ある日の気づき

ウクライナと西側諸国の犯罪

節へのリンク
前置き
1. ウクライナの犯罪
1.1 戦時国際法違反
1.2 人道に対する罪
1.2.1 犯罪の定義と構成要件について
1.2.2 現時点では個別事例について判断を保留すること
1.3 少年少女兵の存在
2. 西側諸国の犯罪
2.1 違法な経済制裁
2.2 紛争を長期化し、より多くのウクライナ市民の死者が出るように仕向けていること
2.3 平和に対する罪
更新箇所

前置き^

西側諸国の言論では「「プーチン(大統領)」を「戦争犯罪」で裁く」といった言説が結構な
頻度で出現し、一見した印象では、当の本人達は真面目に議論しているように見える。しかし、
率直に言えば「鏡の国」に迷いこんだ気分だ。「ドンバス地方に人道的危機が急迫していた」と
いう、西側諸国の言論で無視され続ける事実を考慮すると、下記記事で述べた通り、これまでの
武力行使は、「可能性としてあり得た違法性」も阻却され、合法化されたと考えられる。
必然性の観点からプーチン演説中の国際法への言及を見る - ある日の気づき
「「武力行使以外に問題解決手段がない」というロシアの認識が正しく、かつ最終判断を行った
タイミングに問題がなければ、ロシアの武力行使を批判する根拠は存在しない。」

国際法は、「強制力のある執行機関」の存在を前提とする国内法と異なり、自助(自力救済)
を認めている。ただし、武力による自助は、自衛すなわち武力攻撃への反撃に限定される。
今後、どの範囲までの軍事行動が国際法上正当化されうるかは、注視が必要だろう。しかし、
これまでロシアは一貫して抑制的な態度を維持している。「経済制裁」に対するロシア側の
対応を見れば分かる。西側諸国は、ロシア中央銀行の口座まで「凍結」という前例のない暴挙
に及んだ。分かりやすくするため、国内法での事象と対応させると、凍結は、窃盗に対応する。
いくら「後で返すつもりがある」かのようなことを言っても、人の財布を勝手に持ち去って、
正当な所有者が使えないようにすれば、仮に返却したとしても窃盗罪である。ところが、この
暴挙に対して、ロシア側が実行した自助は、「今後のガス料金の支払いは、ルーブルで行う事」
と通告しただけ。つまり、ロシアの銀行でロシア通貨であるルーブルによる口座を使って取引
するならば、今後は、ガス料金の踏み倒しを含む窃盗が不可能になるわけで、これ以上穏やかな
対応は考えられない。一部の西欧諸国が「契約違反」と主張したようだが、国際法の自助原則を
極めて穏当に適用したロシアの対応は、合法。国際法の見地からは、さっさと違法な「凍結」を
解消してロシアに謝罪する事が西欧諸国の正しい対応となる。以上、deeplyjapan さんの非常に
分かりやすい解説↓を参考にしたが、↑表明されている見解は、本ブログ著者自身のものである。
ルーブルかガスか - DEEPLY JAPAN
「だって考えてもみなさいよ、彼らが天然ガスの代金をユーロで支払う、そして彼らはそれを
資産凍結する、ということは、彼らはタダでガスを使うわけです、と言ってる。」
# 西側が「財布の中身に手をつける」行為に及べば、相応の「自助/復仇」が追加される模様。
https://mekong.hatenablog.com/entry/2023/12/27/095648
「ロシア外務省は、EUによるロシア資産の凍結(民間だけでなく国有資産も)を純粋な窃盗と
定義した。」←前述の通り、事実関係と国際法に照して妥当。
「ロシアのアントン・シルアノフ財務相は、凍結されたロシア資産からの収入が使用される
可能性がある場合、モスクワは対称的に反応すると明言している。」←「自助/復仇」∴合法
「ラブロフの言葉を借りれば、「あなたも没収、我々も没収。我々全員が没収する。」」
# こういった事の推移を客観的に観察すると、自然に下記のような予想に導かれる。
「NATO加盟国以外のグローバル・サウス諸国は、西側諸国に外貨や貯蓄を置くことを「奨励」
されないだろう。」
「グローバル・サウス全体が米国主導の国際金融システムを捨て、ロシア・中国主導の代替
システムに参加することになるかもしれない。」
# ↑西側の「あまりに露骨な犯罪」は、損得勘定だけ見ても「割に合わない」結果になりそう。
https://qrude.hateblo.jp/entry/2023/12/27/064000
「米ドルは、米ドルの使用を強制できるとされるアメリカの軍事力の神話に基づいている」

