そういえば最近歯科に関する記述が無かったですね。
友人Оから辛口の指摘を頂きました(^^;
ということで久しぶりに歯科に関する記述もしてみたいと思います。
e-MAXというイボクラールビバデント社のシステムに乗っ取って
セラミックの詰め物、かぶせ物を自分で作製してみます。
まずe-maxシステムについて簡単に説明してみます。
そもそもセラミックの加工方法には
・CAD/CAMを用いた方法
・プレスをする方法
があり、
CAD/CAMとは、「Computer Aided Design and Computer Aided Manufacturing」の略で、
コンピュータ支援による設計とコンピュータ支援による製作を行うシステムのことです。
各メーカーによって種類がありますが、
・ Lava
・セレック
・プロセラ
・セルコン
・カタナ
・インセラム
etc
と種々のメーカーより販売されています。
プレスをする方法は
・エンプレスⅠ → エンプレスⅡ と来て、→ e-max(イーマックス)
と進化してきました。
e-maxはエンプレスⅢに相当します。400MPaというフレーム強度が実現されました。
では、プレスとCAD/CAMって何が違うの??って話になります。
まず材質が違います。プレスでは「二ケイ酸リチウムガラスセラミック」を用い、CAD/CAMではジルコニア(二酸化ジルコニウム、化学式:ZrO)が主に用いられます。
透明度の高いアルミナもありましたが、今ではほとんど用いられていません。現に私も今はやっていません。
ちなみにジルコニアは原子力発電所で燃料棒の格納容器なんかにも使われています。融点が2700℃と極めて高く、強度共に安定した素材だからです。
他には
・強度
・透明度
・製作過程
・適合性
このあたりに微妙な違いがあります。
どちらもフレームを作る。という点で同じです。
その上で
・ステイニング法 → いわゆる「お化粧」です。フレームは削らずにそのまま残すので最も強度が出ます。反対に色が出しにくいです。
・カットバック法 → いわゆる「半分お化粧、半分作製」です。両方の中間です。ラミネートベニヤのような薄く強度が必要な補綴物に用いることが多いです。
・レイヤリング法 → フレームを小さめにし、陶材を盛る量を増やします。色は出しやすいですが、強度が上記2つに比べると落ちます。
といった技法を使い分けているわけです。
といったうんちくがあるわけですが、上記の中で「e-max」を今回は用いましたよ。
ということです。
支台歯にワックスアップを施します。
右はレイヤリング法、左はカットバック法を用いて作製します。そのためワックスアップの段階で右側は削合量を多めに取ります。
で、ワックスアップをスプルーで立てるわけですが、ここが普通の鋳造よりはるかに難しいのです。
これが圧入容器ですが、両はじの先っぽにやや斜めにはみ出しすぎないよう立てます。これが複数作製するとイライラしてくるくらい繊細な仕事なんです(^^;
で、埋没材を流すのですが、「リン酸の埋没材」を用います。
この際にこの埋没材をよかく拌する必要があるので、しっかりしたかく拌機を用います。
こちらがe.maxのプレス機です。
「焼成」と「プレス」の両方が可能なので、結構優秀なマシンですよ(^^)
ここにインゴットを入れ、プレスします。
取り出したのがこちら。
実はこの過程が非常にしんどかったのです。
リン酸の埋没材がとても硬く、大きいので、レーズを用いてカッティングディスクを使い大まかに切ってからは、サンドブラスターをひたすらかけ続け、
未反応層を除去したりして、こうして原型が取り出せるわけです。
適合させてみました。
大臼歯は強度を重視しますので、ステイン法で行きます。
ここにお化粧して、もう一度焼成したら完成です。
前歯は審美性(色あい)を重視します。
レイヤリング法で陶材を築盛していきます。
ペタペタぺ多と。
裏面もしっかり盛ります。
ここは支台歯形成がしっかりできていないと基底結節の表現ができません。
審美、強度、舌感、下顎からの咬合干渉、ガイド。ここは色々と考えさせられる場所です。
と完成させましたが、ん??と。
左右で色が違うではありませんか。
これは、右側をレイヤリング法でデンチン(象牙質)色の陶材を多めに盛ったことと、
左側をカットバック法により、エナメル(エナメル質)色の陶材を多めに盛ったことが色合いの違いをもたらしてしまいました。
やむなく右側をもう一度削り出し、
デンチン色を少なく、エナメル色を多めに盛ることで解決しました。
臨床では、ここに支台歯の色、セメントの色、歯肉の色、患者さんの好み。
この辺を全て考慮して作製します。
結構、時間と労力そして材料・・・かかっています(^^;。
「高い!?」
なんて感じるかもしれませんが、失われた「機能」、そして「美」の回復は容易なものではありません。
歯科の技術は保険適応のものでもそうですが、チェアタイムで歯科医師が、技工室で技工士さんが、
こうしてハンドメイドで一つずつ丁寧に心を込めて作製しているのです。
このことをご理解いただけたら嬉しい限りです(^^)
友人Оから辛口の指摘を頂きました(^^;
