方をブロガーが議論しながら、「オンラインカジノ」や「Texas Hold’em(筆者注:オンライン・ポーカーサイト)」といったキーワードを入力することでギャンブルサイトの画面が現れるように仕向けるものである。

 数百万のブログを提供するグーグルは、6ヶ月前から多数の偽のブログ作成者に通知を始めている。多くのスパマーは数秒間に偽のブログを作成する特別なソフトを使用している。専門家によるとこのソフトとは「BlogBurner」で、1ヶ月の利用料は47ドルであるが、同ソフトの作成者であるリック・ブッツ(Rick Butts)は 本来このソフトは事業主が自動的にブログを作成する目的であり、作成されたブログが当該企業のサイトに関心を持つよう仕向けることが狙いであるとしている。

 「Splogs対策」については、まだ的確な解決策を打ち出した企業はないが、企業防衛における1つの考え方の例としては、「スパムインデックス」とレートブログを連動させて、次に自動的にブログをアップデートする都度ブログのサーチエンジンと情報を共有するというものである。すなわち、サーチエンジンのもつ特定のブログを無視する機能を使うものである。

 ユーザーの中には、独自の対策をとっている者もある。フランク・グルーバー(Frank Gruber)は「SplogReporter.com」というサイトを開設している(2010年10月現在、閉鎖されている)。つまり、だれでも疑わしいブログのウェブアドレスを提出させることができ、疑わしいスパマーとみなしうるインデックスレートを作成するものである。さらに”Splogs” に関するデータベースを構築中である。

〔参照URL〕https://www.wsj.com/articles/SB112968552226872712

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(今回のブログは2005年10月21日登録分の改訂版である)
                            
Copyright © 2005-2010 芦田勝(Masaru Ashida ).All Rights Reserved.No reduction or republication without permission.




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国際商工会議所(ICC)の詐欺問題とマネーローンダリングの取組み

2010-10-09 17:12:44 | 詐欺社会への警告と対応

 
Last Updated: March 20,2021
 

  国際商工会議所(International Chamber of Commerce:ICC)の歴史は第一次世界大戦後の復興と自由な国際通商を目指して欧米主要国が1920年にICC総会を開催したことに始まる。現在、世界130カ国、約7400社の会員を要する国際的な機関(国際事務局はフランスのパリ)である。
 アジア地区の日本委員会の歴代会長は日経連や日銀総裁、日商・東商会頭などが努め、現在は三菱商事社長の佐々木幹夫氏が会長である。2020年3月、株式会社IHI 斎藤保代表取締役会長が日本委員会会長に就任した。

   

 ICCの主な活動の1つに商事犯罪や海賊事件等に関する情報提供活動の推進があるが、最近では犯罪行為の国際化、ハイテク化に対応して、以下紹介するような活動が顕著になっている。

1.2005年10月13日~14日にICCの機関である商事犯罪サービス局(Commercial Crime Services:CCS)が中心となって第10回国際会議「詐欺とマネーローンダリングに関する国際会議(Fraud and Money Laundering)」を開催する。
  CCSは、2004年に設置され、ホワイトカラー犯罪に関する法律事務所のネットワークを目指すものであった。世界中の裁判制度における詐欺(fraud)、金融資産の手がかり(asset tracing)、マネーローダリング、サイバー犯罪に関する専門家チームを集めて活動する。多くの詐欺事件は、被害者にとって複雑な法的地雷源をもたらす複雑なオフショアー非課税地域(offshore havens)問題を含む。これらの犯罪の捜査におおいて成功を収め、また資産を回復するためには、専門性と経験が必要である。

2.国際的な反偽造対策ディレクトリー(International Anti- Counterfeiting Directory)の発刊
 毎年、PDF型式で定期的に発刊している。このディレクトリーは世界中の反偽造対策に関する主要な法律事務所、技術会社、捜査機関が詳細を説明した重要な情報源として有用である。①専門性を持った法律事務所名とそのコンタクトの取り方、②反偽造に関する専門企業の製品と技術の詳細、③偽造に関する捜査専門会社の一覧の3つの部門に分かれている。

3.CCSの最近のトピックス
①南アフリカのコモロス諸島のアンジュアン(Anjouan)の銀行から不正なトラブル事件、特に貿易金融(trade financing)の申し出、商業貸付、担保付貸付が信用状、スタンドバイ信用状 銀行保証などの偽の金融商品をかたって行われているとの報告を受けている。
②有名なスイス信託基金(Swiss Foundation trust)の元で中東全体を行き渡る投資を売り込む有名な詐欺グループが活動を再開している。

4.金融犯罪捜査事務局(Financial Investigation Bureau
金融窃盗犯罪および金融犯罪捜査事務局は世界的な詐欺に関するあらゆる問題について金融機関、一般企業、個人投資家、会計事務所などの民間部門に答えを提供する機関である。

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(今回のブログは2005年10月5日登録分の改訂版である)
                            
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ハリケーン「カトリーナ」と詐欺社会の盲点

2010-10-08 17:23:09 | 詐欺社会への警告と対応



 Last Updated: March 16,2021

 2005年8月29日、米国東南部ルイジアナ州などを襲ったハリケーン「カトリーナ」の被害(死者1,695人、行方不明者135人の犠牲者)が判明するにつけ、①これは多くの原因が人災であるということ、②世界一の豊かさと貧困が隣り合わせの国の現実、③情報ネットワークが世界一進んでいるといわれていた国の現実を垣間見た気がする。 (注1)

