先生は,こんな本を読んでいます

読み聞かせを15年間毎日続けているちばちゃん(先生)が
読んできた本の紹介をします

25.飯田朝子『数え方もひとしお』小学館2005年

2006年03月30日 | Weblog
▼ 著者の飯田さんは、『数え方辞典』でスマッシュヒットを出した
 方です。この本は約10万部売れました。辞典の類で、10万部と
 は素晴らしいです。日常的な名詞項目約4600語について、数え
 方やその由来を書き表しています。

▼ さて、この『数え方もひとしお』ですが、数え方の意外なエピソ
 ードについて記述されています。作者自身の体験というか、生い
 立ちが描かれています。
  面白いエピソードをいくつか紹介します。

▼ まず、タイトルにもある「ひとしお」の意味、知っていましたか?
  私は、よく子どもたち(2年生以上)に問題を出しました。
 
  これから、1年生の漢字のテストをするよ。

  「わー簡単だー!」という子どもが殆どですが、「何かあるな?」
 と疑いをもっている子どももいます。
  そして、黒板に漢字を書いていきます。

  1 だし   2 じって   3 ひとしお   4 きんす・・・

  10問書きます。漢字自体は1年生で習っているのですが、
 意味は難しいものばかりです。
  中でも難しいのが、「ひとしお」です。これを漢字で書ける子ど
 もはまずいません。みなさんは、書けますか?
  
  ●雨が一入、激しく降ってきた。

  「ひとしお」は「一入」と書きます。「ますます」「いっそう」
 といった意味です。
  さて、これの由来は、次のように書かれていました。

    「ひとしお」は「一(ひと)」と「しお」から成る
    数え方。調べてみると、これは飛鳥時代以前から日
    本に伝わる、布を藍で染める工程に由来しているの
    だそうです。「しお(しほ)」は漢字で「入」と書
    き、染料に木綿布や麻布を浸し入れる回数を表しま
    す。つまり、藍の染料に布を1回くぐらせることを
    「一入」と言ったのです。染料に入れられた布を空
    気に触れさせると、色がだんだん緑色から青色にな
    っていきます。この作業を「二入」「三入」と何回
    も繰り返していくうちに、やがて布は深く美しい藍
    色へと染め上げられていきます。昔の人は、人が喜
    びや感慨に浸ることを、藍色の美しさがより深くな
    っていく様子になぞらえたのでしょう。

▼ 学校で子どもたちに話すネタが増えました。
  もう一つは、国語の教科書に古くからある作品「一つの花」に
 ついてです。(今西祐行 作)
  現在も4年生の教科書に載っています。私も習った作品ですの
 で、もう30年以上も載っている名作です。

  太平洋戦争が激しくなってきた頃のお話です。ゆみ子が「おじ
 ぎり、一つだけちょうだい」と言って父親を困らせる話です。困
 った父親は、プラットホームの片隅に咲いていたコスモスの花を
 ゆみ子にわたし、去っていきます。

  さて作者は、子どもの頃の授業について記述しています。授業
 の中の先生の説明を次のように書いています。

    先生の説明を聞きながら、私は自分でもびっくり
    するくらいドキドキしていました。大袈裟かもし
    れませんが、ヘレン・ケラーが「ウォーター(水)」
    という言葉の意味を悟ったときにも似た衝撃を感
    じていました。目の前に立ち込めていた雲がパッ   
    と消え去り、視界がスッと明るくなっていったと
    言うべきでしょうか。

  この先生は素晴らしい先生です。少なくとも、指導力のある先
 生でしょう。30年以上の前の授業なのに、未だに授業を覚えて
 いる児童がいるのですから。
   それは、数え方についての問いから始まりました。

    どうしてこの小説の題は『一つの花』というと思
    いますか?

