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音楽修行日記

作編曲家、花岡宏晃の日記です。

新星’78忘年会

2012-12-29 22:13:08 | 日常
今年は殆ど貢献出来ていなかったのに、視覚障害を持つクラシック音楽家団体
新星’78の忘年会にお招き頂きました。
とても居心地の良いお店を選んで下さって、楽しくお食事を楽しませて頂き
有難うございました。

今回お話していて、話題になった機械があったので皆さんにお伝えします。
こちら!!


・・・とはいえ僕は今までもこういった形の器具(盲目の方用のメモを取る機械)
は見てきたので、特になにが凄いのか分からなかったのです。

しかしなんとこれ!Wi-Fiなどでネットにつなげ、メールやブラウジングが出来るそうなのです!
例えばグーグル検索して、出てきたページのテキストが点字で読めるわけです。
まさに点字版iPadじゃないですか!すごっ!!
この日の食事中はこのお店のメニューのページを表示させ、必要な方は読んでらっしゃいました。

しかし、お値段・・・

37万円!!!! ( д) ゜ ゜ 

大量生産していない障害者用の製品が高いのは知ってはいましたが、
これもかなり高価ですね。

僕の見てきたこういう機械はみな一応8点点字対応だったと思います。
8点のほうが漢字を書く時に6点で書くより便利なようなのです。
(しかし8点は、学校で習うものの難解なため、中途失明された方など
誰もが理解出来るわけではないらしく、実際にはそうは利用することがないようです。)

では漢字のない海外でも8点点字はあるのかな?とふと疑問に思い、
折角点字の知識日本一の方も同席されているので伺ったところ、これは日本独自なんだそうで。
(数字やアルファベットは海外と共通です。)


昨年に続き、今回も点字ビンゴを催して下さいました!
ぜ、全然開かん・・・。


お隣の方が当てた景品。
マグネットがついていて冷蔵庫などに貼れる金属製の猫!
この本体と製品の台紙に点字が両面打ちされています。
一般の方が見ればデザインにしか見えませんが、「どれどれ何が書いてあるのか見てみよう」
と、点字の読める人は興味津々にチェックを始めました。
(ちなみに盲目の方も「TV見た?」のように「見る」は普通に使います。)


商品説明にも書いてあったとおり、何かに使った?ものを再利用して作ったもの
らしいのですが、ところどころ読めてしまうため(しかも丁度重い内容の文章が
書いてあった部分だったので^^;)、「ちょっとこれ、廃品利用にしても
もっと読めないようにしてくれないと、(人の名前とかうっかり書いてあったら)危ないじゃん!」
と一部お怒りの声もありました。まあ一般の方にとってはデザイン的なものにしか
見えないと思いますが、読める方にとっては、ね・・・(^^;)

ちなみにこれ、日本点字図書館にあるそうなのです。
この場にも同図書館にお勤めの方が何名かいらっしゃいましたが、
プロは「日点」と呼ぶことを知りました。
僕も点字テープが丁度切れているので、必要になったらそこ(高田馬場)まで行かないと。

*

ところで今日は大親友で尊敬するフルーティストの綱川君と席を近くして頂き
よく話していたのですが、指揮講座に興味を持ってくれて一度見にきたいと言ってくれました。

彼らはブレス(息使い)で入りをあわせたりするのですが、先日のコンサートでも
綱川君の見事な半拍のテンポ出しなど流石だなぁと思いながら見ていました。
また、目が見えると指揮の踊りの上手い下手に惑わされてしまうこともあるかもしれないですが
(それもコンサートなどにおいてはパフォーマンスとして意味がないとは言えないですが)、
綱川君に聞いてもらえれば、本当に音楽的に優れた指揮なのかどうかが分かると思います。

他にも歳の割と近いミュージシャンに、トランペットの荒井君がいるのですが、今日は
同席されず残念。先日のコンサートのMCで今年始めたと言っていた「ブラインドボーリング」
がどういうものか聞いてみたかったのに。

