妊娠中は妻の7割が夫への愛情を実感しているのに、出産や育児を経験した1年後には4割に減少していることが、ベネッセ次世代育成研究所(東京)の調査で分かった。夫が忙しすぎて家庭を顧みないと妻の愛情が低下し、育児をきっかけに夫婦の間に溝ができかねない現状がデータで裏付けられた。
初めて子供を持った全国の20~50代夫婦401組を、妊娠後期から1年間追跡調査した。
妊娠中は71%の妻が夫への愛情を実感していたが、1年後には42%に減少した。夫への愛情を維持していた妻の7割以上は「家族と過ごす時間を作っている」「私の家事をよくねぎらってくれる」と回答した。これに対し、愛情が低下した妻が同じ回答をした率は3割にとどまり、夫の家庭生活への関与や関心の度合いが、妻の愛情を左右していることをうかがわせた。
一方、妻の愛情が低下した夫の4人に1人が子どもがぐずったときに「ほとんど何もしていない」と答えた。また長時間勤務の目安とされる1日11時間以上働く夫は、11時間未満の夫に比べ、毎日おむつ替えや寝かしつけをする人の割合は半分で、「子育てに自信がない」と回答する割合も高かった。
調査にかかわった大日向(おおひなた)雅美・恵泉女学園大教授(発達心理学)は「夫が子育てにかかわれるかどうかは、就労時間が分かれ目となっている。男性が育児に参加できるよう、企業の支援体制づくりが急務だ」と話す。【斎藤広子】
(毎日新聞、nifty)