シナリオ「やしの木のものがたり」
やしの木は、こんなボールみたいな形をした「やしの実」から生まれます。
海岸のやしの木から落ちたやしの実が、海を渡って、あっちこっちの島に流れていきます。
このやしの実も、海をずっと、ずーっと渡って行って...こんな島にたどりつきました。
やしの木のうた
南の海 南の島
とてもあたたかい 小さな島
大きい海 小さい島
広い空 ぼくの島
やしの木
ちいさいけど、とっても居心地よくって、気に入ってるんだ。
ぼくの島は、広ーい海のまん中にポツンってあるんだって。
だから、「やしの木島」って呼んで、海のまん中の目印にしてるんだって。
いつも渡り鳥やウミガメたちが、寄ってくれるの。
でも、今日はまだ来ないんだ...。ふう...。
中略(調子のいい鳥が立ち寄って、調子のいいことを言います。
友だちとは、いつも一緒にいてくれるもの。そう言って友だちのもとへ飛び去っていきます)
やしの木
あ、待ってよ、あーあ、行っちゃった。
待ってても、誰も来てくれないから、困ってるのにな。
やっぱり、友だちなんかできないんだ。
やしの木のうた
この空を飛びたい この海を渡りたい
できない そんなこと ぼくは木 やしの木
うみがめ登場
おや、なんじゃ、やけにしょんぼりしとるな。
おい、どうしたんじゃね。
やしの木
(ちろっと見て)なんだ、うみがめのおじいさんか。なんか用?
うみがめ
なんか用?って、今日はずい分冷たいな。
やしの木
ねぇ、友だちってなに?
うみがめ
友だちは、わしとおまえさんのことじゃないか。
やしの木
違うよ。友だちっていうのは「いつでも一緒にいる」っていうことなんだよ。
うみがめ
(笑う)やしの木よ。それは友だちじゃなくて家族っていうもんじゃよ。
やしの木
かぞく?
うみがめ
ああ、おとうさんとか、おかあさんとか、きょうだいのことじゃ。
やしの木
ふうーん。.....ぼくにはいないよ。
うみがめ
そうじゃなあ。そうか。それでおまえさん、すねていたんじゃな。
やしの木
なんでぼくのかぞくいないの?
うみがめ
おまえさんは、まだやしの木になる前、おかあさんの木から海に落ちて波に流されて来てしまったんじゃ。
やしの木
じゃあ、会えないの?ぼく、ずっとひとりぼっちなの?
うみがめ
困ったのう。.....そうじゃ、いい考えがある。ま、見てなさい。おーい。グンカン鳥よ。
中略(うみがめが鳥に頼んで、やしの実を運んできてもらう。
舞台にはやしの木とうみがめ、そしてやしの実。)
やしの木
ねえ、何これ。
うみがめ
やしの実じゃ。まあ、やしの木の卵みたいなもんじゃな。
そのうち芽が出て、大きくなったらおまえさんのいい話相手になるじゃろうよ。
やしの木
これが、もしかして「かぞく」になるの?
うみがめ
ああ、まあ弟ってとこだな。
やしの木
そうかあ...じゃあ、もうずっと「いつでも一緒」なんだね。
うみがめ
よかったな。
ところで、さっきの「友だち」ってやつだがのう。
友だちってのは、いっつも一緒じゃなくても困った時には助けにやって来る者のことじゃないのねえ。
おまえさんにとってのわしやグンカンドリみたいに、な。
やしの木
うん、そうだね。おじいさん、ありがとう。
うみがめ
お、わしもそろそろ行かなくては、な。それじゃ、元気でな。
やしの木
うん、おじいさん、さようならー。
うた この島は ぼくの島
とても小さな ぼくだけの島
でもみんな やってくる
波を越えて 風に乗って
あー、遥か遠い北の大地も
空と海とで つながっている
この島は ぼくの島
とても小さな ぼくだけの島
でもいつか やってくる
もひとりの やしの木
この美しい 夕焼けの景色も
ぼくひとりだけのものじゃ なかったんだね
おしまい
やしの木は、こんなボールみたいな形をした「やしの実」から生まれます。
海岸のやしの木から落ちたやしの実が、海を渡って、あっちこっちの島に流れていきます。
このやしの実も、海をずっと、ずーっと渡って行って...こんな島にたどりつきました。
やしの木のうた
南の海 南の島
とてもあたたかい 小さな島
大きい海 小さい島
広い空 ぼくの島
やしの木
ちいさいけど、とっても居心地よくって、気に入ってるんだ。
ぼくの島は、広ーい海のまん中にポツンってあるんだって。
だから、「やしの木島」って呼んで、海のまん中の目印にしてるんだって。
いつも渡り鳥やウミガメたちが、寄ってくれるの。
でも、今日はまだ来ないんだ...。ふう...。
中略(調子のいい鳥が立ち寄って、調子のいいことを言います。
友だちとは、いつも一緒にいてくれるもの。そう言って友だちのもとへ飛び去っていきます)
やしの木
あ、待ってよ、あーあ、行っちゃった。
待ってても、誰も来てくれないから、困ってるのにな。
やっぱり、友だちなんかできないんだ。
やしの木のうた
この空を飛びたい この海を渡りたい
できない そんなこと ぼくは木 やしの木
うみがめ登場
おや、なんじゃ、やけにしょんぼりしとるな。
おい、どうしたんじゃね。
やしの木
(ちろっと見て)なんだ、うみがめのおじいさんか。なんか用?
