伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

市長の公約等に対する姿勢について / いわき市議会2月定例会代表質問1

2018年03月03日 | 市議会
 いわき市議会2月定例会は2月22日に開会し、同26日、27日は、年に1度だけ一般質問と別に時間が与えられる各会派1人による代表質問が行われ、27日午後1番で質問に立ちました。

 代表質問は、1人40分の持ち時間で一括して質問を行い、一括して答弁を受けた後、10分の持ち時間で再質問、再々質問と2回の質問を行うことができます。

 市政の方向性を大所高所から語ることができればベストなので、そんなテーマをいろいろ考えて、あらためて公約の問題やいわゆるハコモノ事業に対する考え方など取り上げてみたのですが、果たして質問の狙いはうまく果たせたのか、はなはだ自信はないのですが、まずは3年ぶりとなる代表質問を終えることができたことで、一安堵しています。

 なお、代表質問はまとめて質問、まとめて答弁となるため、議事進行の通りだと、質問と答弁及び再質問や再々質問との関係が、とても分かりにくくなるために、ブログ掲載にあたっては、質問に続き答弁、再質問及び答弁という形でまとめてあります。それにともなって、一括質問・答弁特有の答弁で質問を繰り返す部分など、一定程度発言をカットした部分がありますので、質問と答弁の趣旨は間違いありませんが、正式な議事録とは別物と思ってご覧いただけると幸いです。

 また、そうしてまとめた質問と答弁が、400字詰め原稿用紙にして72枚ほどの長文になるため、ブログ掲載にあたっては質問テーマごとにアップします。全部で7回です。

 なお質問全文は、2月27日付の「いわき市議会2月定例会で一般質問に立ちました」に掲載しています。



1 市政運営をすすめる考え方について
(1)公約について
 
                

伊 藤
 10番日本共産党いわき市議団の伊藤浩之です。

 25日に閉幕した平昌オリンピックは、日本が、長野オリンピックを超えて過去最高の13個のメダルを獲得したことが話題になっていますが、私はこのメダルの数はもとより、選手たちのいわゆる神対応に大きな感動を覚えました。

 スピードスケート女子500mを制した小平選手が、2位となって涙を流す韓国の李相花(イサンファ)選手を抱き寄せて健闘をたたえたウィニングランがありました。カーリング女子準決勝で韓国に敗れた直後、同国選手に握手を求め検討をたたえた日本チームの姿がありました。藤澤選手は、「韓国は同じアジアのチームとして誇り」と語りました。

 こうした場面に出くわすたびに胸に熱くこみ上げるものを感じた大会でした。涙もろくなるのは感情を司る前頭葉の機能の衰えで、その原因は老化だと聞くと(笑い)、すぐに感動を覚える自分を素直に喜ぶことができないのですが、とにかく、勝ち負けを越えて、国を越えて、また国の間に横たわる政治問題を越えて、人と人との友情の輪を広げているトップ選手たちの振る舞いが、そして言葉が感動を広げた、平和の祭典にふさわしい大会だったと思います。

 ある局の放送で、長野冬季五輪、男子ジャンプのメダリストである船木和喜氏が面白いことを語っていました。
 純粋に喜びの金、後悔の銀、ほっと一安堵の銅、という話です。メダルを取れたととりあえず喜びが湧く銅に対して、銀の場合は、もう少しで金であるだけに、ああすれば良かった、こうすれば良かったと悔いが湧いてくるというのであります。

 選挙は当選するか、落選するかしかありませんから、メダルで言えば、金と銀しかないことになりますが、船木氏のいう後悔の銀は、次点になった者ということができるかもしれません。

 清水市長は、一人しか当選しない市長選挙で、2回連続の金メダルをとりました。そして、2期目初の予算案を今議会に提出をしました。



 私は、先の11月定例会、12月定例会と、市長の公約や発言の問題を取り上げて質問してまいりました。考えてみれば、私は議会に送り出していただいた最初の議会から、市長の公約問題を取り上げてきたことに思い至ります。

 私は、2005年・平成17年の市議会議員補欠選挙で当選させていただきました。同じ投票日に初当選を果たした櫛田市長は、当時の芸術文化交流館建設計画の見直しや、いわき駅前再開発事業に導入することになった総合型図書館を独立図書館として整備するなどを訴えていました。

櫛田市長の初議会になった同年の10月定例会は、私にとっても初議会でしたが、これらの事業はすでに契約等が済んでいる状況から考えても、公約そのものに無理があるという立場から質問をさせていただきました。他の議員も同様の質問をしていましたが、櫛田市長は、その後、これらの事業に若干の見直しを加えただけで公約を事実上撤回し、基本的に四家市政がすすめた事業を完成させることになりました。

