ある日の気づき

「衡平の原則」に基づいて考慮すべきウクライナ情勢関連の国際法


はじめに
1. 「武力行使」の定義とアメリカのウクライナ2014年騒乱への関与
2. ウクライナのロシア語話者の国際人権法における「自己決定権」
3. 「保護する責任」
付録A アメリカが2014年のウクライナ騒乱に関与したことについて
A.1 オリバーストーンの「ukraine on fire」という映画
A.2 deepy japan さんやsayamayotarou さんの解説記事
A.3 下記の記事(で引用されているイタリアのドキュメンタリー)
付録B ウクライナ政府の問題
付録C 「交渉による解決に見込みがない」事の根拠
更新履歴

はじめに

衡平の原則によれば、国際法を適用する際には「関連するあらゆる事情」を考慮すべきなので、
具体的に考慮すべき「関連する事情」を列挙すると、上の見出しのようになる。
さて、ウクライナと西側諸国の犯罪の「2. 西側諸国の犯罪」で、次のように述べた。
「なお、下記に挙げる西側諸国の犯罪はウクライナの犯罪と異なり、成文法から直接「犯罪」
であると論証することは難しい。しかし、下記によれば、東京裁判と同じ基準で、英米法での
「コモンロー」の概念を適用すれば、論理的には不遡及原則の例外として「犯罪」だと考えて
よさそうだ。
極東国際軍事裁判 - Wikipedia
「事後法の観点
... 行為時に成文法でとして禁止されていない行為であってもコモン・ロー上の犯罪として刑罰を
科すことが可能であり、それは事後法には該当しない。....」

下記などの記述によれば、国際法用語の文脈に即して言い換えると、「国際法の「法源」に
「法の一般原則」および「国際法の一般原則」が含まれる」と言えば、上記で触れた論点を
適切に表現したと言えるようだ。(国際法の他の「法源」は、「国際慣習法」と「条約」)。
法の一般原則・国際法の一般原則とは?-国際法を分かりやすく -
http://www.rikkyo.ne.jp/web/naokiwa/page_folder/2010/IL1/resume2.pdf
国際法 - Wikipedia

今後は、上記「法源」に関する論点も考慮に入れて、ウクライナ紛争の国際法的側面の
考察等を行いたい。

今回は、「法の一般原則」としては、「国際法の解釈において常に働く(上記 Wikipedia) 」
とされている「衡平の原則」と「信義誠実の原則」のうち、前者について考察して見よう。
さて、「衡平の原則」/「衡平原則」/「衡平」とは、次のような原則/概念である。
衡平とは - コトバンク
「equity
具体的事件に法を適用すると実際に不当・不公平な結果になるようなとき,それを是正する
原理。「法は善と衡平の術なり」ともいわれ,この原理から,古代ローマ法では市民法に
対する法務官法が,イギリスではコモン・ローに対するエクイティ (衡平法) が生れた。」
「衡平原則」の用例・例文集 - 用例.jp
「衡平原則は、関連するあらゆる事情を考慮して、法を適用することを意味する。」
ざっくり言えば、「法的事案の判断や決定に際しては、成文法の文言や慣習法の内容にのみ
過度に拘るべきではなく、諸々の事情を考慮した上で、現実的/実質的な公平性を確保すべき」
といった意味になるだろう。
なお、昨今の日本で「この戦争について、ぺらぺらしゃべる恥知らず(付録B参照)」な人
たちが、国際法解釈に際して「衡平の原則」を考慮している様子は全くない。

1. 「武力行使」の定義とアメリカのウクライナ2014年騒乱への関与^

ここでは、一応、事実関係について、付録Aで言及するような「アメリカのウクライナ2014年
騒乱への関与」があったという前提をおいて議論することを、最初に断っておく。この事は
クーデター以後の出来事全般の国際法上の判断に大きく影響し得るので、「なかった事」に
する議論は無意味に近い。

