広田寛治のブログ

音楽と社会と歴史と

ビートルズが残した童謡とその作風から想うこと

2012年07月09日 12時36分20秒 | エッセイ
ビートルズの作品は多様だと言われることが多いが、それはサウンド面にかぎられたことではない。
ビートルズは「童謡系」の作品も多数残している。
「イエロー・サブマリン」「オクトパス・ガーデン」「グッド・ナイト」。リンゴ・スターのボーカル曲には正統派の童謡系が多い。あのお父さん声は間違いなく子どもの心に響くだろう。
対して、ジョン・レノンの童謡系の歌は、子どもたちを新しい世界へと誘う。「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」を筆頭に、「アイ・アム・ザ・ウォルラス」「クライ・ベイビー・クライ」「コンティニューイング・ストーリー・オブ・バンガロウ・ビル」。こんなおかしな世界を描く夫をもったシンシアは、ハラハラしどうしだったに違いない。でも、ジョンが書いた「グッド・ナイト」は、主夫時代の「ビューティフル・ボーイ」に通じるところがある。ジョンはなぜ自分で歌わなかったのだろう。まだ自分に素直になれなかったんだろうか。もし、ジョンが歌っていたら、シンシアは何を思っただろうか。
ポール・マッカートニーの童謡は多様だ。子どもたちが楽しく歌える「オール・トゥゲザー・ナウ」。ちょっとロマンティックな「ディア・プルーデンス」。ちょっとあぶない「レディ・マドンナ」。耳元で歌ってくれたら熟睡できそうな(眠れなくなる人もいそうだけど…)「ゴールデン・スランバー」。ビートルズ時代は独身だったのに、ポールの童謡は、子どもたちに安心して聴かせることができる。女性ファンが多いのも納得できる。
それにしても、ジョージは童謡系の歌を残していない。ビートルズ時代は、まだ父になれない、甘えん坊だったのだろうか。
やはり、作品は人を現している、と思う。


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