ということで久しぶりに歯科に関する記述もしてみたいと思います。
e-MAXというイボクラールビバデント社のシステムに乗っ取って
セラミックの詰め物、かぶせ物を自分で作製してみます。
まずe-maxシステムについて簡単に説明してみます。
そもそもセラミックの加工方法には
・CAD/CAMを用いた方法
・プレスをする方法
があり、
CAD/CAMとは、「Computer Aided Design and Computer Aided Manufacturing」の略で、
コンピュータ支援による設計とコンピュータ支援による製作を行うシステムのことです。
各メーカーによって種類がありますが、
・ Lava
・セレック
・プロセラ
・セルコン
・カタナ
・インセラム
etc
と種々のメーカーより販売されています。
プレスをする方法は
・エンプレスⅠ → エンプレスⅡ と来て、→ e-max(イーマックス)
と進化してきました。
e-maxはエンプレスⅢに相当します。400MPaというフレーム強度が実現されました。
では、プレスとCAD/CAMって何が違うの??って話になります。
まず材質が違います。プレスでは「二ケイ酸リチウムガラスセラミック」を用い、CAD/CAMではジルコニア(二酸化ジルコニウム、化学式:ZrO)が主に用いられます。
透明度の高いアルミナもありましたが、今ではほとんど用いられていません。現に私も今はやっていません。
ちなみにジルコニアは原子力発電所で燃料棒の格納容器なんかにも使われています。融点が2700℃と極めて高く、強度共に安定した素材だからです。
他には
・強度
・透明度
・製作過程
・適合性
このあたりに微妙な違いがあります。
どちらもフレームを作る。という点で同じです。
その上で
・ステイニング法 → いわゆる「お化粧」です。フレームは削らずにそのまま残すので最も強度が出ます。反対に色が出しにくいです。
・カットバック法 → いわゆる「半分お化粧、半分作製」です。両方の中間です。ラミネートベニヤのような薄く強度が必要な補綴物に用いることが多いです。
・レイヤリング法 → フレームを小さめにし、陶材を盛る量を増やします。色は出しやすいですが、強度が上記2つに比べると落ちます。
といった技法を使い分けているわけです。
といったうんちくがあるわけですが、上記の中で「e-max」を今回は用いましたよ。
ということです。
支台歯にワックスアップを施します。
右はレイヤリング法、左はカットバック法を用いて作製します。そのためワックスアップの段階で右側は削合量を多めに取ります。
で、ワックスアップをスプルーで立てるわけですが、ここが普通の鋳造よりはるかに難しいのです。
これが圧入容器ですが、両はじの先っぽにやや斜めにはみ出しすぎないよう立てます。これが複数作製するとイライラしてくるくらい繊細な仕事なんです(^^;
で、埋没材を流すのですが、「リン酸の埋没材」を用います。
この際にこの埋没材をよかく拌する必要があるので、しっかりしたかく拌機を用います。
こちらがe.maxのプレス機です。
「焼成」と「プレス」の両方が可能なので、結構優秀なマシンですよ(^^)
ここにインゴットを入れ、プレスします。
取り出したのがこちら。
実はこの過程が非常にしんどかったのです。
リン酸の埋没材がとても硬く、大きいので、レーズを用いてカッティングディスクを使い大まかに切ってからは、サンドブラスターをひたすらかけ続け、
未反応層を除去したりして、こうして原型が取り出せるわけです。
適合させてみました。
大臼歯は強度を重視しますので、ステイン法で行きます。
ここにお化粧して、もう一度焼成したら完成です。
前歯は審美性(色あい)を重視します。
レイヤリング法で陶材を築盛していきます。
ペタペタぺ多と。
裏面もしっかり盛ります。
ここは支台歯形成がしっかりできていないと基底結節の表現ができません。
審美、強度、舌感、下顎からの咬合干渉、ガイド。ここは色々と考えさせられる場所です。
と完成させましたが、ん??と。
左右で色が違うではありませんか。
これは、右側をレイヤリング法でデンチン(象牙質)色の陶材を多めに盛ったことと、
左側をカットバック法により、エナメル(エナメル質)色の陶材を多めに盛ったことが色合いの違いをもたらしてしまいました。
やむなく右側をもう一度削り出し、
デンチン色を少なく、エナメル色を多めに盛ることで解決しました。
臨床では、ここに支台歯の色、セメントの色、歯肉の色、患者さんの好み。
この辺を全て考慮して作製します。
結構、時間と労力そして材料・・・かかっています(^^;。
「高い!?」
なんて感じるかもしれませんが、失われた「機能」、そして「美」の回復は容易なものではありません。
歯科の技術は保険適応のものでもそうですが、チェアタイムで歯科医師が、技工室で技工士さんが、
こうしてハンドメイドで一つずつ丁寧に心を込めて作製しているのです。
このことをご理解いただけたら嬉しい限りです(^^)
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