よしーの世界

好きな神社仏閣巡り、音楽、本、アートイベント情報を中心にアップします。

最高の木を求めて あるバイオリン職人の4年

2022-05-10 08:20:38 | 日記
2022年になった現代においても、世界最高峰と言われるバイオリンは1700年代に造られた「ストラディ

バリウス」。1698年から1725年に造られたものが特に優秀で、現在の最高値が2011年に取引された172

1年製「レディ・ブラント」で約1600万ドル(当時のレートで約12億7千万円)にもなる。


現代のバイオリン製作者が過去の名器を越えたいと思っても不思議はない。それもストラディバリウス

の誕生したイタリア・クレモナで。長くバイオリン工房を夫婦で営んでいるガスパー・ボーヒャルトは

バイオリニスト、ジャニーヌ・ヤンセンに自身の製作した最高のバイオリンを弾いてもらいたいと夢見、

メールを送り、演奏会に出かけ、最高のバイオリンを造る意気込みを伝える。「腕に自信はある」画面

に登場する彼の表情に読み取れる。あとは素材だ。ガスパーはバイオリン製作の巨匠からボスニアには

ストラドに匹敵するバイオリンを作るための古いカエデの樹があると教えられ、手あたり次第に連絡す

るがことごとく断られてしまう。


やっと届いた連絡は戦争の傷跡が残るボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボから、地雷があちこちに埋

められている森を苦心の末、やっと樹にたどり着くが樹の太さが足りない、ガスパーの見立てでは「あ

と300年必要」。さらに先方から連絡があり、違法になるかもしれない場所に案内され、とうとう樹齢

数百年の理想の樹に巡り合うガスパー、しかし、その樹のあまりの崇高さに伐採することを断念してし

まう。


番組では熟練のバイオリン製作者の執念を4年の歳月をかけて追う。ものつくりの神髄はここにある。

簡単に消費できてしまう安価なモノではないモノ。日本の目指すものがあると感じた。(BS-NHK 世

界のドキュメンタリー ノルウェー 2021年)


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