自助/復仇」である事による「違法性の阻却」は、国際法の普遍的原則の一つ。国際法での
合法性判断において、「ある行為の前に行為者の法益が侵害されているか否か」で合法性の
判断は容易に反転する。西側報道がドンバスでの出来事を無視し続ける理由は、ドンバスを
考慮した瞬間、ロシア非難プロパガンダの国際法上の根拠全てが、失われるためであろう。
ロシアのパスポートの所持者70万人を含む、ドンバス地方の住民の安全は、ロシアの重要な
「法益」である事に疑問の余地はない。先行するウクライナ+西側諸国の違法行為には触れず、
自助の一環として実行されたドンバス+ロシアの「それだけを取り出せば違法だが自助である
事で違法性が阻却される行為」のみ言い立てる事は、アメリカプロパガンダ機関の常用手口。

ウクライナ情勢への西側諸国の対応は、攻撃的に過ぎて、早期解決を妨げている。というより、
はっきり言って、意図的に紛争を長期化し、犠牲者を増やす積りとしか、解釈しようがない。
(後で根拠にふれる)。

長くなってしまったが、ここまでは前置き。

1. ウクライナの犯罪^

本稿での主題、ウクライナと西側諸国の国際法違反(=国際法上の犯罪)の件に移る。
ウクライナは「人道に対する罪」と「狭義の戦争犯罪=戦時国際法の交戦法規、特に陸戦規定
への違反」を複数、常習的に犯している。日本では、下記捕虜虐待の件が話題になる程度か。
(これは狭義の戦争犯罪の例)。

1.1 戦時国際法違反^

# 2024-02-20: ウクライナの戦争犯罪を停めるのはロシアの*自助*のみのようだ。
https://manhaslanded.blogspot.com/2024/02/blog-post_26.html
「ロシア国防省は土曜日、ロシア軍がウクライナの拠点であるアヴデエフカを「完全制圧」
したと発表した。」
「アヴデエフカは、キエフ政権の民族主義部隊がドンバス近郊の都市ドネツクの住宅地を
砲撃するために長年使用していた場所である。」
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202402190000/ ←地図を含む記事
「アブディフカにはコークス工場を利用した要塞が建設され、ドネツクの市民を攻撃する
拠点になってきた。そこが制圧されたことから市民の危険度は軽減されるだろう。」
# ↑地図を見れば分かるように、今なお、主要な戦場はドンバスの2つの共和国が
# 独立宣言した際の領土内にある。ドンバスの2つの共和国がロシア連邦に加入済の
# 現在では、主要な戦場はロシア領土内だとも言える。
# 2022-12-12: ウクライナの戦争犯罪は 2014 年から現在まで、収まる気配がない。
# 対人地雷の使用
# Today, Ukraine Bombed a Donetsk Hotel Full of Journalists
# Ukrainian Army War Crimes Include Shelling of Ambulances, Firetrucks, ...
# ...

https://jp.sputniknews.com/20220328/10477971.html
中国人 ロシア人捕虜の拷問映像に衝撃を受ける
2022年3月28日, 21:40
https://jp.sputniknews.com/20220331/10500370.html
ウクライナにおけるロシア人捕虜の拷問に米国防総省が懸念を表明
2022年3月31日, 12:46
極東国際軍事裁判(東京裁判)での判例によれば、こうした件でも「軍の責任者」まで
処罰対象になり得る。いわゆる「B級戦犯」として、軍の司令官が裁かれた件がそうだ。
Category:BC級戦犯 - Wikipedia

とは言え、実際に適用される可能性を考えると、下記のようなコメントが出てくるのは当然。
https://caitlinjohnstone.substack.com/p/international-law-is-a-meaningless
"Noam Chomsky famously said that if the Nuremberg laws had continued
to be applied with fairness and consistency, then every post-WWII
U.S. president would have been hanged"

