タイトル長いわ!
当ブログのコメントがうまく読めない方がいらっしゃるようなので、以下、ご本人のご了解を得て引用(全文)↓
Unknown (岡田英昭)2021-07-27 18:04:18Twitterにも書きましたが長文執筆お疲れさまでした。
平岩先生が誠心誠意事実を追及された様子をより知る事ができました。
また、本件に対して議員の多くの方が関心を示さなかった事に対する先生の失望も強く感じます。
個人的には
①「企業というのはそういう存在だし、議員というのもそういうもの(中略)感情に走って誰かを罵倒する必要もないし、無駄に誰かを憎悪する必要もない」
②同情票・感情票が都民ファーストの会の候補者に流れたが、その下地を作ったのは他でもない。議論ではなく感情だけでおじま議員を攻撃していた人たちだ。
の、2点については強く同感です。
ただ、その前提で「西武が対応する気などなかった」と若干西武さんにネガティブな書き方をされている事には違和感を覚えました。
西武にとって跡地のベストな手放し方は分譲だったはずであり、なかなか進まない公園化の話の中、赤字ギリギリのとしまえんをここまで経営するのは苦労があったと思っています。
そして時間的スパンや進め方に問題はあるものの将来的には防災公園を全面開園できるように動いたのは事実と思っています。
個人的には半世紀放置した上、10年というリミットも設けておきながらギリギリまでパブコメを含めた公園計画を全く進めなかった行政と、それに対する指摘の無かった議員さんたちは一体何をしていたのだろうという印象です。
西武(企業はそういうものという前提で)には引き続き協力を求めつつ、議員さんにこれまでの行政の行動やスタンスに問題が無かったかをつついていただく(関心が無い議員さんにはその点に於いてある程度批判があってもいいかと思います)というのが適切なスタンスかと思うのですが、いかがでしょうか。
というご意見。
岡田さん、丁寧なコメントありがとうございました。
「若干西武さんにネガティブな書き方をされている」というコメントに岡田さんの優しいお人柄がうかがわれますが、いえいえいえいえ。
私、西武に対してはスーパー・ネガティブな印象しか抱いておりません。
思うに、西武に対して「企業ってそういうもの」と割り切って引き続き協力を求めていくべきかどうかは、一次的には「西武に対して何を求め、期待しているか」によるのではないかと思います。
「伐採したとしまえんの木で作った木工製品を売ってほしい」とか、「としまえんの木のドングリ詰め合わせセットが欲しい」とかであればそれでもいいと思います(それですら西武は何もしないと私は見ていますが)。
「プールを再開してほしい」・・・これはもう、絶望的でしょう。
理由は全2回のまとめ(前編・後編)に書いたとおり。
プールを再開する、ということは練馬城址公園の整備計画・スタジオツアーの誘致計画を前提とした5者覚書を白紙撤回する必要がありますが、それはあり得ない。「覚書」といっても5者の権限ある代表者が署名・捺印した文書です。「やっぱり事情が変わったから」「よくよく考えてみたら別のやり方がいいと思ったから」で白紙撤回できるほど甘くはない。
スタジオツアー東京の計画を維持したままプールを再開するということは、東京都にとっては練馬城址公園として整備する予定だったエリア(としまえん跡地の南半分)すらもプール存続中は手をつけられないということになりますが、そんな判断はあり得ないでしょう。おまけに避難場所も広域防災拠点もなくなります。
他方、プールを再開して練馬城址公園を整備するというのであれば、ワーナーに「スタジオツアー東京を諦めて出て行ってくれ」というほかありませんが、そんなことをしたら巨額の損害賠償請求・違約金の請求書が送られてくるでしょう。これもあり得ない。
契約論、利害得失関係から考えて西武が「プールの再開」に応じることはあり得ない以上、この点で「西武に協力を求める前提」もありません。
「としまえんの遺産(カルーセル・エルドラドとか古城とか)の存続・譲渡を求める」
これはあり得る選択肢かもしれません。
(こんなことを書くとまたとしまえん存続派の方から嵐のような批判が来るでしょうが)カルーセル・エルドラドを残し古城を残せば、としまえんとの別れを惜しんでいる方々の溜飲も多少は下がるかもしれません。
しかし、広域防災拠点との関係では全く意味がありませんし、避難場所の確保という観点からはむしろ避難場所に利用できる面積が減ってしまうだけのことです。
「としまえん問題」の軸足をどこに据えているかによりますが、私は少なくとも防災という観点で一貫して主張を続けていますから、カルーセル・エルドラドや古城を残して避難場所が失われてしまうのなら、カルーセル・エルドラドも古城も、いっそ西武園遊園地にでも持って行ってもらった方がいい。
プールを潰して練馬城址公園にする。