ちなみに「ブラインドタッチ」を差別的な言葉だと言って「タッチタイピング」と言い換えていたり
するようですが、少なくとも僕の周りの方たちは誰もそんなことを気にしていません。
(もっとも皆が皆彼らのように明るい心を持って生活しているとは限らない・・・
ということはあるのかもしれませんが。)
なので僕もわざわざ「障がい者」なんて腫れ物に触るような変な気遣いをせずに書いています。
それなら、例えば点字ブロックの上に自転車を置かないように気を使って頂いたり、
盲導犬の入店を許可して頂いたりするほうが、よっぽど彼らにとって嬉しいのではないかな、
と僕は思います。法的には入店出来ても、現実問題僕も予約の電話で断られたことがあります。


最後になりますが新星の皆さん、今年も有難うございました。
また何かご一緒出来ると嬉しいです。それにしてもオペラでもなんでも、
全て暗譜して演奏する彼らにはいつも頭が下がります・・・。

指揮講座忘年会

2012-12-27 23:52:18 | 日常
今日は指揮講座の忘年会がありました。
なんと先生のご好意で、ミニレッスンを行って下さることになりました!

お店は、以前講座の指揮伴をご協力して頂いた方のご両親が経営されているお店「なにわ」。
和食のお店で、グランドピアノが店内にあるのです!


課題曲は時期的にもぴったり、ベートーヴェンの第9の4楽章、歓喜の歌の手前まで。
チェリストもお招きしているのですが、前日の先生のリハで
テンポなど曲の解釈によって弓つけ等が変わる為、少ない時間では難しく、
まずピアノを振るところから始めましょう、とのことになりました。

(もっとも第9がよく演奏される日本には、手っ取り早く少ないリハで演奏できる
慣習的な解釈があるそうなのですが、先生はそれを作品の本質から離れていると
言われます。)

お詳しい方が聞いたら怒る説明かもしれませんが、4楽章では昔のゲームみたいに、
1、2、3面(楽章)のボスが再び現れ、それらが途中で突然、チェロとコントラバスによる
レチタティーボによって次々にやっつけられ(聴きたいのはこんな音楽ではない!と否定され)
そして皆さんご存知「歓喜の歌」が始まります。
(おじさん世代は「やーしょーくーだー やーしょーくーだー セーブーンイレーブンー♪」
の替え歌CMをご存知かと笑。)


今回はわたくし、トップバッターで行かせて頂きました!
だって上手い方々のあとはやりにくいもの(笑)。
今日の譜面台は指揮用のではないのでやや低かったとはいえ、多少猫背ですね(^^;)
テンポや拍子チェンジなどではアイコンタクトが出来るよう
ポイントは暗譜して臨みました。
撮影してくれたEさんありがとう。

ベートーヴェンの指定しているメトロノーム速度(第8交響曲を書いた後くらいに
メトロノームが発明されたんでしたっけ?)については、色々言われているようで、
演奏不可能なので彼のメトロノームは壊れていのでは?なんていう説もあれば、
いやいや今だと速過ぎるけど昔の楽器ではあのテンポで行けたんだ、とか、
クラシックの専門家でも分からないところは多いようなので、とりあえず僕は
色々な録音を参考にし、自分なりにまとめてみました。ただ、否定する性格である
レチタティーボがあまりゆったり朗々としてしまっては、それは違うんじゃないのかな?
と僕は思うのですが。

僕の後に続き、他の方の指揮を拝見しました。
僕はちょっとトラブルがあると止めてしまうのですが、達者な方はちゃんとその場で
曲を止めずに解決するのですね、リアルタイムで口で説明したり、歌ったり。
この辺が自分ひとりで行う練習では得られない、経験の差だなぁと思いました。
この問題解決能力はとても指揮者にとって大事です。
だって本番で何かあった時止めるわけには行かないですもの(笑)。
実習生で現役音大生のI君からは、本番で奏者が1小節間違えて演奏していた人がいたところを、
指揮で1小節分増やし上手く乗り越えたなんてお話も以前聞かせて頂きました。