 清水市長は1期目、復興対応のスピードアップや総合磐城共立病院は経営形態も含めて再検討などと訴えて選挙をたたかいました。ところが、当選後迎えた最初の定例会で、「一歩一歩着実に復興の歩みを進めてきた」とそれまでの市の取り組みを肯定的に評価する姿勢に変わるなど、中心的に訴えた公約のトーンをダウンさせ、渡辺市政が震災後に進めてきた政策を基本的に引き継いで、それまでの復旧・復興の事業を完成させる時期を市長としてつとめてきました。

 私は、市長の2期目にあたっても、配布された文書の問題や市長の発言、公約等について、そこに感じた問題や疑問を質問してきましたが、これに対する答弁を聞いた時、やはり市長の公約等に関する姿勢に疑問を感じざるを得ない、そんな思いでいます。



 今議会の提案説明で市長は、共創によるまちづくりを市民に呼びかけて、「あらゆる主体と地域課題の思いを共有し、持てる知恵と資源を結集しながら、課題の解決と新たな時代の創造に取り組むことが重要」と発言されています。そのためには信頼関係を深めることが必要だと思います。そのためにも、公約の妥当性が問われることももちろんありますが、まずは、市民との約束である公約について真摯に対応する姿勢が求められていると考えます。

 市長は、磐城平城の櫓構想にかかわって、オリンピックになって増える外国人観光客に「オーワンダフルと言わせたい」と話したことは例え話だったとするなど、市民に対する公約を軽視する発言をしています。これらの選挙にあたってかかげた公約は妥当なものであったと考えていらっしゃいますか、おうかがいします。

市 長
 私は、市長就任以来、生まれ育ったふるさとを良くしたいという強い想いのもと、常に市民の皆様の目線に立ち、市内各界各層の方々の様々な御意見を真摯に汲み入れながら、清潔で、公正な市政運営に努めて参りました。

 先のいわき市長選挙におきましては、1期4年間の任期中に、肌感覚で受け止めた市民のみな様の思いや各地域が抱える様々な課題等を十分に踏まえ、さらなる50年の新時代に向けて、市民のみな様が自信と誇りを持てる魅力あるまちを実現するための政策を、5つの元気プロジェクトと3つの夢プロジェクトとして取りまとめ、公約として掲げたものであります。


(2)公約が有権者に与える影響について

           

伊 藤
 次に公約が有権者に与える影響についてです。
 公約は、その実現が有権者との約束ということになります。私たち市議会議員は、議会内外の活動で、選挙の公約の実現をめざすことになります。しかし、議員は予算編成権を持っていません。予算の修正はできるものの、その内容は、市長の予算編成権を侵さない程度でしか行うことができないと考えられています。

それだけに、予算編成権を持つ市長となった者が掲げた公約は、より実現性の高いものとして多くの有権者の関心を集めることは間違いありません。

 昨年の11月定例会に市長は、公約に掲げた「夢プロジェクト」の一環である磐城・平城の櫓の建設にかかわる発言が有権者の投票の行動に与えた影響について「有権者のみなさんがそれぞれ判断したものと思う」と答えました。また、市長陣営の発行物ではないとは言え、新聞折り込み等で配布された「早ければ来年度からバスやタクシーの利用券を高齢者向けに交付することになった」という文書の影響については、「新聞の購読者が判断することだと思う」と答えました。

 おっしゃる通り、判断をするのは有権者です。しかし、この答弁は、質問には全く答えていないのです。なぜまともに答えないのでしょうか。こうしたところに、共創によるまちづくりの前提が作られていないと感じるのであります。

 そこで、あらためて市長の公約等に関する認識をうかがいたいと思います。

 初めに、選挙にかかわり配布される文書の記載事項、あるいは候補者等の発言はどのような目的を持つものと認識しているのか、おうかがいします。

 次に、市長は、これらの文書の記載事項、あるいは発言が有権者の投票動向にどのように影響するものと考えているのか、うかがいます。

市 長
 関連しておりますので、一括して答弁申し上げます。
 選挙に関わる文書や候補者等の発言につきましては、候補者の経歴をはじめ、政治信条や公約の内容等について表明し、候補者に対する投票を呼び掛けるものであり、有権者の投票動向に影響を及ぼす主たる要因になるものと考えております。