うみがめ
なんか用?って、今日はずい分冷たいな。
やしの木
ねぇ、友だちってなに?
うみがめ
友だちは、わしとおまえさんのことじゃないか。
やしの木
違うよ。友だちっていうのは「いつでも一緒にいる」っていうことなんだよ。
うみがめ
(笑う)やしの木よ。それは友だちじゃなくて家族っていうもんじゃよ。
やしの木
かぞく?
うみがめ
ああ、おとうさんとか、おかあさんとか、きょうだいのことじゃ。
やしの木
ふうーん。.....ぼくにはいないよ。
うみがめ
そうじゃなあ。そうか。それでおまえさん、すねていたんじゃな。
やしの木
なんでぼくのかぞくいないの?
うみがめ
おまえさんは、まだやしの木になる前、おかあさんの木から海に落ちて波に流されて来てしまったんじゃ。
やしの木
じゃあ、会えないの?ぼく、ずっとひとりぼっちなの?
うみがめ
困ったのう。.....そうじゃ、いい考えがある。ま、見てなさい。おーい。グンカン鳥よ。
中略(うみがめが鳥に頼んで、やしの実を運んできてもらう。
舞台にはやしの木とうみがめ、そしてやしの実。)
やしの木
ねえ、何これ。
うみがめ
やしの実じゃ。まあ、やしの木の卵みたいなもんじゃな。
そのうち芽が出て、大きくなったらおまえさんのいい話相手になるじゃろうよ。
やしの木
これが、もしかして「かぞく」になるの?
うみがめ
ああ、まあ弟ってとこだな。
やしの木
そうかあ...じゃあ、もうずっと「いつでも一緒」なんだね。
うみがめ
よかったな。
ところで、さっきの「友だち」ってやつだがのう。
友だちってのは、いっつも一緒じゃなくても困った時には助けにやって来る者のことじゃないのねえ。
おまえさんにとってのわしやグンカンドリみたいに、な。
やしの木
うん、そうだね。おじいさん、ありがとう。
うみがめ
お、わしもそろそろ行かなくては、な。それじゃ、元気でな。
やしの木
うん、おじいさん、さようならー。
うた この島は ぼくの島
とても小さな ぼくだけの島
でもみんな やってくる
波を越えて 風に乗って
あー、遥か遠い北の大地も
空と海とで つながっている
この島は ぼくの島
とても小さな ぼくだけの島
でもいつか やってくる
もひとりの やしの木
この美しい 夕焼けの景色も
ぼくひとりだけのものじゃ なかったんだね
おしまい
かなこさんのいう、友達って、すごく大切な人ですよね。わたしの大好きな宇宙のみなしごという本で、「ぼくたちはみんなばらばらな宇宙のみなしごだから、たまに手をつなぎあうともだちが必要なんだ」というようなことが書いてありました。
たしかに、ね。
17才の頃のわたしはまだまだ気が付かなかったこと。早くから手にしているギビちゃんがちょっとうらやましいですよ。
宇宙のみなしごという本、調べてみたら良さそうで、読んでみたくなりました。すてきな本を教えてくれてありがとうね。