みんなが指揮を終えた後、伊東先生の第9解釈をお聞きし、食事をしながらプロジェクターに
先日のGさんの指揮のブラームスの本番を写しみんなで見ました。





実は今回、僕と同じように、リハーサルで丁度「もっと指揮で自作曲のニュアンスを
伝えることが出来れば・・・」という経験をしたばかりの作曲家仲間をお誘いしたのです。
興味持って頂けたかな?

先生、指揮講座の皆さん今年はお世話になりました。
指揮講座第1期はあと2回で終了ですが、ド素人が、少しは自分の言いたいことを
指揮で表せるようになってきた・・・でしょうか?

また、結局のところ指揮自体は、例え達者になったところで演奏して頂く方々がいて
初めて成り立つことであり(指揮を勉強する過程でスコアを読んだりオーケストレーションを
さらに理解するようになったり・・・と、作編曲に役立つ副産物はあるとはいえ)
つまりは、人とのつながりを大事にしないと意味を成さないのです。

伊東先生の持ちネタじゃないですが、棒を振っていたら人生を棒に振った・・・
なんてことにならないようにしたいですね(^^;)

ディズニーでのクリスマスイヴイヴ!

2012-12-23 20:02:20 | 日常
ディズニー・・・もうどれだけ行っていないか分かりません。
10年どころじゃないでしょう。知らないうちにシーなるものが出来ていたりして。

そんな僕ですが、なんと今年は女の子とディズニーに行くことになったのです///
いやーついに僕にも幸せが!!

・・・と思いきや、実はお世話になっている会社から、ディズニーリゾート内のホールでの
イベントとその前に行われるパーティーに招待して頂いたのです。
この会社の仕事でお世話になったミュージシャンと、作曲家仲間をお誘いしました。


ほー、これがウワサのホテルか。

ホール内でのパーティーでは、今年お世話になった方々にご挨拶が出来よかったです。
なかなかプロジェクトが進行してる間はゆっくり話をすることも出来ませんでしたし。
かつての同級生にも合え、(僕はFacebookなどやっていないので知らなかったんですが)
彼の経営するスタジオが移転して広くなるなど素敵な情報も聞けました。

イベントはオジサマ専科といい、ベテラン男性声優さん達が一堂に会する豪華さ。
基本的には女性向けなわけですが、小山力也さんなどステージを盛り上げるの上手な
方はとても面白いですね。

前回はジャズバーのコンセプトだったのでピアニストに西村さんをご紹介できたのですが
今回はステージに楽器はなし。ちょっと残念ですけど出演者12名ですしね(^^;)
しかしよくここまで日本の洋楽吹き替えやアニメに不可欠な方々を集められるか!
と思いました。チッタ川崎でも小山さんが言われていましたが、
「(ここは)日曜洋画劇場か!」ですね(笑)。

*

イベントが終わって外に出ると、丁度大量の花火が打ちあがりました!


し、しかし・・・

このフォルムはディズニー的に良いのか・・・?
い、いや多分ツリーを表現したかったのだろうけど、どう見ても・・・。




イクスピアリの風景 僕もこんな素敵な気持ちにさせてくれる作品を作りたい。


帰りに食事したレストラン内の水槽。水族館レベルの大きさの魚がいっぱい!

そんなわけで、こんな機会でも頂かなくては舞浜に行くこともなかったので、
ご招待頂き本当に有難うございました。





メリークリスマス!