しかし、本ブログでは、「善悪」よりも客観視しやすい「正誤」による判断のためのツールと
して、今後も国際法を活用していきたい。

さて、例えば下記のような件も、民間施設と知って、あるいは軍事施設と区別せず攻撃したと
しか思えないので、戦時国際法違反である。
https://jp.sputniknews.com/20220401/10510542.html
「露ベルゴロドの石油基地で火災 ウクライナ軍による空爆で
2022年4月1日, 15:16」
https://jp.sputniknews.com/20220402/10521041.html
「ゼレンスキー大統領、露ベルゴロド市の石油基地に対する攻撃命令を認める
2022年4月2日, 11:10」
「ゼレンスキー大統領は、ウクライナ軍の攻撃ヘリによる作戦の詳細については議論することは
避けたものの、大統領の命令により攻撃が行われたと発言した。」
「コナシェンコフ報道官によると、この施設からは民間輸送用の燃料が供給されており、この
基地はロシア軍に関係がないという。」
# 下記プーチンの演説で言及されたクリミア大橋やノルドストリームも民間施設。
# ドンバス~ヘルソン住民投票からのロシア連邦加盟と部分的動員
# 安全保障理事会の常任理事国との会談
# ロシア・エネルギー・ウィーク国際フォーラム
# これらの戦時国際法違反へのロシア側の報復は、国際法上の 「復仇」に
# 相当する範囲で違法性が阻却される。
# DEEPLY JAPAN の記事 ウクライナ各地にミサイル着弾
# 櫻井ジャーナル の記事
# キエフ橋の爆破テロに対する報復で露軍がウクライナの主要都市をミサイル攻撃
# The Internationalist 360:
# Terror on Crimea Bridge Forces Russia to Unleash Shock’n Awe
# Russian Armed Forces Continue Massive Strikes
#                                             on Ukraine Energy System & Military Command
The Moon of Alabama :
# Russia, Having 'Run Out Of Missiles', Launches Barrage On Ukraine
# The Saker : A nice bridge you got there…
# ParsToday :
# ロシア国防省、「ウクライナの軍事、エネルギー、重要インフラへの攻撃は全て完了」

より悪質なのは、下記のような場合。いわゆる「人間の盾」の使用。
https://jp.sputniknews.com/20220330/10495766.html
「ウクライナ軍の防衛戦術は一般住民にとって危険=ワシントン・ポスト
2022年3月30日, 22:00 
ワシントン・ポスト紙は、専門家やジャーナリストの見解を引用し、ウクライナ軍は都市の
住宅地に軍用の兵器などを配置してロシア軍への抵抗を試みているが、これは一般住民の
生命を脅かしており、戦時国際法に違反していると報じている。
ワシントン・ポストによると、ウクライナの首都キエフにいる同紙のジャーナリストたちは
過去1カ月、ウクライナ軍が対戦車ミサイルや対空設備、装甲兵員輸送車を住宅の近くに配置
する様子を目にした。」

日本語Wikipediaの戦時国際法の項での陸戦法規の説明は、一つ誤解を招きかねない点がある。
上の記事にある通り、文民被害最小化原則は、攻撃側だけでなく、守備側にも当然適用される。
よって、「人間の盾」を使おうとする行動、「人道回廊」設置や使用の妨害行為等は全て違法。
しかし、ウクライナは、紛争初期の頃から、国ぐるみで、こうした事を常習的に行ってきた。
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202203020000/
「2022.03.02
ウクライナの兵士や警官がポーランドへ脱出しようとするインド人学生に暴力」
↑文中に、インドの新聞の URL への下記リンクがある。
Disturbing Videos Show Indian Students Fleeing Ukraine Brutally Beaten By Forces At Borders

下記のような報告もある。
https://t.me/UkraineHumanRightsAbuses/376
「Witness. A family trying to abandon Berdyansk got caught in an accident when
another civilian car drove over a landmine posted by the UAF in a road. She saw
her husband and soon burn alive. She got really bad injured triying to save them.
Berdyansk was not involved in fights when that happened. Ukraine authorities are
not providing safe routes but instead setting death traps.」

1.2 人道に対する罪^

「人道に対する罪」に話を移す。ニュールンベルグ裁判では多かったが東京裁判では
少なかったC級戦犯に相当。

1.2.1 犯罪の定義と構成要件について^

例えば、下記を参照。
人道に対する罪とは - コトバンク
「一般人民に対する殺人・絶滅・奴隷的虐使・追放その他の非人道的行為、または政治的・
人種的・宗教的理由に基づく迫害行為」
「1948年に国連総会が採択したジェノサイド条約(集団殺害罪の防止および処罰に関する
条約)は、この犯罪類型の主要部分を国際的に確認したものといってよい。」
ジェノサイド条約とは - コトバンク