まず、「集団的自衛権の適用可否が争点となった国際司法裁判所の判例」で定義された用語法に
従うとアメリカのウクライナ2014年騒乱への関与は「武力行使」または「武力による威嚇」に
当たる事を説明する。
実は、武力行使 (use of force) は、武力攻撃 (armed attack) より、かなり一般的な概念だと
国際司法裁判所の下記判例では規定している。
【国際法判例】ニカラグア事件(ICJ本案判決) - Dancing in the Rain
「アメリカの武力行使がニカラグアの反政府勢力との集団的自衛権の発動を見なされ得るか」が
争点となった。驚いたことに、「「ニカラグアの反政府勢力」が「国家」と見なせるか」は、
「集団的自衛権発動可否」での争点になっていない事にも、注意しておきたい。
同判例では、武力行使(use of force)は、次の2種類に区分される。
(1) 最も重大な形態(the most grave forms)である「武力攻撃」
(2) 他の重大でない形態
日常的用法での語感からは、(1) を「狭義の武力行使」とでも呼ぶ方がしっくりする。
というのは、(2) は非常に広範囲の行為を含み、日常用語での文脈では「広義の武力行使」と
言っておかないと話が通じないだろうし、(1) ですら、会話の最初で断っておかないと混乱が
起こる程度に意味が広い。何しろ、上記 (1), (2) の区別を例示するため、次のような説明が
されているのだから。
- 武力攻撃は、正規軍による越境行為だけでなく、武装団体・集団、非正規軍、傭兵を派遣する
 こと、あるいはそれに実質的に関与することを含む。
- 反乱軍への武器や兵站その他の援助(訓練・軍事演習等)は、武力攻撃には含まれないが、
「武力行使」または威嚇にあたる。  

ウクライナでの2014年のクーデター実行部隊の訓練、武器や兵站の他の援助にアメリカが関与
したことは、上の説明に従えば、「武力行使」または威嚇にあたる事になる。関与の実態次第で
「武力攻撃」とすら見なされ得る。つまり、実行部隊が、一部でも「アメリカから派遣された」
と認定されれば、「武力攻撃」だった事になるからだ。

2. ウクライナのロシア語話者の国際人権法における「自己決定権」^

クーデター以後のウクライナ政府は、ロシア語話者が彼ら自身の文化を享受したり言語を使用
したりできる権利を侵害しているので、国際法に反している。関連する事実は付録Bで述べる。
そもそも、2014年クーデター以降のウクライナという国の政治状況の危うさは、クーデターの
直後から、日本企業の研究者も指摘している事なので、それを無視した議論は無意味に思える。

「自己決定権」の主要な「法源」は下記の条約。
国際人権規約 - Wikipedia
言葉の定義は下記などを参照。
自己決定権 - Wikipedia
さらに、
市民的及び政治的権利に関する国際規約 - Wikipedia
市民的および政治的権利に関する国際連合条約
第27条またはICCPRは、これらの個人が彼ら自身の文化を享受したり言語を使用したりできる
ように保障している。