新星’78 クリスマスコンサート

2012-12-21 22:39:13 | 日常
僕の昨年のアレンジを使って頂くクリスマスコンサートがあることを
当日にお知らせ頂きました(^^;)

昨年はフルートの綱川君が急遽入院となってしまい、彼をイメージした
ジャズのソロ風フレーズなどを書いていたので、一年越しに本人に吹いて頂くことが出来
感無量でした。

もっとも昨年は代役の大内さんが、依頼されてから本番までお時間もない中、
アレンジャー冥利に尽きるほどしっかりと解釈して下さった上で
ご自分の味を加えるという、素晴らしい演奏をして下さったので
二人の演奏が聴けて2倍嬉しかったですね。

しかしながらプログラムでの並びで良いアレンジのものにはさまれると、
アレンジの弱いところも見えてきました。僕は個々の楽器を立てたくて
ピアノをやや押さえていたところがあったのですが、
アンサンブルが小編成のため、やはりある程度ピアノが下から上まで
しっかり鳴っていたほうが全体として聞こえはよくなるように思いました。

この編成のためのアレンジなので、演奏者からは
「演奏していてとても楽しい」と言って頂いているのですが、やはり
お客様への聞こえをもう少し配慮しないとな、と思いました。
なので、もしまた使って頂ける際は手直し出来るといいなあ。
するとまた点字楽譜に直さないといけないので、ご迷惑おかけいたしますが(^^;)

MCで三好ご夫妻(共にピアニスト)が今年、北京の日中国交コンサートに呼ばれていたのに、
日中関係の問題で直前で断りの連絡があったお話を聞き、身近にも影響を受けていた人が
いたんだなあと実感しました。
しかしながらご夫妻は折角だから観光として予定通り北京に行かれたそうで、
向こうの方からは「我々には全く関係がないことだが、若い連中が
政治のうっぷん晴らしもあり暴れていて申し訳ない。」と言って頂いたそうです。

佐賀を中心に一緒にツアーさせてもらっていた頃が懐かしいですが、
その数年は奏者としての付き合いだったので作編曲で関わることはなく、
最近になってこうして曲書きとして関わることが出来ているというのも
面白いものです。



アレグレット交響楽団コンサート

2012-12-09 22:21:46 | 日常
指揮講座でご一緒しているGさんが指揮される、
アレグレット交響楽団のコンサートを聴きに行きました。

本番を前にぎっくり腰になってしまったそうで、椅子を使っての指揮を選択されていました。
でもやっぱり曲の後半で盛り上がってくると抑えきれず立ち上がってしまう姿には
熱いものを感じましたよ!

クラシックにわかの自分はにとって、スコアを頭に入れて(といっても僕は部分部分程度ですが)
指揮を練習した曲を聴くと言うのは新しい体験でした。
アマチュアでも、オケに参加した経験があったり、あるいは本当に音楽が大好きで
曲を長年聞き込んで良くご存知の方には頭が下がりますし、自分の不勉強が
恥ずかしくなります(^^;)

このコンサートで演奏する曲のうち、ブラームスの1番は指揮講座でも扱ってきましたし、
さらに本番を前に、指揮講座でGさんの本番に向けての特別な補講も行われ僕らも参加しました。
このレッスンでもGさんは座って指揮されたのですが、逆に下半身が動かせないため、
いつもより無駄な動きがなく安定していると伊東先生から褒められていました。

この時のレッスンの指揮伴(オーケストラ曲をピアノで弾いて頂きます。)は、
いつもお世話になっているMさんと、様々な有名音大でご指導をされてこられたNさんという
実に素晴らしい4手ピアノだったのです。

Mさんからの嬉しいご提案で、レッスン室一番乗り特権ということで、
伊東先生が来られる前に2楽章を少し振らせて頂きました。
いや~胸を貸して頂きました。もっとしっかり譜面を頭に入れて臨みたかった!
途中でMさんが電話で抜けた時も、臨機応変に必要な部分を拾って弾いて下さったり、凄かったです。

そんな指揮講座、忘年会では面白い企画を設けて下さっていて
とても楽しみです。もっとも今その勉強で悩んでいるのですが(^^;)