  題名を問うのは、結構難しいレベルです。教師の解釈が大切に
 なってきます。
  その教師は次のように説明したそうです。

    おにぎりは『1個、2個』で数えます。コスモス
    の花は『1輪、2輪」ですね。物によってそれぞ
    れ数え方が違います。でも、このお話はおにぎり
    とコスモスの花を交換したことによって、父親の
    娘に対する愛情が描かれているので、おにぎりも
    コスモスの花もまとめて『一つ』と数えているん
    ですね。だから題名は『一つの花』になっている
    んですよ。
  
▼ 著者が『数え方』に興味をもったのも、おそらくはこの一件
 からでしょう。
  あらためて、教師の影響力を知らされた本でした。

24.藤原正範『少年事件に取り組む』岩波新書2006年

2006年03月21日 | Weblog
▼ 副題が「家裁調査官の現場から」です。
  家裁調査官とは、詳しくは家庭裁判所調査官のことです。
  どのようなお仕事なのか、『大辞林』で調べてみました。
 
    家庭裁判所に置かれ、裁判事務を補助する職員。家
    庭事件の審判および調停につき事実の調査をし、少
    年審判事件につき少年の観護・観察などを行う。

▼ ここで「少年」という言葉が出てきますが、みなさんは「少年」
 が何歳以下を指すのがご存知でしょうか?
  「少年法第2条第1項」では、以下のように定めています。

    ●20歳に満たない者
    つまり、0歳から20歳の誕生日前日までの人のことです。

  児童福祉法では、18歳未満が「児童」と呼ばれています。
  しかし、選挙権は20歳、喫煙・飲酒が許されるのも20歳です
 ので、少年は20歳と定義されているのでしょう。

▼ さて、この本は少年の「非行」について書かれた本ですが、筆者
 は非行の起きるメカニズムとして、次のように書いています。
 
    28年間の家裁調査官生活から来る率直な感想であ
    るが、非行の起きるメカニズムとして、「性格」と
    「環境」に加え、「偶発的要因」という項目を加え
    たい。

  この「偶発的要因」の話は、納得させられました。

  ある高校生男子Aの話が出ていました。運動部で活躍しており毎
 日電車で着いた後、約30分間自転車で登下校している子の話です。
 彼の自転車は、駅の自転車置き場に保管するようにしていました。
  ある朝、自分の自転車の鍵が壊されて、自転車が無くなっている
 ことに気づきました。その日は、試合直前の大事な練習のある日で
 した。
  ふと目をやると、鍵のかけていない自転車があります。
  「今日1日だけ借りて、後で返そう。」
 と思い、自転車を無断で載っていきました。そして、帰りの自転車
 置き場で窃盗として捕まったということです。

▼ このようなケースが「偶発的要因」のケースだそうです。
  この家裁調査官の方は、次のようにいいます。

    Aの性格に非行を起こしやすい傾向があるとは思え
    ず、普通以上に真面目な高校生と言っていいくらい
    であった。それでもこういうことはあるわけだ。こ
    の事例のように、1人の盗みが次々ほかの者の盗み
    に連鎖する現象にはよく出会う。

  私もこういう事例はだれにでも起こりえるものだと思っています。
  だからこそ、こういう事例を、普段の生活の中で子どもたちに語
 る必要があるのだと思います。
  そして、もし起こってしまったとしても、2度と起こさないよう
 に、私たちは努めなければなりません。
  「常習犯罪者」を出さないためにも。

     常習犯罪者の問題が解決できることなのかどうか
    私にはわからない。盗みの常習者1人が一生涯で生
    み出す損害額、暴力の常習者1人が一生涯で手に掛
    ける被害者数、性犯罪の常習者1人が一生涯で毒牙
    に掛ける被害者数、薬物の常習者が引き起こす犯罪
    の数々、それは恐ろしいほどである。常習者の1人
    を救い出すことによって多数の被害者を生み出さな
    いで済むのである。
     非行に立ち向かう専門職はそのことを考えながら
    仕事をしなければならない。
私のHP「すぐできる読み聞かせ・ゲーム・心の話」もご覧に
 なって下さい。