3. 「保護する責任」^

多くの方にとって見慣れない言葉ではないかと思われるので、まず、意味と「基本理念」を
Wikipedia から引用しておく。
保護する責任 - Wikipedia
「自国民の保護という国家の基本的な義務を果たす能力のない、あるいは果たす意志のない
国家に対し、国際社会全体が当該国家の保護を受けるはずの人々について「保護する責任」を
負うという新しい概念である。略称はR2P又はRtoP。」
# ウクライナ政府は、「ロシア語話者の自国民」を保護する能力ないし意思がないと判断されて
# 当然の振る舞いをしてきている事を、付録Bで述べる。
基本理念
- 国家主権は人々を保護する責任を伴う。
- 国家が保護する責任を果たせない場合は国際社会がその責任を務める。
- 国際社会の保護する責任は不干渉原則に優先する。」
# ここで、Wikipedia が全く言及していない裏事情に注意しておこう。この概念は、リビア内戦への
# 西欧諸国の不当な武力介入を正当化する目的で悪用された歴史がある。なお、リビア内戦への介入
# 以外で、この概念を適用して西欧流「人権状況の改善(←悪い冗談)」が試みられた事例もない。
# 下記「軍事行動の正当化要件」は、西欧諸国のリビア内戦への介入のような不当な行動の口実に
# できないようにするための指針と見ると、意味がわかりやすくなる。
軍事行動の正当化要件
「対応する責任(responsibility to react)としての保護する責任の遂行における、集団安全
保障上の強制措置としての軍事行動は、例外的で特別な措置とされる。したがって、それらの
行動が正当化されるには、具体的に次の6つの要件が満たされる必要がある。ただし、これら
6要件は国連総会・安保理のいずれでも公式に採択されておらず理念上の原則に留まっている。
(1) 正当な権限(Legitimate Authority) - 国連憲章第7章、第51条、第8章に基づくものでなければ
  ならない。
(2) 正当な理由(Just Cause) - 大規模な人命の喪失、又は大規模な人道的危機が現在存在し、
  又は差し迫っていること(人道的危機の急迫性)。
(3) 正当な意図(Right Intention) - 体制転覆等が目的でなく、体制が人民を害する能力を
   無力化することが目的でなければならない。
(4) 手段の均衡(Proportional Means) - 措置の規模、期間、威力などは、人道目的を守る
  ために必要最小限でなければならない。
(5) 合理的見通し(Reasonable Prospect) - 干渉前よりも事態が悪化しないという、措置の
  合理的な成功の見通しがなければならない。
(6) 最後の手段(Last Resort) - 交渉、停戦監視、仲介など、あらゆる外交的手段および
  非軍事的手段を追求したうえで、それでも成功しないと考えられる合理的な根拠があって
  初めてとられる手段でなければならない。」

ところで、ロシアは上記「保護する責任」適用時の「(理念上の)6要件」をも守ろうとして
いるようだ。少なくとも、上記諸原則と関連する論点が下記プーチン演説で言及されているし、
本ブログの記事でも論じてきた。(国連憲章51条への言及、ウクライナ政府の攻撃(大攻勢の
予想も含む)により急迫していた人道的危機、占領予定のないこと、攻撃目標が限定される事、
外交交渉がウクライナ政府や西側諸国の強硬な姿勢により、全て不調に終わり、状況の改善も
見込めない旨が言及されているので、(1)-(4) と (6) をカバー。(5) についても「ドンバスの
両共和国の承認」と「非軍事化と非ナチ化」の条件のうち一方だけでも停戦交渉でウクライナに
呑ませさえすれば、少なくともロシア語話者にとっての事態は改善すると考えて不合理はない。
【演説全文】ウクライナ侵攻直前 プーチン大統領は何を語った? | NHK
ただ、「保護する責任」論は先述の歴史的経緯により言葉としてのイメージが悪すぎることと、
ロシアは国際法について、極めて保守的で、西側諸国のように、自らの政治的都合で新概念を
創り出す(ありていに言ってしまえば「デッチ上げる」)事を好まない。「保護する責任」論を
敢えて持ち出そうとしない理由は、そういうことであろう。

付録A アメリカが2014年のウクライナ騒乱に関与したことについて^

A.1 オリバーストーンの「ukraine on fire」という映画。^
内容の簡単な紹介が下記にある。
「UKRAINE ON FIRE」with オリバー・ストーン - DEEPLY JAPAN
 - さらに詳しい解説が下記にある。
カラー革命と現代左翼 ー CIAの謀略は21世紀の正義の市民革命 !? | 世に倦む日日
オリバー・ストーンの『ウクライナ・オン・ファイヤー』 - ネオナチと歴史修正 | 世に倦む日日