*



終演後ホール近くの喫茶店のコーヒーが美味しかった。
次回からこのコンサート、お客さんの増加のため会場を変えるそうです。
素晴らしいことですがこのコーヒーに会えなくなるのだけは残念(^^;)

修さん60th BIRTHDAY

2012-12-06 22:00:00 | 日常
The Supremesのライブで始めてお世話になり、
The Three Degreesツアーでサポートキーボードとしてお世話になっているバンド、
HI-JACKのリーダー、修さんの還暦ライブが行われました。

このバンドは僕が産まれる以前から活動している歴史あるバンドで、
この日は初代リーダーのSaxの方や、かつてのバンドメンバー、歴代ヴォーカリストなど
修さんのために多くの人が集まってくれました。

赤いちゃんちゃんこ?いやいやソウルフルなこの世界にかかればこうなります。


この日のために仕立て、贈られたものとのこと。
金がゴージャスでかっこいい。

The Stylistics、The Temptationsなど数多くのアーティストから
信頼を得ているHI-JACKブラスセクション!


今日は非番の方も飛び入り参加!

ギターのKさんが一時期入院してしまったと人づてに聞いていたのですが、
お会いしたらお元気そうで何よりでした。
かなり痩せて、むしろ若返られたように見えました。

僕はついつい音楽を自分の内側に求めてしまうことがあるのですが、
修さんや、最近お付き合いのある若く勢いのある作曲家を見ていると、
本当に人とのつながりが大事なんだなぁと言うことが良くわかりました。

修さんに秘密で、修さんのご実家、宮崎の方々にインタビュー&
お祝いメッセージをもらいに行ったバンドメンバーがいたのですが、
そのビデオ(ステージで流しました)の中で、修さんの学生時代のバンド仲間の方が
「修、このコメントもらうために宮崎まで来てくれた仲間がいるんだよ?
お前は幸せ者だよ!」と言われていたのがとても印象的でした。

修さん本当におめでとうございます。これからも色々教えて下さい!

3DS「ペーパーマリオ スーパーシール」発売

2012-12-06 10:00:00 | 日常


このたび、12月6日発売のニンテンドー3DSソフト
「ペーパーマリオ スーパーシール」
作曲スタッフの1人として参加させて頂きました。

北米では「Paper Mario: Sticker Star」というタイトルで
一足早く11月11日に発売となっておりました。

僕は初代マリオやスーパーマリオブラザーズをリアルタイムに経験してきた
世代ですので、まさか自分がマリオ作品に携われるなんて!という思いです。
自分を推薦して下さった方や、関係者の皆々様に改めてお礼申し上げます。

この時期ですので、お子さんのクリスマスプレゼントにお買い上げ下さる方も
きっといらっしゃることと思います。
子供のいない自分ですが、この作品を通じて、お子さんたちにとって
サンタ的存在の一端を担えるのかな?と思うと、とても嬉しいです。

子供の頃、誕生日など特別な時にだけ買ってもらえた、
ファミコンのカセット1本の大切さを覚えています。
そして今は制作スタッフの一員として、その宝物(になってもらえたら嬉しいですが)
を作れるかもしれない側に居るなんて、なんだか不思議な気持ちです。

もちろん、大人も子供も、男の子にも女の子にも楽しんで頂ける作品です。
飛び出すペーパーマリオの世界をお楽しみ下さい!