23.田上幹樹『快適習慣の落とし穴』生活人新書2006年

2006年03月19日 | Weblog
▼ 副題に「懲りない患者」とついています。糖尿病・高血圧につい
 ての多くの著書を持つ田上医師と患者との本音の会話を再現した
 本です。
  患者との「死を意識」した厳しいやりとりが忠実に文章化されて
 います。

    「生活習慣病」は自覚症状がないまま病気が進行す
    る。だからこそ、病気と密接な関連がある「生活習慣」
    を変えようというインセンティブが働かない。なぜイン
    センティブが働かないのか、理由は明白である。「生活
    習慣」は大部分が「快適習慣」、変えられないのではな
    くて変えたくないからである。

▼ 昨年暮れに、尿管結石になったり、人間ドックでひっかかったり
 した私は、この部分に同感します。
  「変えよう」と口では言っているけど、心の中ではやっぱり「変え
 たくない」のです。
  
  「死の四重奏」という言葉をご存知でしょうか?
     ●肥満  ●糖尿病  ●高血圧  ●高脂血症
 の4つのことです。
  私は4つとも縁がないと思ってきましたが、どうやら血圧が高そう
 です。
  他の3つもこれからの食生活で、どうなるかわかりません。

▼ 著者は糖尿病が専門ですので、糖尿病の事例が多く書かれてい
 す。
 
    「糖尿病が強く疑われる」有病者は約740万人、「糖
    尿病の可能性を否定できない」予備軍が約880万人(
    合計1620万人)と推計されている。糖尿病患者の急増
    を抑制するためには、専門医によるきめ細かい指導が
    必要であるが、糖尿病専門医は3095名(2005年11月)
    にすぎない。

  そして、糖尿病とガンの関係についても示唆しています。

    糖尿病とガンはともに頻度の高い病気であり、両者の
    間に何らかの関係が存在するのではないかという報告
    は古くから散見された。最近、糖尿病とガンに多くの
    共通した要因が存在することが次々と明らかになり、
    両者の関係が改めて注目されている。

▼ 著者の病院には「生活習慣病クリニック」が新設されたといいま
 す。
  「生活習慣」を変えることは難しいです。積み重ねてきたことを
 変えることは、かなりの努力が必要です。
  実は、私はカイロ整体に通ってもう1年になりますが、この「習
 慣」を変えることと闘っています。
  姿勢や歩き方・寝方・・・、意識していないと、すぐに今までの姿
 に戻ってしまいます。24時間意識するとは言いませんが、常に頭の
 片隅に置いておく必要があります。

    「生活習慣病」の診療では、変えたくない「生活習
    慣」を一歩ずつ改善するためのきめ細かい指導が必
    要であり、その積み重ねが合併症の予防につながる
    ことは、医療スタッフの誰しもが認めるところであ
    る。
  
  これを読んで、改めて自分の生活を見直さざるを得なくなりまし
 た。
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22.鷲巣力『宅配便130年戦争』新潮社2006年

2006年03月13日 | Weblog
▼ 私は、教師をするまで、「宅配便」を「宅急便」と呼んでいまし
 た。教師になり、宅急便というのは、ヤマト運輸の宅配便の愛称だ
 ということがわかりました。
  次の名称は、みなさん、聞いたことがあるでしょう。

    「佐川急便」佐川急便
    「ペリカン便」日本通運
    「カンガルー便」日本通運
    「フクツー宅配便」福山運輸
    「名鉄宅配便」名鉄運輸
    「ふるさと特急便」「パンサー宅配便」トナミ運輸
    「中越宅配便」中越運送
    「ハート宅配便」岡山県貨物運送
    「西武宅配便」西武運輸