伊 藤
 また、選挙にかかわる文書の記載事項あるいは発言に誤りがあった場合に、これに対する説明責任をどのようにとらえているのか、お答えください。

市 長
私は、選挙に関わる文書や発言を通じて、4年間の任期中に実行する政策に加え、中・長期的な視点に立ち、実現をめざす目標についてお示ししたところであり、いずれも、全身全霊をかけて実現に取り組んでいくべきものと認識しております。

 このような基本姿勢に立ちながらも、個別事業の検討に当たりましては、施策の優先順位や実施時期、さらには財源など予算面の課題等を総合的に勘案するとともに、早急な対応が求められるものにつきましては、的確な状況分析のもと、迅速に判断し、市議会や記者会見等において、事業の目的や内容等について十分に説明責任を果たしながら、実行してまいる考えであります。


伊 藤(再質問)
市長ただいまの答弁の中でですね、選挙中に配布した文書の記載事項あるいは発言が投票動向に与える影響についてですね、投票を呼び掛ける主たる要件で影響があるんだというふうなお話をされていました。であるからこそ、しっかりとした答弁に責任も持って対応していくことが必要だろうと思います。

例えば、オーワンダフルと言わせたいという櫓の話ですけれども、これまでの答弁の中では例示だったというふうに言っていますが、あの発言を受けた市民はそういうふうには全然感じないと、オリンピックまでに櫓を作るんだというふうに感じているというのが一般的だと思います。そういうところに対する反省というのをまず語る必要があると思いますが、お答えいただきたいというふうに思います。

市 長(再答弁)
私は、先のいわき市長選挙におきまして有権者のみな様に対し、いわきを元気にする5つの元気プロジェクトと、市民のみな様が夢を持てる3つの夢プロジェクトに取り組むことを訴えて参りました。磐城平城の再興は夢プロジェクトの一つとして掲げたものであり、その是非についての論争もございましたが、磐城平城の再興を通して文化の香り 漂う中心市街地を形成するという私が示したまちづくりの方向性について、有権者のみな様に御理解とご支持をいただいたものと認識しております。

(3)バス・タクシーの利用券を「交付することになった」という文書の表現の妥当性と本市の取り組みについて

伊 藤
 次にバスやタクシーの利用券に関する問題です。

 昨年の市長選挙の直前に配布された「バスやタクシー利用券を高齢者向けに交付することになった」という文書について、清水市長は「他の自治体で取り組んでいる事例等を参考にしながら、高齢者の健康長寿をサポートする取り組みの一例としてお示しさせていただいたものであり、その取材活動の中で、ご指摘のような表現につながったものと受け止めております」と答弁しました。自分はそう言っていないと答弁しているのです。

 しかし、記事の撤回を求めることには「検討しているのは事実であります」と拒否し、また「交付することになった」という記載については、「いわき経済報が独自に取材をして書かれたものと理解している」と答弁しております。

 この文章が書かれた経過は、答弁の通りかもしれません。しかし、問題は書かれた経過にあるのではなく、選挙目前という有権者の判断に大きく影響する時期に配布された内容が、事実を反映していないことに問題があり、無料でバス・タクシーを使えるようになったという誤解を与えて有権者の投票動向に影響を与え、なおかつ、いまだに期待を抱かせている点にあります。

 そこで最初に、「バスやタクシー利用券を高齢者向けに交付することになった」という記載について「独自に取材をして書かれたものと理解している」と答弁してきましたが、「交付することになった」という記載は、本市の検討段階において正しい表現となっているのか、うかがいます。

市 長
 ご指摘の記事につきましては、私が、少子高齢化や人口減少が進展するなか、中山間地域における交通対策や高齢者の移動手段の確保などが喫緊の課題であるという認識のもと、関係部署に対し、いわゆる交通弱者と言われる方々への対応について、早急に施策として取りまとめるよう指示していたさなかのものであり、一部の報道機関が独自の取材を通じ、自らの判断と責任によって、記載のような表現で報道したものと受け止めております。


伊 藤
 次に、本市の公共交通対策の検討状況を市民に正しく伝えるという観点から見た時に、この文書の記載は妥当なのか、あるいは妥当でないのか、市長はどのように認識していらっしゃるのか、うかがいます。

市 長
 文書の記載の妥当性についてのお質しでありますが、記事の内容につきましては、一部の報道機関が、庁内において調査検討中のいわば政策形成過程にある段階での取材に基づき、御指摘のように記載されたものと認識しております。


伊 藤
 交通弱者に対する交通手段の確保について、新年度にはどのような事業を実施しようとしているのでしょうか、うかがいます。

都市建設部長
 公共交通空白地域や不便地域を有する田人地区及び三和地区におきまして、地域が主体となった住民同士の支えあいによるボランティア輸送の実現に向け、今後、地域住民の移動需要をとらえた運行計画の策定や、運転手の確保等による運営体制の構築に向けた取り組みをすすめていくこととしております。