上記とは別系統の「人道に対する罪」の定義として
人道に対する罪 - Wikipedia
には、下記2種類が言及されている。
「旧ユーゴ・ルワンダ国際戦犯法廷
1993年、国連安全保障理事会が設置した旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷では「国際又は非国際
武力紛争において犯された人道に対する罪」として規定し、「一般住民に対して行われた、
殺人、殲滅、奴隷化、強制移送、拷問、強姦、政治的・宗教的理由による迫害などが人道に
対する罪に該当する」としている。また、国際刑事裁判では1994年のルワンダ国際戦犯法廷に
おいても人道に対する罪を処罰対象にしている。 」
「国際刑事裁判所ローマ規程 ...
ローマ規程第7条では、「人道に対する犯罪」として以下の通り定義されている。
なおジェノサイド条約の集団殺害罪とは構成要件を異にする。すなわち客体は「文民」であり、
また意図に関する要件(集団の全部または一部を破壊する意図)はない。....」

1.2.2 現時点では個別事例について判断を保留すること^
「一般の文民への犯罪」なので、武力衝突が続いている時点では、公式発表や第三者の検証等
による裏付けは、個別案件については取りにくい。いずれドンバス地方が「解放」されれば、
個別案件について証人や証拠を揃えやすくなるだろう。例えば、下記に和訳されている記事の
著者は、喜んで証人になるだろう。
「No To War」と叫ぶ左翼陣営の欺瞞。今それを言うか! - 寺島メソッド翻訳NEWS
下記で引用されている動画の撮影者とかも。
『世界が壊れていく…ウクライナのフリージャーナリスト、アリーナさんの動画より』

ドンバスの2つの共和国は、以前ウクライナ政府の「人道に対する犯罪」に対する国際法廷の
設置を依頼したが、国際司法の現状を鑑みると、当然ながら、西側諸国が認めるはずは無かった。
ドンバスの2つの人民共和国 - ある日の気づき
「2.3 国連との関係
国連安保理にウクライナ政府の非人道的行為への対応として、国際法廷設置を依頼した
ことがある。
https://jp.sputniknews.com/20150716/590305.html
国際法廷:ウクライナ政権にとってのニュルンベルクの亡霊
2015年7月16日, 23:56」
要求は受理されていない。却下理由は未調査。例によって、「証拠不十分」という口実だった
可能性が一番高いだろう。なにしろ、首都ベオグラードを含むセルビアへのNATO空爆の責任者
に対する訴えも「証拠不十分」で不起訴にされているのだから。別の可能性として、この時は、
根拠法を「ジェノサイド条約」とし、その違反への対応依頼」という形だったと思われるので、
ジョノサイド条約での犯罪構成要件の規定が細部に渡っている事から、条約での犯罪構成要件と
合わない点があるとして訴えを棄却した可能性もあり得る。今も両ドンバス政府やロシア政府の
声明で、「ジェノサイド」という言葉が頻出する理由は、「ジェノサイド条約」を適用する国際
裁判を諦めていないためかも知れない。
ただ、他の定義での「人道に対する罪」立証の方が容易なので、今回の紛争の「終戦処理」での
選択肢としては、別の定義での訴追も考慮されているかも知れない。

1.3 少年少女兵の存在^

事実としては、かなり知られてきているはずだが、なぜ、数多ある人権団体が沈黙しているのか
不可解(とりあえず下記などを見たが、ウクライナの少年少女兵について何も言っていない)。
Human Rights Watch | Defending Human Rights Worldwide | Human Rights Watch
認定NPO法人 ヒューマンライツ・ナウ Human Rights Now
日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会)
テラ・ルネッサンス

ちなみに、ウクライナの少年少女兵の存在は、下記「ウクライナ寄りの報道」の記事でも確認
されている(なお、ネット上に裏付けとなる画像が多数あるが、それらは敢えて引用しない)。
https://tanakaryusaku.jp/2022/02/00026544
「【ウクライナ発】 ロシア軍が首都に陸上侵攻したらどうなるか
2022年2月25日 01:59 Tweet
  ゼレンスキー大統領は24日、自国を防衛する意向がある市民は申し出るよう呼び掛けた。
希望者全員に武器を提供する方針である。
 ヨーロッパの国々がふんだんに弾薬を供与しているが、それが市中に出回るのである。
 領土防衛隊(Territorial Defense Forces=非常時の兵員13万)の隊員は少年少女兵まで
「ロシア軍が侵攻してきたら撃つ」と迷わずに答える。
 オッサンの隊員は「ロシア軍を殺す」と口を揃える。
 ゲリラ戦になると長引く。何より夥しい数の市民が死傷する。」

