伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

議員だよりで、7月定例会の結果等をまとめて記事にしました

2020年08月17日 | 市議会





 紙面は以上のようなものです。以下、記事を紹介します。




■7月定例会
新型コロナ対応で4月28日以降誕生の新生児に特別給付等追加提案
全議案が可決・承認、会派から討論に



 いわき市議会7月定例会は、8月4日まで開かれ、市長提案の24議案を可決・認定、「HPV(子宮頸がん)ワクチン副反応被害者の命と健康を守るため、医療体制を整えることと実態調査をすることを求める請願書」の請願1件、意見書3件を可決し閉会しました。会派としては、企業会計に関わる決算案4件のうち下水道事業会計を不認定とし、坂本康一議員が、また、請願を採択すべきという立場で溝口民子議員が討論にたちました。
(報告・伊藤浩之)



 可決された議案のうち、追加提案された補正予算案には、新型コロナウイルス対応のため「新生児子育て応援特別給付金」と「交通事業者感染症対策支援金」などが新たに盛り込まれました。

対象外だった新生児に1人10万円給付

 新生児等特別給付金は、政府の「特別定額給付金」で対象とならなかった、本年4月28日から2021(令和3)年3月31日までに生まれた新生児を対象に、1人当たり10万円を支給して子育て支援を図るもの。
 申請が必要で、8月中旬が見込まれる事業施行日までに生まれた新生児に対しては、郵送で案内と申請書が届けられます。
 また、施行日以降に生まれ、本市の住民基本台帳に登録される新生児には、出生届出時に必要な書類が渡されることになっています。
 一方、交通事業者感染症対策支援金は、市内の交通事業者がバスやタクシーの車両消毒等をする場合、それぞれの車両に応じて一定額の給付が行われます。

過重労働解消等不幸な事件を繰り返さない対応が必要

 また、職員の自死にともなう損害賠償金も計上されました。
 自死は、長時間勤務等の加重業務による精神疾患による公務上の災害であることを認め、遺族との和解が成立したことから計上されたものです。
 この事件を契機に、改めて市の過重労働の解消に向けた取り組みが強く求められています。

HPVワクチン副反応関連請願採択に

 採択された請願は、HPV(子宮頸がん)ワクチンを接種した後の副反応で重い障害が発症し、治療を継続している市民本人が提出したもので、多数で採択されました。
 請願では、全身痛、過敏症状、歩行障害、筋力低下、脱力、硬直、呼吸障害、高次脳機能障がいなど障がいの深刻さから、「少しでも良いから楽になりたいと願わない日はありません。早く少しでもこの苦しみから解放されたい、できるなら死んでしまいたいと思うほど」と訴え、
①HPVワクチン副反応患者の医療の受け入れ体制の早急な整備、
②HPVワクチンを接種したいわき市民全員に接種後の健康状態調査、
の2点を求めています。


引上げ率の算定に問題あり
決算不認定で坂本議員討論


 下水度事業会計決算の討論に立った坂本議員は、この年度の決算から下水道利用料が14・8%値上げされ、2ヶ月間の資料量が20立方mの場合423円の負担増となっていることに、2つの問題があると指摘しました。
 一つは値上げの考え方にある汚水処理の経費を下水道使用料でまかなう割合、いわゆる経費回収率を69・4%(過去5年間の平均値)から、類似都市の平均値の中間値となる80・4%を達成する水準とするとして、使用料を値上げしたことです。
 この時の本市の経費回収率は、経費の算出方法が異なる特別会計と企業会計の時期を合わせて算出されていました。企業会計となって以後の回収率だけをとらえると平均値が76%となっており、企業会計前と後の数値を使って算出した69・4%の値を使って、値上げ率を判断した事には問題がありました。
 坂本議員は、値上げが実施された2019年度は災害等にともなう減免措置で料金の対象となる水量が前年より減少している特異な年度にもかかわらず、目標とした経費回収率を達成したのは、「値上げが大きすぎた。値上げの際の根拠とした経費回収率の平均の出し方に問題があった」と指摘しました。
 二つめに、値上げがされた同年度は消費税の10%への引き上げ等が予定されるなど、市民に大きな負担になったと指摘しました。
 また、下水道事業が汚水を適正に処理することで、公共用水の水質保全につながっていることを考えれば、恩恵は全市民が受けているとして、不認定とするよう呼びかけました。


請願人の健康回復願う
請願採択へ溝口議員討論 


 請願を採択すべきとの立場から討論に立った溝口議員は、公費接種の対象となった子宮頸がんワクチンが、2013年4月には定期接種の積極的勧奨が進められ、重篤な副反応の疑いを訴える声を受け、2ヶ月後に中止された経過にふれながら、「副反応被害者の多くは12歳から16歳時に摂取を受け、副反応が周知されていない中で、詐病扱いを受け、大変な思いをして医療機関を探して」いるとし、「厚労省が指定した協力医療機関も機能しておらず、治療体制が整っているとは言えない」と指摘しました。
 請願人は、中学1年生でワクチンを3回摂取し、21歳になった今も闘病生活を続けており、「早く苦しみから解放されたい」と訴えている。しかし、県内協力病院の治療内容が合わず、県外での治療を余儀なくされているため、市内病院での受け入れ体制の整備は喫緊の課題であり、国に対しても患者を診察できる医師の育成を求めることが必要と指摘しました。
 さらに、「接種者全員の健康状態調査」について、会津若松市では全員にアンケート調査を実施し、症状が継続している方を対象に、電話連絡を絶やさないなど「職員が寄り添った対応」を続けていると紹介。本市も同様の対応が求められているとしました。
 討論の最後に、こう述べました。
 「ワクチン接種については私も含め、市議会としても、接種費用の全額補助の予算を議決し、進める立場にありました。進めてきたものとして、副反応の発生に心を痛め、被害者自身とご家族、関係者のみなさまに心からお詫び申し上げたい。その立場からも、議会として請願を採択することが求められています。一日も早く治療方法が確立して、本請願人が、健康を取り戻されることを願います」
  ◆
 請願には不採択とする立場からの討論はありませんでした。
 採決では自民党一誠会、公明党の2会派が不採択とする立場をとり、1議員が退席しましたが、多数で採択されました。





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