 市としましても、地域が主体となって持続可能な交通システムの構築をめざす取り組みを支援するため、新年度に新たに創設する「共創型地域交通モデル事業」におきまして、運行計画策定、運行車両の確保や運営経費への支援を行いながら、平成30年度内の運行開始をめざし、地域と一体となり、取り組むこととしております。


伊 藤
 引き続く交通弱者対策の拡充を図ることが本市にとって大きな課題となりますが、バス・タクシーの無料利用を図ることも含め、本市はどのように取り組んでいく考えなのか、お答えください。

都市建設部長
 今後は、田人地区及び三和地区以外におきましても「共創型地域交通モデル事業」を導入し、地域のみな様と勉強会やワークショップを開催しながら、地域が主体となったボランティア輸送など持続可能な交通システムの構築を図り、公共交通空白地域や不便地域の解消に努めてまいりたいと考えております。

 また、来年度から運転免許証を自主返納する本市の75歳以上の高齢者に対し、5,000円相当の公共交通機関等の利用券を交付する事業を実施することとしたところであり、バス・タクシーの無料利用など、交通弱者対策のさらなる拡充につきましては、広域多角な本市の都市構造や、地域による交通インフラの状況が異なることを踏まえまして、費用対効果や施策の公平性について慎重に見極める必要があるものと考えております。




伊 藤(再質問)
 バス、タクシーの利用券を交付することになったという文書の関係なんですけれども、政策形成過程にある情報を取材の結果、あのような記載になったというふうな御答弁でありました。

政策形成過程であってまだ決まっていない問題なんですが、清水市長が決めた、しかも早ければ今年、記載では来年10月となっていますが、今年の10月にも実施されるというふうな記載をしているんです。政策形成であるならばこの決定したというふうな表現、決まったかのような表現というのはやはり間違いだということになる訳なんですね。しかも、これは選挙の前に配布されている訳ですから。そのことを考えるならばですね、この記載そのものも選挙に与えた影響というのは非常に大きいというふうに言わざるを得ないと思いますね。

そういう意味ではですね、市としてはまだそこまで決まっていない、おまけに今の答弁の中でも無料ということについては、市民の公平性とかですね、地域の実情が違うから慎重な検討が必要だという答弁があったわけなんですね。公共交通無料化ということについてですね。

そういうことも考え合わせれば、きちんと記載をしたものに対して、訂正を求める、あるいは撤回を求める。こういうことが必要だと思いますが、この点について御答弁をいただきたいというふうに思います。

市 長(再答弁)
 今回の記事は庁内で調査検討している、いわば政策形成過程の段階での取材に基づき表現の自由及び報道の自由のもと、報道自らの責任と判断により、記載されたものと認識しておりますことから、一連の報道における表現に立ち入ることは適切でないものと考えております。


伊 藤(再々質問)
 利用券報道の、報道の自由というお話だったですけれど、もちろん報道の自由っていうのはあるのですけれど、その報道そのものが間違っていたらどうするんだい、という話は当然あるんだと思うんです。

 間違った時は、それぞれの判断だよと。それぞれの取材をして書いた人の判断だよと話ですけれど、市の立場からすれば、明らかにこれは慎重な検討が必要な中身であって正しい中身にはなっていないということなので、市としてやっぱりそうではないのですということを報道した機関に対して通知していくと、申し入れていくことは当然必要だと思うのです。

 これは報道の自由を侵すことでも何でもない。間違いを正すだけの話なんです。市の立場を明確にするだけの話なんです。そこのところがあると思いますので、あらためてやはりこれは訂正しましょうと、訂正することを申し入れて要望していだたきたいというふうに思うのです。

市 長(再々答弁)
 庁内で調査検討していたのは事実でありまして、例えば、バス、タクシーの利用券の交付についても、検討を指示したところでございます。そういった政策形成過程の段階での取材に基づき記事になったものと理解しております。
(議場がざわつく)



 以下は本ページに掲載した以外の代表質問です。

■いわき市議会2月定例会代表質問2 / 復興に向けた取り組み

■いわき市議会2月定例会代表質問3 / 市民生活を守ることについて

■いわき市議会2月定例会代表質問4 / 年頭所感にみる大型事業について

■いわき市議会2月定例会代表質問5 / 学校現場における業務の適正化等について

■いわき市議会2月定例会代表質問6 / エネルギー先進都市をめざすことについて

■いわき市議会2月定例会代表質問7 / 平和を築く情報発信について 


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