▼ 全国に宅配便業者は昨年の3月現在、34社あるといわれてい
 ます。よく知られているのは、上記の企業でしょう。
  先ほど、ヤマト運輸の「宅急便」が全ての総称のように思って
 いたと書きましたが、ヤマト運輸のトラック輸送による取り扱い
 個数のシェアは、37.2%で1位です。
  
▼ 私は、本を宅配で頼みます。1か月に1~2度は必ず頼みます。
 本の会社(例えば、アマゾンやBK1・ブックオフなど)によっ
 て、宅配便の委託会社が違うのです。
  でも、1番サービスがいいのは(私が個人的に感じるのは)、
 ヤマト運輸だと感じます。ある会社は、7時を過ぎたら、もう営
 業を終えていました。ヤマト運輸は9時までだったら電話がつな
 がり、必ず届けてくれます。
  共働きにとっては、頼もしい存在です。

▼ ヤマト運輸の小倉社長は、宅配便誕生の経緯の1つとして、身
 近な経験をあげています。

    小倉氏は、まだ宅配便を始めていない頃に、子息
    の洋服のお古を、甥に送ろうとしたことがあった。
    ところが、自分には送る手段がないことに気づい
    た、という。輸送会社の社長にして、輸送手段を
    もたない。家庭の主婦が日頃経験している不便さ
    を思い知ったわけである。同時に、「家庭市場は
    狙い目だ」と悟る。

  「目の付け所」が我々とは違うのです。

▼ 現在、ヤマト運輸は郵政省と闘っています。「ゆうパック」との
 闘いといった方がいいかもしれません。
  郵政公社の「ゆうパック」は2002年度で、宅配便市場の5.7%
 を占めるに過ぎませんでした。しかし、その2年後の2004年度は、
 7.47%に増加し、2005年度は10%を目標としているそうです。
  コンビ二は、今までヤマト運輸がその殆どを押えていたのですが、
 2005年には、ゆうパックの取り扱い店数が、ヤマトの取り扱い店数
 を上回りました。

▼ 「官」から「民」へ、郵政公社も移っていくわけですが、「民」
 というのは、「官」よりもいいのでしょうか?
  かつての、郵政公社について、笹かまぼこの会長は、次のように
 批判していました。

    郵便小包の欠点は、あて先不明で1か月くらいあと
    に戻ってくることがたまにあったことです。原因不
    明で戻ってくることもありました。一方、注文者か
    らは『まだ届かない』という苦情がときどき入りま
    した。確実性に欠けていたのです。
 
    ことにお歳暮やお中元の季節には、大量の注文を受
    けました。会社の近くにある中央郵便局で荷造りし
    て、ギリギリの時間に郵便局に持ち込む。そうする
    と、局員が露骨にイヤな顔をする。彼らにしてみれ
    ば、仕事がおしまいになる時間に仕事が入ってくる
    わけで、面白くなかったのでしょう。商品を放り投
    げたりして、扱い方がとても乱暴でした。

    郵便局に不満を抱いていたことが、宅急便を使って
    みた最大の理由だという。ところが、使ってみると、
    思いのほか、トラブルもないし、事故もない。しか
    も、お中元やお歳暮の繁忙期には、応援部隊が数人
    から10人も来てくれて、発送を手伝ってくれる。
    こういう支援は今日まで続いている。

▼ 公立小中学校は、まさしく「官」です。
  「官」の良い面もありますが、悪い意味で「官」と言われない
 ように、私たちも気をつける必要があります。そんな思いを抱か
 せてくれた本だったなあと思います。

私のHP「すぐできる読み聞かせ・ゲーム・心の話」もご覧に
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21.竹内一郎『人は見た目が9割』新潮社2005年

2006年03月12日 | Weblog
▼ ブックランキング上位を走る新書です。ベストセラーになってい
 ると聞いています。
  実は、この本の著者の竹内一郎さんからメールが来ました。
  昨年の秋頃だったと思います。