Steve Reich(スティーヴ・ライヒ)氏 トーク・セッション

2012-12-05 17:56:33 | 日常
世界的現代音楽作曲家、スティーヴ・ライヒ氏のトーク・セッションがあるという事で、
国立音楽大学まで見に行きました。


こちらがホールのある講堂。パイプオルガンのある大ホールと、
今回イベントのある小ホールがあります。

素敵なベルです。

基本的に現代音楽は好きな人しか聞かないと思うのですが、ライヒ氏はの作品は
テクノファンなどポピュラー層からも支持されています。

トレードマークのキャップをかぶって現れたライヒ氏からは、とても70半ばとは思えない
エネルギーを感じました。

(以下メモと記憶から文章を書きますが、聞き間違い等あるかも知れない点ご容赦ください。)

今回の来日では、アメリカ9.11をテーマにした作品「WTC 9/11」についてお話してくださいました。
最初にクロノス・カルテットから、レコーディングされた素材を使って曲を作らないかとの
依頼があったそうです。そうしてライヒ氏が初期の頃行っていたものの、もう長年やっていない
手法での音楽を再び作ることになったのです。

ライヒ氏自身、9.11の時は自分も家族もWTC(ワールドトレードセンター)から
4ブロックのところに住んでいて、30日の避難を体験したそうです。

Ⅰ. 9/11
Ⅱ. 2010
Ⅲ. WTC
という3つの楽章の構成の曲。

1楽章では、9.11の異変を一番最初に知った管制官、消防のやりとりの録音などを素材にした音楽。
作曲を引き受けたものの、ノーアイデアだったそうですが、受話器を取ったままにした時鳴った
警告音を聞いたとき、「これだ!」と思って冒頭と終わりに使用したそうです。

この作品の中で、死後の世界、来世観についてもイメージされてるそうですが、
電話の音はそれとは対極にある「現世の象徴」ということでした。

2楽章は、9.11を体験した人に当時のことを思い出して語ってもらい、
その素材の母音、子音をヴァイオリンやビオラが引き継いでいくといった手法。

またこれは3楽章に関わるエピソードかと思いますが、
ユダヤ人である彼が言うには、ユダヤでは人が亡くなったら、埋葬されるまで
必ず遺体の傍にだれかが付き添ってあげなくてはいけないそうなんです。
魂が周りにいるからとのことで。そのため、冷凍者の横でDNA鑑定が終わり埋葬されるまで
何十日も座っていたというお話を聞きました。

こちらでライヒ氏のインタビューとともに曲の抜粋をちょっとだけ聞けます。

曲についてのお話、そして録音された「WTC 9/11」を聴いた後は質問コーナー。

作曲者として奏者への注文、指示の出し方についての質問には
「一切注文は出さない。優れた奏者はしっかりどう演奏するか解釈してくれるので、任せている。」
とのことでした。これは勝手知ったる優れた仲間と音楽を作っているから言えるんだろうなあ。

また、(このトークセッションの夜にもオペラシティでコンサートがあることに関連して)
先日オペラシティで初音ミク(と名前は出さなかったものの)コンサートが
行われましたが、そういった音声合成ソフトについてどう思いますか?
という質問には、おいおい世界的作曲家に凄いこと訊くのか!とちょっと度肝抜かされましたが(笑)
「何を使うかではなく、結果として出来たものが全てではないか?」というお答えでした。
ちなみにSieliusとReasonをライヒ氏は使っているそうで、驚きましたがちょっと納得する気もします。

そのほか、今の国立はジャズはあるのは聞いていましたが、ポピュラーやコンピューター
の学科もあるのか、ジャズやポピュラーに関しての質問もいくつかありましたが、
それらにも、「ドラムを習っていたこともある」「マイルスは大好き」
「デヴィッド・ボウイが自分の初演に来たこともある(くらい自分にとってポピュラーは身近な存在)」
・・・といったように、他の現代音楽作曲家ではそうそう答えられないだろうくらい
ジャズポピュラーについての質問にも答えてくれました。
smooth jazzについて聞かれた時の「アイスの安売りのCMで使われそうなネーミングだね」
には笑いました(笑)。

*

そんな訳で貴重な一日でした。
ところで僕が初めて聴いたライヒ氏の音楽は「Piano Phase」か「Marimba Phase」なのですが
よく相手の演奏につられずにずらしていけるなあと驚きましたね(^^;)