5者覚書は白紙撤回できないから、としまえん跡地の北側には当初の予定どおりスタジオツアー東京を誘致する。
みんなが切望するからカルーセル・エルドラドと古城は練馬城址公園エリアのどこかに移築する。
避難場所はその分狭くなり、広域防災拠点として使える面積も少なくなる。
防災という観点からとしまえん問題において東京都や西武のやり方を批判している者にとっては何の意味もないのです。
確かに「企業というのは利益の最大化を目指して活動する存在」ではありますが、金のためなら何をやってもいい、ということではないと私は思っています。
コンプライアンス、社会的正義、インテグリティ・・・表現は様々ですが、端的に言えば、
やっていいことと、悪いことがある。
今回、西武がやったことは、少なくとも私の価値観からはおよそ許されないヤクザまがいの手法であり、金に目が眩んだ最低の企業姿勢でした(そう思わない人もたくさんいるとは思いますが、あくまでも私の価値観です。)。
東京都はなにも「練馬城址公園にするからとしまえん跡地をタダでよこせ」と西武に言っていたわけではない。
当然、土地収用法その他の法令に基づいて適正な土地取得代金・補償金が西武には払われます。
要するに今回、西武がやったことは、
「それだけじゃ足りないからもっと金をよこせ。
金をよこせないなら自分たちが30年間、儲けられる方法を是認しろ。
そのかわり避難場所はなくなるし、広域防災拠点の機能も減殺されるかもしれないが、そんなことは知ったことではない。東京都が考えろ。」
ということでしょう。
そして東京都は何の抵抗をすることもなく、この要求を受け入れました。
唾棄すべき敗北主義、西武の利益の前に都民の命をドブに捨てた事大主義、公園の完全な整備計画を30年間先送りすることで今の自分たちには責任がかからないようにした無責任主義。
そこには議員であれ役人であれ、公僕としての矜持のかけらもない。
(この辺の事情、流れについては前編・後編で時系列を踏まえて論証しました。仮に私の推測が外れていたとしても、「避難場所に指定されている、広域防災拠点にもする予定であることを知っていた『としまえん跡地』を、としまえん閉園の直前に、優先整備区域の10年という年限ぎりぎりになって、伊藤忠に事業用定期借地契約で貸し渡してスタジオツアー東京を誘致した。」という事実は動かしようがありません。そしてその事実の中心にいるのは西武です。)
繰り返しになりますが、法律違反でなければ、契約上問題なければ、企業は金を稼ぐために何をしてもいい、ということではない。
少なくとも私はそう思っています。
適法だとか、契約自由の原則だとか、私的自治だとか、企業の本質だとかは関係ありません。
こういうことを卑劣といいます。
かつての総会屋への利益供与、有価証券報告書への虚偽記載、株主偽装という一連の不祥事を理由に上場廃止にまでなって以来、西武という企業の体質は何一つ変わっていない。
「企業の信頼というのは足し算ではない。掛け算である。一度でもお客様や社会からの信頼を失って0にしてしまったら、その後、何を掛けても永久に0のままだ」
と企業の社会的責任を喝破した、とある上場企業の社長がいました。
過去は過去としても、西武は今回、としまえん問題で私たちの、それどころか東京都の信頼にすら0を掛けました。
西武という企業は信頼に値する交渉相手、協議相手ではない、と私は思っています。
これは私の経験則にすぎませんが、卑しい奴は何度でも卑しいことを繰り返します。
金のために人を裏切るやつは、何度でも金のために人を裏切ります。
信頼できない相手は、どこまで行っても信頼できない。
私は西武という企業を髪の毛の先ほども信頼していないのです。
昨年8月以来、私は通勤時に西武線には絶対に乗らなくなりました。
よほど体調や天候が悪くない限り、練馬から東中野まで歩く。
おかげでずいぶん体力がつきました。
西武に対する評価はいろいろあるでしょうが、こと練馬城址公園の整備に関して、「西武を信頼できる交渉相手として協力を求めていく」という選択肢は、西武のこれまでの企業姿勢からしても、やってきた行為からしても、また、5者覚書と事業用定期借地権の設定という事実からしても、ほとんど意味がなくなってしまいました。
後編にも書きましたが、さらに30年間、事業用定期借地契約を更新される可能性すらあります。
信頼できない、土壇場で相手の足をすくってひっくり返すようなことをしてくる相手に対しては、建築審査会への審査請求などを通じて法的にスタジオツアー東京の建設を阻止してしまうか、淡々と土地収用法を発動して30年後にスタジオツアー東京の敷地部分を強制収用してしまうほかない、と私は思っています。
無責任な役人同様、私もまたその頃にはこの世にいないので、正しい怒りを持ち続けられる次の世代に希望を託すほかないのですが。
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