A.2 deepy japan さんやsayamayotarou さんの解説記事^
少なくとも「政権転覆への実質的関与(=内政干渉)」があった事に「合理的な疑い」の余地は
ないと考えられる。
 - 例えば、クーデター前にヌーランドが新政権の人事に言及している音声データは、アメリカ
   政府も「本物」と認めているそうだ。
 - 「アゾフ大隊」などの武装組織を含めた反政府勢力への資金提供も、反政府勢力幹部らと
   バイデンやヌーランドというアメリカの要人が公然と面会した画像があり、その金額にまで
   公然と言及した事があるそうだ。
「俺たちはなぜバイオラボに資金を出しているんだ」by タッカー - DEEPLY JAPAN
「何度か書いた通り、一連のタッカーの主張は、ロシアと戦争する気になってる
ネオコンに対するあくなき批判になってる。ヌーランドに、2014年にクーデター
やった人という冠を付けて話せる米国唯一の主流メディア登場者では?」
ヌーランドはウクライナでクーデターを組織した人 by タッカー - DEEPLY JAPAN
2014年ウクライナでクーデーターを仕掛けたバイデン - DEEPLY JAPAN
ノルマンディー上陸70周年記念式典で
「ヌーランドは2013年12月、ウクライナを巡る会議において「米国は、ソ連崩壊時から
ウクライナの民主主義支援のため50億ドルを投資した」と発言しています。」

A.3 下記の記事(で引用されているイタリアのドキュメンタリー)^
ウクライナの隠された真実 - 寺島メソッド翻訳NEWS
「ジョージア国籍のスナイパーたちとのインタビューは、イタリア人ジャーナリストの
ギアン・ミカレシンによって作られ、ミラノのチャンネル5(マトリクス・プログラム)の
画期的なドキュメンタリーとして放映された。」
「それは驚くべきことに「尊厳の革命」として一般に知られる2014年のキエフ・クーデターの
本当の犯人や組織者について証拠を提出しているのだ。」

付録B ウクライナ政府の問題^

バランス思考の喪失と歯止めの崩壊 - 内田樹、平野啓一郎、日本共産党 | 世に倦む日日
「「ウクライナのネオナチ」の問題は、オリバー・ストーンによる分析と整理がある
だけでなく、キャノングローバル戦略研の小手川大助による報告がある。2014年に
日本人が書いた記事は、現在から見てまさに貴重な一次資料と言える。ウクライナが
ネオナチの巣窟と化しているという問題は、侵攻前までは世界の共通認識だった。」

ウクライナ問題について その3
「コラム  国際交流  2014.05.13
シリーズコラム『小手川大助通信』」
「今後のウクライナの未来を鳥瞰してみると以下の点が浮き上がってくる。
(1)現在の政権は少数政権であること
 2012年の選挙結果で見る限り、現政権の中心となっている「ネオナチ」政党の支持率は10%
   そこそこであり、今現在で選挙を行えば支持率は5%を割り込むかもしれない。
(2)東ウクライナなどの親ロ勢力に対する攻撃にあたっているのは「ネオナチ」のメンバー
    であること。
(3)この点が明確に表れたのが、5月2日のオデッサの労働会館における虐殺である。
(4)プーチンのクリミア併合の決定は新政権の主体がネオナチであることに主因があったこと」

なお、政党としての支持率が低いにも関わらず、「ネオナチ」政党は、ウクライナの現政権でも
軍事関連のポストを含む要職を占めている点に注意が必要。
(↑https://ameblo.jp/cargoofficial/に関連記事多数)。

下記などが「キエフ政府はドンバスの住民を保護する責任を放棄している」事を示す。
現在、ドンバス住民を保護しているのは、ドンバスの両共和国 (DPR+LPR)政府のようだ。

