阿部謹也が、小樽商大の講師に赴任のために青函連絡船の乗り込む場面から始まる。
青函連絡船、2等、そうだった、と思う。
こちら札幌側から言えば、札幌を夜8時発の特急「おおぞら」に乗って、12時頃、青函連絡船に乗り込み、冬ならまさに「津軽海峡冬景色」そのまんま。
青森駅のホームから特急「ゆうづる」に乗って、仙台あたりでようやく夜が明ける。
すると仙台の田畑の風景、家並みが、まるで北海道とは違い、ようやく本州までやってきたんだんだと思ったものである。
上野駅って、なんとなく薄暗くて、これまた寅さんがラーメンをすすり、さくらが寅さんに五百円札を渡す映画のシーンの上野駅そんまんま。
上野駅って、東京のどの駅とも違って、イメージがなんか暗い。
という話しは『北の街から』の内容には関係がない。
『北の街から』は、随分、昔に読んだ本で、我が家のいわば古書コーナー的本棚に並んでいた本である。
先日の、ブログのプロフィールについて書いた時に、「ああ、そう言えば……」と思い出して、本棚から引っ張り出して読んでいる。
というか、作業に疲れた時の、気分転換の拾い読み。
内容のこまかな描写はすっかり忘れており、偶然、開いたページが、どこから読んでも面白い。
本州からきた若き研究者が、まるで異文化の小樽での生活の日々に感じる違和感も面白い。
ドイツ留学時代も、なるほどと、共感するところが多い。
特に、鐘のなる町の話がいいなぁ。
専門のヨーロッパ中世史について描かれているところには、あらためて興味が湧く。
私のそもそもドイツの旅の始まりは、阿部謹也の書に導かれたところ大だった。
良い本というものは、こんなに時間を経っても、新鮮な喜びを感じさせてくれるものだと実感する。
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