    あなたのホームページの内容を本に載せます。

 という内容のメールでした。そして、1週間後に新潮社から本が送
 られてきました。

▼ 私のHPの内容が載っているのは、

    第7話 良い間、悪い間、抜けてる間

 の『「読み聞かせ」のコツ』という部分です。3ページにわたって
 内容が紹介されています。

    小学校の先生で千葉昌之という方が、「『間』のと
    り方の工夫」という題で、ホームページ上に文章を
    載せている。彼は「読み聞かせ」のアイデアとして、
    「重要な部分の『前』『後』では、しばらく沈黙す
    る」と書いている。・・・・・

▼ 何だか宣伝になってしまいましたが、この本は、とても面白かっ
 たです。
  心理学・社会学からマンガ・演劇など、様々なジャンルの知識に
 基づいたコミュニケーションのとり方が記されていて、参考になり
 ました。
  ある文章を紹介します。この本の題名のいわれでしょうか?

    アメリカの心理学者アルバート・マレービアン博士
    は人が他人から受けとる情報の割合について次のよ
    うな研究成果を発表している。
      ○見た目・身だしなみ、仕草・表情 55%
      ○声の質(高低)、大きさ、テンポ 38%
      ○話す言葉の内容 7%
    話す言葉の内容は7%に過ぎない。殆どは、見た目・
    身だしなみ、仕草・表情、声の質、大きさ、テンポ
    で決まっているのである。
     ついついコミュニケーションの「主役」は言葉だ
    と思われがちだが、それは大間違いである。実に9
    割以上が、見た目その他だということが分かってく
    る。多くの人が実は「人を見かけで判断」している
    のだ。

▼ そして、学校教育を次のように批判しています。

    にもかかわらず、学校教育では「言葉」だけが、
    「伝達」の手段として教えられる。だから7%を
    「全体」と勘違いしている人が生まれる。たとえ
    ば、「本をたくさん読む人」が必ずしも「情報を
    たくさん摂取している人」ではないのである。私
    たちは「本をたくさん読む人」の中に、人望もな
    く、仕事もできず、社会の仕組みが全く理解でき
    ていないと思える人がたくさんいることを知って
    いる。

▼ これは一理あると思います。
  私が勤務した以前の学校でのこと。
  その学校は「夏休み体験文発表会」というのがありました。クラ
 ス全員の発表を行い、クラスの代表1名を決め、全校で発表会を行
 うというものです。
  さらに、12名の発表者(1学年2クラスでしたので)の中から、
 最優秀賞・優秀賞などの賞を決めるのです。
  当時(13年前)、4年生の受け持ちでした。代表をクラスで選び
 ましたが、どうも内容があまり良くなかったのです。しかし、声の
 大きさや声の張りの良さ・テンポが抜群の子どもでした。
  内容は変えられないので、その良い部分だけを練習して大会に臨
 みました。
  すると、最優秀賞(6年生のあるクラスと同票の)に輝きました。
  
▼ 子どもの選挙演説なんかもそうですよね。
  内容はたいして変わらないんですよね。それよりも、声の大きさ
 や質・表情などが大きなポイントになると思っています。
  最近は、スピーチやプレゼンテーションなどの方法を教える授業
 が行われています。非言語のコミュニケーションを重視する傾向が
 出てきていると言えます。

▼ 最後に、実生活でのヒントとなる文章をいくつか載せます。

    人間は、前髪を垂らすと、3~4歳は若く見えると
    いわれる。だから、自分を若く見せたい場合は、一
    般に前髪を垂らす。大人びて見せたい場合は、前髪
    を上げる。

    子供の遊戯室の内装の色と知能指数の関係を調べた
    のである。子供たちを2つのグループに分け、1つ
    は明るい色を使った部屋、もうひとつは白と黒と茶
    に塗った部屋で遊ばせたのである。明るい色を使っ
    た部屋で遊んだ子供たちの知能指数は12点上昇し、
    白黒茶に塗った部屋で遊んだ子供は、14点も下が
    ったのである。

