よしーの世界

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沖縄から貧困がなくならない本当の理由   樋口耕太郎

2023-12-31 08:10:50 | 

2012年以降好景気が続き、経済は「バブル越え」の絶好調、一人当たりの県民所得は4年連続で上昇し、

過去最高を更新(2019年)している沖縄は、都道府県別の県民所得では全国最下位、賃金は全国の最低

水準で、貧困率は全国平均の2倍の貧困社会。島の人たちは優しく、穏やかで、温かいが、沖縄では自殺

率、重犯罪、DV、幼児虐待、いじめが全国でも他の地域を圧倒している。何故か?著者は大学で、自

己肯定感が低く、情熱に乏しい学生たちに直面する。

 

ウチナーンチュ(沖縄人)は言葉でまっすぐに表現したり、議論を闘わせたり、物事を論理的に突き詰

めたりすることを嫌うように見えるという。著者は毎晩のように夜、那覇市の繁華街にある店で酒も呑

まずに多くの客と会話することを16年間続けてきている。そして、沖縄のひたすら人間関係を需要視し、

常に現状維持を優先する、見えない社会構造を明らかにした。

 

著者の沖縄との縁は恩納村のリゾートホテルを取得したところから始まる。それまでの経験から、経営

者として必死に働くが、全く機能しないことに気づき、間違いを認め、従業員に関心を持ち、ひたすら

話を聞くことに専念する。そして要求に答え、少しづつ改善を重ね経営を軌道に乗せることに成功する。

 

しかし、10年間赤字だったホテルを高収益企業へと再生させた著者は、資産価値の高騰したホテルの売

却に反対し解雇されてしまう。著者の提唱する「愛の経営」は東京本社に通用しなかった。

 

本書での議論は日本社会全体に当てはまる。「出る杭は打たれる」は日本社会の代名詞のようだ。日本

社会は、新しいことへの挑戦に不寛容で、自分を生きるよりも社会の枠組みを、創造よりも前例を踏襲

する社会全土を守り続けていると著者は言う。

 

だが、SNSの登場により、沖縄問題が公の場で語られるようになったという。沖縄社会も変化し始めて

いる。労働生産性が主要先進7か国で最下位の日本も変わっていくために、企業はまず従業員の話を聞

くことから始めるべきと強く感じた。

 

   沖縄から貧困がなくならない本当の理由   樋口耕太郎         光文社新書


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4 コメント

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Unknown (shonanyuzuriha)
2023-12-31 14:02:33
いつも有難う御座います^_^
お世話になっております。

🎍良いお年をお迎え下さい🎍
返信する
よしーの世界 (よしー)
2023-12-31 14:34:16
こちらこそ、いつもありがとうございます。
来年も宜しくお願いします。
返信する
基地問題もありますネ❕ (yamaguti2520 )
2023-12-31 15:51:32
自然が美しい沖縄でも実態は難しい問題が山積みのような気がします。新しい年は少しでもよくなりますように❕
新しい年もどうぞよろしくお付き合いのほどお願いします。
返信する
よしーの世界 (よしー)
2023-12-31 18:46:53
おっしゃる通りです。
沖縄でも、日本国内でも問題山積です。
私たちは感情に流されることなく、この諸問題を
いい方向に導くことが出来よう考えていかなければ
いけないと思います。
よいお年をお迎えください。
返信する

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