芳野星司 はじめはgoo!

童謡・唱歌や文学・歴史等の知られざる物語や逸話を写真付でエッセイ風に表現。

日本の報道について

2015年12月23日 | コラム

 ふと、日本のメディアは中国や韓国が大好きなのだろうかと思ってしまう。セオル号の沈没事件も、天津の化学兵器廠大爆発事件も、数日前の深圳の土砂崩落事故も、また北朝鮮ネタも、大好きなのではないか。特に報道バラエティ、報道もどき番組は連日にぎやかに報道し続けている。報道陣や行方不明家族を規制する多くの警官たちの姿も、何度も映し出されている。
 
そのトーンはやや揶揄ぎみで、中国や韓国は、杜撰で、人命を軽視し、民主化に程遠い酷い国だと言わんばかりである。確かにそうだと思うが、呆れる、揶揄するような態度はいかがなものか。日本人の、また報道機関の品位が疑われる。
 また中国の一人っ子政策が37年ぶりに見直され、二人以上でも可という報道もなされている。本当に中国、韓国、北朝鮮が、あるいは彼らを揶揄するネタが好きな国だなあと、呆れるばかりである。
 
 いいですか、韓国や中国でも、辺野古のお爺やお婆が、屈強の機動隊に排除され、あるいは蹴られているネット映像が、彼の国の報道番組にも援用されていることを思え。辺野古の海で基地新設工事に反対するピースボートの人々が、海上保安庁の屈強の海猿たちに体当たりで沈められ、その顔や頭を抑えられて海水を飲まされていることも、彼の国に報道されていると思え。
 あるいは中国や韓国でも、もちろん欧米でも、福島第一原発事故に関する日本政府や東電の情報の小出し、隠蔽に近いデータ隠し、子どもたちの甲状腺癌の異常な増加等が報道されていることを思え。
 子どもたちの甲状腺癌も作業員の白血病発症も、福島原発事故の放射能との因果関係は不明とか、はっきりしたことは言えないとか、もはや制御も解決策も不能に陥った放射能汚染水処理や海への流出も、海外に報道されていると思え。日本では政府の箝口令に近い圧力と空気で、まともな報道番組ですら取り上げられないことを思え。

 ところで中国のこれまでの一人っ子政策を、私は嘘だと思っている。なぜなら知り合いの中国人たちは皆、二人兄弟、三人兄弟ばかりだからだ。聞けば男の跡取りが必要だという理由と、日本円で百万円ほど納めれば許可が出るのだと言う。
 彼の国の一人っ子政策を、もっと子どもが欲しい両親もいるだろうにと批判した人もいたが、ひるがえって日本を思え。
 子どもの数は、経済的にも子育ての環境的にも、一人を育てるのがやっと……一人っ子政策と結果は同じではないか。二人、三人は経済的にも子育て環境的に無理。政府の子育て支援は嘘、政府は実際なんの手立ても打っていないのだから。
 
 中韓が日本より素晴らしいとは思ってもいない。ただあの得意げに揶揄するような報道バラエティの軽薄さは品位に欠け、いかがなものかということ。他国を揶揄するように、他国も同様に日本が直面している事件や課題を、自国の政治的世論操作やガス抜きに使い、揶揄しているということ。…日本の報道機関は、重大、深刻な日本の問題も、より真剣に報道せよということ…である。

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