領土防衛隊とは、ネオナチを核とする部隊である件に触れていない点は、ひとまず置く。
「希望者全員に武器を提供」という箇所も、戦時国際法に関連する大問題を示唆しているが、
その点は後述する。

まず、未成年者を兵士にすることは控えよという趣旨の国際条約や安保理決議の存在が下記
などから確認できる。
少年兵 - Wikipedia
また、子供の権利条約違反となる可能性が高い。なお、ウクライナは締約国の一つである。

2. 西側諸国の犯罪^

まず、現ウクライナ政府は西側諸国の傀儡政権である事実に注意すべきことは明らか。
# 西側諸国によるウクライナ犯罪の準備と隠蔽への関与も指摘されている。
# ↑e.g. ウクライナの拷問と禁止兵器の使用に関する証拠を無視して「戦争犯罪」を主張
# Why is Amnesty International Finally Reporting on Kiev’s War Crimes Months Later?
# Ukrainian War Crimes Become the Burden for Europe
2022-10-13 追記: 西側諸国 の戦時国際法違反「武力攻撃」 *疑惑*も目立ってきているが
以下に挙げる西側諸国の犯罪は、前節で挙げた犯罪事例と異なり、成文法から直接「犯罪」
と論証することは、かなり難しい。しかし、下記によれば、東京裁判と同じ基準で、英米法での
「コモンロー」の概念を適用すれば、論理的には不遡及原則の例外として「犯罪」だと考えて
よさそうだ。
極東国際軍事裁判 - Wikipedia
「アメリカやイギリスといった英米法の考えでは、行為時に成文法でとして禁止されていない
行為であってもコモン・ロー上の犯罪として刑罰を科すことが可能であり、それは事後法には
該当しない。まず、慣習法も実定法の一つであり、さらに英米法の考えでは、過去の判決の
集積などから導き出された法原理による判決であれば、必ずしも判例がある必要はなく、
それは事後法に反しないとする考え方である。その一般的な法原理によるとする認定が正しいか
どうかは、英米法では手続きの適正さによって保障されるとする。」

2.1 違法な経済制裁^

前置き既に触れた

2.2 紛争を長期化し、より多くのウクライナ市民の死者が出るように仕向けていること^

まず、先に言及した、田中龍作ジャーナルの下記部分には、国際法上の大問題があることを
説明しよう。
「ゼレンスキー大統領は24日、自国を防衛する意向がある市民は申し出るよう呼び掛けた。
希望者全員に武器を提供する方針である。
 ヨーロッパの国々がふんだんに弾薬を供与しているが、それが市中に出回るのである。」

紛争開始直後から素人である一般市民を戦わせようとしている事自体が言語道断。西側諸国は、
承知の上でそれに手を貸している(あるいは、焚き付けている)のだから同罪なのは、当然。
しかも、「武器を提供する」とか「(弾薬が)市中に出回る」と言っていて「新たに市民軍を
編成するので希望者は市民軍に参加できる」とは言っていない。配られた武器を手にした人が
いわゆる「ゲリラ戦」を行うと想定されている。しかし、「ゲリラ戦」には、戦時国際法上の
大問題がある。かなり有名な事なので、ご存知の方も多いだろう。
戦時国際法が「捕虜」としての権利を保証する前提は、「交戦団体」に所属していることが、
明白であることが基本(ハーグ陸戦条約附属書「陸戦の法規慣例に関する規則」第一条)。
交戦者資格の四条件 - Wikipedia
「第一条 戦争の法規および権利義務は、単にこれを軍に適用するのみならず、
左の条件を具備する民兵および義勇兵団にもまたこれを適用す。
一  部下の為に責任を負う者その頭に在ること
二  遠方より認識し得へき固著の特殊徽章を有すること
三  公然兵器を携帯すること
四  その動作につき戦争の法規慣例を遵守すること
民兵または義勇兵団をもって軍の全部または一部を組織する国にあっては、これを軍の
名称中に包含す。」
例外規定が第二条に示されている。
「第二条 占領せられざる地方の人民にして、敵の接近するに当り、第一条によりて編成を
為すの遑(いとま)なく、侵入軍隊に抗敵する為自ら兵器を操る者が公然兵器を携帯し、かつ
戦争の法規慣例を遵守するときは、これを交戦者と認む。」