「No To War」と叫ぶ左翼陣営の欺瞞。今それを言うか! - 寺島メソッド翻訳NEWS
「ナチスの大隊とウクライナ軍は、これらの都市を孤立させる包囲網を作り、あらゆる
人権条約・規約に違反する民間人への無慈悲な爆撃を開始したのである。」
「まず最初にやったのは、水道、電気、発電所の爆撃だった。住民を、水も電気もなく、
ラジオ、電話、テレビなどの通信手段もないままにした。そして、主要な輸送路を破壊して、
食料の供給が受けられないようにした」
「病院も、学校も、幼稚園も、爆撃を免れることはできなかった。周辺の町や村も破壊された。
何十万人もの人々が国外に脱出し、ロシアに迎え入れられ、爆撃から守られた。」
「ウクライナ軍がドンバスの人々を容赦なく、途切れることなく虐殺し続けて8年になる。
あなた方みんなが何も声を上げないことで残酷な共犯者となったクソのような8年間だった。」
「公式」の民間人犠牲者数は、実数より限りなく少なく、14,000人が殺されたとしている。」
「40度の暑さの中、一滴の水もなく、食事も洗濯もできず、ウクライナの爆撃を避けるために
隅や地下室、さらには下水道で寝泊まりしながら、彼らと共に生活する中で、彼らがいかに
苦しんでいるかを知ることができたのだ。」
「ポロシェンコ大統領が「ドンバスの子供たちはネズミのように地下室に隠れなければなら
ないが、我々の子供たちは学校に行くことができる」と言ったとき、すべてのウクライナ人から
喝采を浴びた。彼を支持する国民はみんな拍手をした。」
「戦時中にプラヴィー・セクトール(Pravy Sektor)*のナチス指導者たちに国防省の役職を与えた
のと同じ人々だ。「自分は無垢な民間人だ!」などと言っても、容赦なく拷問し、殺し、レイプ
する本物の精神病質者に権力を与えてしまったことの何の言い訳にもならない。」、
「あなた方の支援も連帯も得られないまま何万人もの子どもや老人、女性が死んでいたのに、
それには口を噤み、今回の戦争についてぺらぺら話すのは恥知らずだということだ。」

下記は固有名詞入りの報告例
地下室で8年 ― 戦禍に曝されたドンバス市民の運命
「私たちは市の郊外に住んでいる。エレノフカの近くだ。彼女の夫の側の親戚がある。
しょっちゅう停電になったり、水道が止まったりする。水道や電気は間もなく復旧するが、
またもや攻撃が繰り返される。」
「ドネツクに住むタチアナはすべてが鎮静化するのを待っている。彼女の娘は脳性麻痺を
病んでいる。
ふたりはソビエト時代に建てられたアパートに住んでいる。地下室があるが、住むための
設備は特にない。「砲弾が降ってきたら、その地下室へ逃げ込む。他の場所へ避難するのは
安全ではない。娘を連れていったい何処へ行けって言うの?」二人は地下室の廊下へと
避難する。必要な物品や文書を入れた「緊急用スーツケース」を常に準備し、玄関ドア脇の
目立つ場所に置いている。」
マイダン革命から1年、当時の夢は何処へ
「キエフ政権は、最初からずっと、ウクライナ東部の住民による数多くのデモで表明された
民主的な要求や心配事をことごとく無視して来た。」
「同地域の住民らはレーニン像が破壊されることを阻止し、自分たちが生まれ育った言語を
用いて生活をし、仕事を続けることを願っていただけなのである。」
「 2014年4月からウクライナ軍と極右派の武装勢力とによって実施されたキエフ政府の
「テロリスト殲滅作戦」をきっかけに、ドネツクならびにルガンスク両地域では、これに
腹をたてた何千人もの住民たちが自衛軍へ参加した。
「同様に、ドンバス地域の住民に対してキエフ政府が年金や社会保障の支払いを昨年の夏
停止したことがDPR独自の年金制度や社会保障システムの設立を促しさえした。」
cargo『西側のプロパガンダに公的資料で反論する【ウクライナ情勢】⑦』
「電気やガスの供給が止まるなか「ウクライナ兵が貴重な食糧を奪っていった」との証言にも
注目だが、なにより重要なのは、病院がウクライナ軍に基地化されており、空爆(砲撃)が
ロシア側の犯行ではないと示唆される点だ。これはロシア側の説明と多くの点で一致する。」
「当時のポロシェンコ大統領が、「ドンバス住民には年金を出さない」「子供や老人にさえ
虐待を行う」という主旨の懲罰的攻撃を公言している。」
「何千人も殺されたのに、西側は何もしないんです!」「水も電気もなく1か月以上過ごした
という証言もあった。」「アムネスティの報告でも、ドニプロやアイダル大隊が食料供給を
遮断したことが記録されている。」(*この件は「ジェノサイド条約」におけるジェノサイドに
相当するはずだ)」