 心から家族や家を失った方々へのお見舞いの言葉を贈りたい。

 さて、このような社会的な混乱の中で相変わらず「IT詐欺」が横行している(強奪ではない、ぬくぬくとはるか彼方から被害者をねらっているハイエナたちである)。
 最初に狙われたのが、①赤十字への寄付や慈善寄付をオンライン・オークション業者を介して行おうとするウェブサイト(katrinaourtsunami.com、katrinadonation.com,katrinarelief.com等である。どのような組織か調べようがない)、②救援部隊のメンバーに宛てた資金援助と称するもの等が、ハリケーン被害の直後から出て来ている。Paypal やeBayは8月31日に赤十字に無許可であったいくつかのウェブサイトを閉鎖している。

 マスターカードや警備会社の調査結果では、昨年の東南アジアの津波の際も、170以上の「救援詐欺サイト」が現れて、義援金を吸い上げていたとのことである。今回も、正規の企業名(政府機関名も使われていた)をかたって寄付者に銀行口座番号やクレジットカード番号を聞き出すケースがでている。

 このための対策としては、連邦取引委員会(FTC)は、寄付者は相手である組織の評判を自分自身で調べ、自分で電話すること、またウェブのアドレスに改めて入力することが大切であるとしている。

 連邦国土安全保障省・緊急事態管理庁(Federal Emergency Management Agency:FEMA)のウェブサイトでは、このような違法な詐欺行為を阻止するため、民間事業者団体であるベター・ビジネス・ビューロー(BBB)(注2)(慈善事業団体を日頃からモニタリングしている)を通じ、正規のウェブサイト名の確認を行うよう勧めている。(注2-2)

 実は、連邦司法省は約1年後「Hurricane Katrina Fraud Task Force」報告(全54頁)を行っている。

同報告はDOJ刑事局長( Assistant Attorney General Alice S. Fisher)が司法長官 Alberto R. Gonzales宛に行っている。

Alice S. Fisher氏

 要は拙速な行動は避けるということである。わが国でも同様の被害が懸念されるのでワシントンポスト紙(9月1日)を参考に緊急ニュースとした。

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(注1) わが国でも多くの関係機関による現地レポートがあるが、たとえば次のレポートはわが国の検討すべき課題と関連したレポートといえよう。

(注2)アメリカおよびカナダの商事改善協会。 20世紀初期に不正な広告,販売慣習から消費者を保護するため発足した業界の自主団体

初めは不正広告の規制が目的であったが,その後誤解を招きやすい広告や疑問の多い販売方法なども調査して消費者に知らせるようになった。アメリカではニューヨークに本部をもつナショナル BBBが全国的な問題を扱い,各地方のローカル BBBが地方の問題を扱っている。

(ブリタニカ国際大百科事典から抜粋)

この説明は誤りではないが、最近時のBBBの活動の実態を説明していない。筆者なりに補足する。

(1)一見、amazonから送られてきたメールのようであるが、偽amazonサイトからの「おめでとう××様!AirPodsが当たりました。クリックして受け取りの手続きを行ってください・・・というものである。ここから先は受信者の個人情報が盗まれるだけである。実は数か月前に同様の偽amazonメールが筆者にも届いた。その際、筆者は発信者のドメイン国を確認したらなんと”ch”(中国)であった。ただちに同メールを破棄したことはいうまでもない。

(2)米国・カナダのチャリテイ詐欺の発生地域に関するリアルタイム・トラッキングおよび詐欺被害報告サイト

このサイトで、筆者はキーワード「covid19」で、詐欺のタイプは「charity」を選んで検索した。


〔参照URL〕
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2005/08/31/AR2005083102574.html?referrer=email
https://www.justice.gov/sites/default/files/criminal-disasters/legacy/2012/07/30/KatrinaProgressReport10-18-05.pdf
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(今回のブログは2005年9月3日登録分の改訂版である)
                            
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安全な金融取引とはー詐欺社会で生きてゆくために

2010-10-07 17:06:19 | 詐欺社会への警告と対応



 日本でもやっとカード偽造・盗難カードの被害者補償法である「偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律(平成17年8月10日法律第94号)」が第162回通常国会で成立した。

 しかし、詐欺社会の問題解決は実は緒についたばかりなのである。解決すべき課題は多い。カード自体の安全対策について欧米並みにICチップカード化の早期実現、本人認証技術としての生体認証(静脈、指紋、虹彩、顔相、音声、DNA等)の是非、振込め詐欺等高齢者や情報弱者を狙った詐欺は今後ますます増えることは間違いない。

 これらの背景には、IT社会が急速に進展する一方で、そのぜい弱性を狙った詐欺組織・集団が内外を問わず闊歩し始めていることは無視しえない問題がある。

 このブログは、これらの問題に国を挙げて取り組んでいる欧米主要国に最新例を引用しつつ、日本が取り組むべき方向感を示すべく、挑戦するものである。

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(今回のブログは2005年8月18日登録分の改訂版である)
                               
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