例外規定の第二条でも、最低限「公然兵器を携帯し、戦争の法規慣例を遵守」とあるが素人が
戦争の法規慣例を遵守すること自体が難しい。軍務経験があって、戦時国際法の教育を受けた
ことがなければ、無理だろう。また、訓練された正規軍相手に素人が「公然兵器を携帯」して
立ち向かっても勝ち目は薄い事くらい分かる人は多いだろうから、「公然兵器を携帯」しない
戦い方を選んでしまいかねない。そもそも、第二条での例外適用条件に「敵の接近するに当り、
第一条によりて編成を為すの遑(いとま)なく、侵入軍隊に抗敵する為」とある。

最初から新たに軍を編成しようとしないウクライナ政府、それを承知で武器弾薬を提供する
西側諸国は、意図的に戦時国際法による保護を受けられない人を増やそうとしているとしか
思えない。戦闘に参加してしまえば文民としての保護は受けられない。そして「交戦者」と
認められない(交戦者資格が与えられない)と「捕虜になった時の権利」などの交戦者特権に
よる保護も受けられない。無条件に殺されてしまう可能性が非常に高くなってしまう。
交戦資格とは - コトバンク
「交戦者資格」の規定を満たさないと、言ってしまえば「武装した犯罪者」と区別がつかない
のが、戦場での現実。それに、「交戦者資格」の規定は確立した国際法で、知らないならば、
まさしく素人。国民の生命を最大限守ろうとする為政者なら、そもそも素人を戦闘に参加させ
ようなどとは考えないはず。よって、目的が「紛争を長期化し、より多くのウクライナ市民の
死者が出るようにする」事だとしか、解釈できない。証明終了。

下記も「ウクライナ市民の死者数」の数値を大きくすること自体が目的であることの傍証。
https://jp.sputniknews.com/20220401/10509793.html
「ウクライナに展開している工作諜報部隊「グルジア・ナショナル・リージョン(Georgian 
National Legion)」 のメンバーらは外国人傭兵部隊を非武装でキエフの前線に派遣しており、
これを拒否する傭兵は敵前逃亡と見做して粛清を企てている。」
「グルジア人部隊は傭兵を射殺し、戦闘行為による死者として捏造しようとしたという。」
「傭兵らの証言をもとに「グレイゾーン」が指摘しているところによると、ウクライナ政府は
外国人傭兵に永住権を付与しているため、これらの傭兵が死亡すると、ウクライナ人の死者数
として算出されているという。」

国ぐるみの「人間の盾」戦術の件と合わせ、下記の指摘は事実だと認めざるを得ない。
https://jp.sputniknews.com/20220316/10378047.html
「ウクライナ政権は一般市民に何の関心もない プーチン大統領
2022年3月16日, 22:46」

ロシアからは、無制御に武器を配布することの将来的な影響についての警告も出ている。警告
されるまでもなく、このリスクに気がついている人も多いだろうし、各国の為政者レベルでは
気づいて当然。マスメディアにも気がつくスタッフや相談先はいるはず。沈黙を続ける事は、
共犯者である事の証明。
https://jp.sputniknews.com/20220329/1-10485914.html
「ウクライナで住民や傭兵に無制御で武器が配布されている状態は、今後、欧州の人たち自身
への脅威をつくりだす可能性があり、ウクライナは「考えずに」多くの武器を使用している」