以下も、ウクライナ政府首脳の公的発言や政府としての政策なので、客観的な検証が可能と
考えられる。上にあげた個別記事に現れた事実のいくつかが裏付けられてもいる。
cargo『西側のプロパガンダに公的資料で反論する【ウクライナ情勢】⑥』
「公用語としてのロシア語を禁じ、ロシア語話者に対する差別を公のものとし、極右・
ネオナチらを勢いづかせた。
このことはロシア側にECHR(欧州人権裁判所)に是正を求めるよう通告されている。」
( https://www.donbass-insider.com/ というサイトの 2021年7月23日の記事 )
https://jp.sputniknews.com/20150406/157300.html
Forbes:ポロシェンコ大統領はプーチン大統領に「ドンバスを奪い取る」ように提案した
2015年4月6日, 21:05
ベラルーシの首都ミンスクで開かれた「ノルマンディー4者」会議で、ウクライナの
ポロシェンコ大統領は、ロシアのプーチン大統領に、「ドンバスを奪い取る」ことを
提案した。Forbesが、独自の情報筋の話として伝えた。
https://jp.sputniknews.com/20150410/179174.html
「もはや笑えぬキエフの嘘:キエフは国民をロシアとの戦争に準備している
2015年4月10日, 20:06
ウクライナ政府が、ソビエト崩壊以来24年間、ウクライナ人に植え付けられてきたロシア人への
憎悪を一層募らせるべく、さらなる一手を指した。
ウクライナ教育・科学省は11年生(高校3年生に相当)向け歴史教科書に新たに一章を書き加えた。
その章は、キエフ中心部独立広場(マイダン)における、ヤヌコヴィチ大統領退陣とEU加盟を
求めた、2013年秋の抗議行動に始まり、ウクライナ南部・東部戦争に終わる。ここに示されて
いる記述法は、二語をもって性格づけることが出来る。すなわち、冷笑的な嘘。」

https://jp.sputniknews.com/20150421/226527.html
「ウクライナ ドンバスへのロシアの電気供給代金支払いを停止
2015年4月21日, 22:02
ウクライナのヂェムチシン・エネルギー相は「キエフ当局は、反テロ作戦が行われている
ゾーンへのロシアの電気供給に対し、もう代金は支払わない」と述べた。
支払い中止理由の一つとしてキエフ当局は、ウクライナ当局のコントロール下にないドンバスの
債務が、2015年2月の段階で、電気に関し35億グリブナ、ガスに関し75億グリブナに達した
ことを挙げている。」
https://jp.sputniknews.com/20150422/228777.html
「ウクライナはドンバスを手放すのか?
2015年4月22日, 20:01
ウクライナのデムチシン・エネルギー相は、ロシアがドンバスに供給している電力の支払いを
停止したと発表した。
ドンバスはウクライナの東部地域で、同地域の住民たちは昨年春、キエフの軍事クーデターを
支持せず、初めは連邦化を求めただけだったが、独立に賛成票を投じた。」
「軍事力を行使してドンバスに対するコントロールを取り戻すというポロシェンコ大統領
率いるウクライナ新政権の2回の試みは、ウクライナ軍の壊滅に終わった。
その時キエフ政権は、「従わない地域」での銀行業務や地元住民への年金ならびに給与の
支払いを停止し、輸送封鎖を行い、鉄道の運行を遮断した。」