    1組の男女が結婚する確率は、婚約者同士の距離が
    遠くなるほど減少する・・・・・。これはボッサードの
    法則といわれる。
 
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20.高橋龍太郎『職場のうつがスカッと晴れる』法研2005年

2006年03月06日 | Weblog
▼ 新聞にも出ていますし、医療関係者から聞いたこともあるのです
 が、先生方の「うつ」は結構多いそうです。
  この本は、「うつにならないための」予防の本です。精神科医の
 方が書きました。
  副題は「会社が楽になる実践心理アドバイス」です。

▼ 教師は対人関係の職業なので(全てそうでしょうが・・・・・)、人
 間関係がうまくいかないと非常に悩むものです。まして、子どもた
 ちとは、毎日、顔を合わせるのですから、子どもたちとの関係がう
 まくいかないと非常につらくなるものです。
  私は教師9年目(9年目の「く」るしみと呼んでいます)に、つ
 らかった時期がありました。具体的には書けませんが、頭や体が重い
 日が続きました。
  私はこういう状態になると、なぜか「眠く」なるのです。よく眠
 る日々を過ごしました。(と言っても睡眠7~8時間位でしたが)
  「あの日々が続いたら、うつになっていたのかなあ?」なんて、
 今にして思います。

▼ その状態を抜け出せたのは、次の考えに達した時でした。本誌に
 こうあります。

          悩みのない人はいない

    仕事もプライベートも順風満帆。そんな状態が永遠
    に続く人はまずいないでしょう。どんな人格者であ
    っても、避けては通れない壁が必ずあるものです。
    親の介護の問題、肉親との士別、配偶者や恋人との
    別離など、悩みの種類や大きさは人それぞれでしょ
    うが、プライベートな問題が仕事に支障を来すとい
    うことは、誰にでも起こりうることです。

▼ 何のことはない文章ですが、この気持ちというか、境地に立てる
 かどうかだと思います。

    ●子どもは、うるさくて当たり前。
    ●子どもは、いたずらをして当たり前。
    ●子どもは、できなくて当たり前。
    ●子どもは、同じ失敗をして当たり前。
    ●子どもは、言うことを聞かなくて当たり前。
     (でも、子どもは、かわいい。)

 こう思えた時、何だか悩んでいたのがバカバカしくなりました。

▼ 当時の自分は「プチ仮面うつ病(もどき)」というようなものだ
 ったのかなと思っています。

    「仮面うつ病」といって、訴えるのは身体症状のみ
    で、ニコニコしながら来院される人もいます。仮面
    うつ病の仮面とは、心の状態をマスク、つまり仮面
    で隠しているという意味で、このような人は端から
    見ると心はいたって元気に見えますし、本人にもう
    つかもしれないという意識はまったくありません。
    しかし、よくよく話を聞いてみると、その身体症状
    はあきらかにうつから来ているのです。

▼ 私は、北海道・道東の超僻地校で義務教育を過ごしました。9年
 間、男子1人という状況は、みなさんは想像できないでしょう。
  女子は4~7名いたのですが、男子は私1人でした。
  仮面をかぶっていたわけではないのですが、気をつかって生きて
 きた気がします。子どもの頃の性格というのは、一生物ですよね。
  O型なのにA型だと間違われてしまうのも、わかる気がします。
  まあ、だからこそ、このようなブログを作ったり、HPを運営し
 ているのかもしれませんね。
  今の座右の銘は「プラス思考」と「継続は力なり」です。みなさ
 ん、気楽に、でも、コツコツとがんばりましょうね。
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19.渡邉恒雄『わが人生記』中公新書ラクレ2005年