2.3 平和に対する罪^

東京裁判での「A級戦犯」相当。NATOの東方拡大から、ロシア国境近辺での大量の武器集積に
至るまでの過程は、ロシア視点では、「ナチスのバルバロッサ作戦と同じことが、ゆっくり
進行している」ように見えても不思議はないので、「東京裁判」と同じ基準を公平/公正に
適用すれば、一連の事態の推移はNATO諸国の「平和に対する罪」と言えるはず。
# 2023-11-29: 「真実は時の娘」という諺がある。←余談: 小説「時の娘」原著は無料入手可
# 西側公式言説は「NATO の東方への拡大はウクライナでの紛争と関係ない」との強弁/妄言
# すら含んでい{た、る}が、そうした出鱈目な言説は時間の経過により崩壊する傾向がある。
https://mekong.hatenablog.com/entry/2023/11/28/091817
「ゼレンスキー氏の所属政党「国民のしもべ」のダヴィド・アラカミア党首」
「テレビ司会者ナターリヤ・モセイチュクのロングインタビューに応じた。」
「モスクワとキエフ(そしてその欧米のスポンサーと搾取者たち)の全面戦争において、
早期和平合意の機会を逸したというアラカーミアの無防備な(あるいは意図的な)暴露に
よって、このインタビューはセンセーションを巻き起こした。」
「2022年2月末から3月初めにかけてベラルーシで行われた和平交渉について、アラカミアは
モセイチュクに、ロシア代表団の「重要な目的」はただひとつ、
ウクライナに中立を受け入れさせ、NATO加盟をあきらめさせることだったと語っている。」
「よく考えてほしい: ウクライナの首席交渉官であり、ゼレンスキー政権のトップの一人が、
大規模な戦争の初期段階で本当に必要だった和平は、キエフが中立を約束し、NATOへの野望を
あきらめることだった、と明言しているのだ。」
「アラカミアの告白は、戦争に代わる実行可能な選択肢が常にあったことを改めて証明」
「西側の情報戦士たちは、この経験的に確立された事実をいまだに否定しているが、それは
単に、交渉をずっと妨害してきた自分たち自身のひどい責任を直視しようとしないだけ」
# 「語るに落ちる」というか、その場の身勝手な都合だけでのゴマカシが習慣化していて、
# 「年」オーダーでの期間に渡るツジツマ合わせは気にしない。↑とうとうNYTすらも肯定
https://qrude.hateblo.jp/entry/2023/12/16/061500
「西側諸国が主導するすべての政策やコミットメントは、瞬間的な利害関係の変化により、
本質的に変更可能である。」←これこそ、西側公式言説中で嘘が量産される根本原因。
#「悪魔の辞典」を参考にすると、西側言説が「レトリック過多」な理由も説明できる。
# もっとも、↓複数の別の情報源からの交渉内容暴露が、上記「自白」に影響したのかも。
# https://blog.goo.ne.jp/rakitarou/e/09fa177d55c4f893378089d88464c1f3 (EU)
# http://eritokyo.jp/independent/Ukraines-war-situation-aow3675.htm (Russia)
# 2022-10-17: * ランド研究所公式サイトに3年以上前からあった資料*に基づく記事
# 耕助のブログ: No. 1589 対ロ戦争が長期計画であったという米国の決定的な自白
# ↓ランド研究所文書発表時点のレビュー( or )への2022年3月時点での言及
# 仁吉: ロシアの壊し方 2019年 ランドコーポレーション報告書

再び、下記プーチン演説から引用。
【演説全文】ウクライナ侵攻直前 プーチン大統領は何を語った? | NHK
「私たちは、1940年から1941年初頭にかけて、ソビエト連邦がなんとか戦争を止めようとして
いたこと、少なくとも戦争が始まるのを遅らせようとしていたことを歴史的によく知っている。
そのために、文字どおりギリギリまで潜在的な侵略者を挑発しないよう努め、避けられない
攻撃を撃退するための準備に必要な、最も必須で明白な行動を実行に移さない、あるいは
先延ばしにした。
最後の最後で講じた措置は、すでに壊滅的なまでに時宜を逸したものだった。
その結果、1941年6月22日、宣戦布告なしに我が国を攻撃したナチス・ドイツの侵攻に、十分
対応する準備ができていなかった。」
「最初の数か月の戦闘で、私たちは、戦略的に重要な広大な領土と数百万人の人々を失った。
「私たちは同じ失敗を2度は繰り返さないし、その権利もない。」
注)ここでも、下記 deeplyjapan さんの明快な解説を参考にさせて頂きましたが、本記事中の
見解は、全て本ブログ著者自身のものです。
スローモーションのバルバロッサが失敗したわけだが - DEEPLY JAPAN
そこでナポレオンが一言 - DEEPLY JAPAN
「2021-11-25 15:15:31
ウクライナ方面では、米軍がロシア国境に爆撃機を飛ばして、ぶいぶい言わせているという、
恐ろしい状況が続いている。
ロシアは、プーチン、外務省、FSBがこぞって、我々はレッドラインを言い渡したが、無視して
いるのはEUでありアメリカだという言明を行っている。」

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