付録C 「交渉による解決に見込みがない」事の根拠^

ミンスク合意(ミンスク2も含む)の要点は、停戦と「ドンバス自治権拡大のための法改正」
である。停戦は、ウクライナ政府、ドンバスの両政府に共通の義務だが、「ドンバス自治権
拡大のための法改正」は、ウクライナ政府の義務であり、停戦の状況とは独立に実施可能な事。
ウクライナ政府は「ドンバス自治権拡大のための法改正」のためのアクションを全く起こさず、
あまつさえ、合意を守る意思がないと公言した。

ウクライナ政府は、交渉相手であるはずの、ドネツク共和国指導者の暗殺すら実行している。
ドンバス指導者の暗殺<分析> - 寺島メソッド翻訳NEWS
これでは、「交渉による解決は、もはや不可能」と判断されても仕方ない。
NATOの東方拡大、特にウクライナの NATO加入問題についての交渉もぎりぎりまで続いたが、
「もうダメ」と当事者が判断したのだから、軽々しく判断の当否を決めつけるのは控えたい。

ロシア側視点での経緯について、deeply japan さんの記事で振り返ってみる。
ウクライナ:辛抱強く見てきた人はなぜこうなったか知っている - DEEPLY JAPAN
「2022-02-25 16:03:57 | WW1&2」
マクロン、プーチンと会う - DEEPLY JAPAN
「2022-02-08 21:13:25 | WW1&2」
「他方、プーチンは、長いマクロンとの会談の後の記者たちとのやり取りで、
ウクライナがNATOに入ってクリミアを軍事的手段で取り返すと決意したら、それはつまり、
あんたらヨーロッパ諸国が自動的にロシアと戦争するということなんだぞ、という点を強調
してた。鈍いthe Westの記者どもに、怒鳴って見せた、って感じ。」
そこでナポレオンが一言 - DEEPLY JAPAN
「2021-11-25 15:15:31 | WW1&2」
「そうかと思うと、ウクライナ方面では、米軍がロシア国境に爆撃機を飛ばして、ぶいぶい
言わせているという、恐ろしい状況が続いている。ロシアは、プーチン、外務省、FSBが
こぞって、我々はレッドラインを言い渡したが、無視しているのはEUでありアメリカだ
という言明を行っている。」
ロシア、11月からNATOと外交関係停止 - DEEPLY JAPAN
「2021-10-18 21:16:50 | WW1&2」
#            ↑
# 去年の10月時点でロシア側は「NATO と直接話し合っても進展は望めない」と判断した模様。
バイデン・プーチン会談まとめ - DEEPLY JAPAN
「2021-06-17 17:17:11 | 欧州情勢複雑怪奇」
「ロシアのレッドラインは春先の一戦で言い渡してある。それを踏み越えたらなんでもする、
戦争も辞さず、本気だと西側を納得させた。」
なお、ウクライナ憲法に「NATO 加入を目指す」と書かれているので、ロシアから見れば、
あまり猶予がない問題であることも考慮すべき

更新履歴^
2022-04-07 18:42 : 字句、フォント修正
2022-05-24 03:06 : 改行位置修正、リンク追加、タグ #国際法 を付与。
2022-08-26 12:34 : 改行位置、フォント、字句修正。リンク追加+修正
2022-09-08 19:00 : リンク追加+修正、字句修正、他記事から参照可能な位置id追加
2022-10-04 13:43 : 先頭に戻るリンク追加、リンク動作修正:タブ/ウインドウを開く

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