2006年03月04日 | Weblog
▼ 巨人の渡辺恒雄球団会長さんば、ナベツネと呼ばれています。
  「ナベツネ暴言集」なんていうサイトも、たくさんあるんですよね、これが・・・・・。
  私も新聞紙やテレビの報道を目にする度に腹を立てたものです。

▼ 「ナベツネの本なんて、読むものか!」という人は多いでしょう
 が私は反対に興味がありました。
  『わが人生記』というタイトルでしたから、この方がどのような
 半生を歩んできたのか、どういうことを考えて発言したのかに、大
 変興味がありました。
  その人本人から話を聞かなければ真相はわからないと思いますの
 で(教師ですから、噂に惑わされず、本人から聞かなければいけな
 いと思っていますので)本を手に取ってみたわけです。

▼ 子どもの頃は詩人願望があったそうです。
  教師との出会い、教師のほめ方で、子どもが夢をもつということ
 がよくわかります。

    東京・杉並区の小学校1年生の時、担任の音楽教師・
    内田金次郎先生に、作文の宿題を命じられ、私は1編
    の童謡を作って提出した。その数日後、授業のはじめ
    に、内田先生が黙って黒板に白墨で童謡を書き始めた。

    その題名は「ポンポン丸」というのだが、題名の次に
    「渡辺恒雄」と書かれた。当時、小さいローソク1本
    で、たらいの中を走るモーター・ボートの小玩具があ   
    って、その遊びの感動と悦びについて韻を踏んで綴っ  
    た童謡であった。黒板に歌詞を書き終わると内田先生
    は、オルガンに座って、自ら作曲したその歌を歌い始  
    め、全生徒に合唱させた。

    それだけのことだが、小1の私にとってはきわめて誇
    らしい事件であった。ひそかに私は、自らに詩人の才
    があるのではないかと思い始めてしまった。

▼ 今年で80才になる方ですので、小1だと74年も前の話になり
 ます。
  小学1年の時の担任の先生の名前をフルネームでみなさん、覚え
 ていますか?(私は覚えています。今も年賀状をやりとりしていま
 すから。でも、小学1年生の時の担任だけです。)
  70年以上も前のことを、これだけ鮮明に覚えているということ
 はよほど記憶に残るできごとだったからでしょう。教師の影響の大
 きさを物語っています。

▼ さて、2004年夏の「たかが選手」騒動についての話です。

    「たかが選手」というたった5文字が、この3か月余
    りに、あらゆるマスコミに登場した回数は、数えたこ
    とはないが、千回、いや一万回にもなっただろう。
    この5文字の際限もない反復は、プロ野球界を分裂さ
    せ、選手ストを熱狂的に支持させ、「ナベツネ」を、
    あたかもサダム・フセインと並ぶ世紀の悪者にするた
    めに、絶大な効果をもたらした。

 と自らの文で書いています。

▼ 2004年7月8日に、渡辺氏は、都内のホテルで読売の役員と会食
 をした後、恒例の取材を受けたそうです。
  渡辺氏は、次のように書いています。

    日刊スポーツ・S記者「明日、選手会と代表レベルの
    意見交換会があるんですけれども、古田選手会長が代
    表レベルだと話にならないんで、できれば、オーナー
    陣といずれ会いたいと(言っている)」

    渡辺「無礼なことをいうな。分をわきまえないといか
    んよ。たかが選手が。たかが選手だって立派な選手も
    いるけどね。オーナーとね、対等に話をする協約上の
    根拠は一つもない」

    調べてみると事実は、古田選手は「同僚のヤクルト・
    真中選手が『オーナーと話をしたい』と言っているが
    ?」と記者に聞かれて、「そうですね。でも、それは
    無理じゃないですか」と答えただけだった。私がスポ  
    ーツ記者S君の質問に対し、反発した「古田発言」は
    もともと存在せず、虚構にすぎなかったことになる。
    「たかが・・・・・」と言ったのは、酩酊していたとはい
    え、まことに軽率だったが、すぐ気づいたから「立派
    な選手もいるけどね」と追加したのだが、後述する「
    はめ取材」を得意とする記者たちに、「たかが選手」
    は野獣に食いつかれた獲物の如くむさぼられ、「立派
    な選手」はゴミの如く捨てられてしまった。

