静(しづか)なるかしの木はらや冬の月
静(しづけ)さに堪へて水澄(すむ)たにしかな
静(しづけ)さの柱にとまるほたるかな
静(しづけ)さや清水(しみづ)ふみわたる武者草鞋(むしやわらぢ)
鹿寒し角(つの)も身に添ふ枯木哉
鴫立(しぎたち)て秋天(しうてん)ひきゝながめ哉
しぐるゝや堅田へおりる雁ひとつ
(英一蝶が画に賛望れて)
四五人に月落(おち)かゝるをどり哉
帋燭(しそく)して廊下過(すぐ)るやさつき雨
さみだれに見えずなりたる径(こみち)かな
さみだれのかくて暮行(くれゆく)月日哉
五月雨や滄海(あをうみ)を衝(つく)濁水(にごりみず)
さみだれや大河(たいが)を前に家二軒
さみだれや名もなき川のおそろしき
さみだれや仏の花を捨(すて)に出(で)る