▼ 私は、これを読んでも、渡辺氏にはあまり好感は持てませんが、
 一時の「ひどい悪者」といった感情は無くなりました。
  こういう話は水掛け論的なもので、お互いの都合に良い文章に書
 き直されているものです。
  でも、両者の文を読まなければ、客観的な判断は難しいと思いま
 す。
  少なくとも、この本を1冊読み終え、「無骨だけど、心は暖かい
 人なんじゃないのかな」という印象をもちました。
  読書の話になりますが、渡辺氏も少年時代にヘルマン・ヘッセの
 『デミアン』に感激したという話には共感しました。(三浦綾子さ
 んをはじめとして、この本に感銘を受けた方は多いのです。もちろ
 ん、私もその一人です。)
私のHP「すぐできる読み聞かせ・ゲーム・心の話」もご覧に
 なって下さい。

18.内藤いづみ『あなたが、いてくれる。』佼成出版社2005年

2006年03月03日 | Weblog
▼ 副題が「在宅ホスピス医 いのちのメッセージ」とあります。
  私は一昨年、父を亡くしました。発病から2か月の入院で逝って
 しまいました。あまりにも、あっという間の時間でした。
  最期はホスピスにいたのですが、「何とかして自宅に帰してあげた
 い。」という希望は、かないませんでした。

▼ 私の母が病室に泊まり、様々な面倒をみていました。私も1日だけ
 泊まりました。
  子どもにかえった父が「・・・してほしい!」と頼むのですが、も
 っと泊まって、話をたくさん聞いてあげればよかったと思います。
  「きちんと聞く」ことが本当に大切なようです。

    私自身、がんの末期患者さん、そしてご家族の方とお
    つき合いをする中で、「きちんと聞く」ということが、
    どれほどむずかしいことか痛感させられます。看護師
    さんには「とにかく聞いてあげて、相手がいったこと
    を評価したり道筋をつけたりしないでください」って
    いっているんです。特に死に近い人たちの場合、孤独
    なんですよ。
     
    今、お医者さんは患者さんと話す時、どこを見ている
    と思います?コンピューターですよ。手もにぎらない。
    日本の医療は臓器とか、細分化したものに対する研究
    はすごく進んでいるんです。でも、悪い臓器を背負っ
    て生きている一人の人間として見ることができなくな
    ってしまったんですね。

▼ 上記のことは、全てのことにあてはまります。
  私も、子どもたちや保護者に対して、資料を見ながら話すことがな
 かっただろうか、機械的に話すことをしたんじゃないのかということ
 を振り返ってみる必要があると思いました。

▼ また、次の言葉も非常に勉強になりました。

    「生きていくうえで、重要な要素はなんでしょうか?」
    この質問を進行がんの患者さんからいただいた時に、
    私は、こう答えています。
    ①呼吸(十分な酸素の交換)
    ②食べること
    ③十分な睡眠
    ④安定した精神状態と気力
    これが病気で障害を受けると、いろいろな困難が生じてきます。
    反対にどんな重病でも。この4原則をなんとかうまく保ってい
    けば、病気と共存し、結果的に延命できるように感じています。
    そして何よりも、食を生きることの基本として、ファーストフ
    ードからスローフードへ。子どもとともに食卓を囲む意味を、
    私たちは再認識する時を迎えているように思います。

▼ 教育現場でも、「食」に対する関心が高まっています。
  確かに、偏食の子どもたちの割合は増えているように思えます。
  命を考える上で、「食」についても、子どもたちに考えさせたいと
 思いました。
私のHP「すぐできる読み聞かせ・ゲーム・心の話」もご覧に
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