エルミタージュのネコたちには、それぞれ名前があるのだそうだ。これまで僕が聞いたことがあるだけで、19匹を数えることができる。Тишка(チーシュカ)、Катя(カーチャ)、Тимур(チムール)、Ксюша(クシューシャ)、Васька(ワーシカ)、Лера(レーラ)、Люся(リューシャ)、Лана(ラーナ)、Влада(ヴラーダ)、Граня(グラーニャ)、Лютик(リューチク)、Дарья(ダリヤ)、Жора(ジョーラ)、Батон(バトン)、Сэр Тоби(サー・トビー)、Маркизет(マルキゼート)、Машка(マーシュカ)、Ершик(ヨールシク)、Сыночек(スィノーチェク)。
ちなみに、前回ご紹介した冬宮中庭の三毛猫の名前はまだ知らない。時間をかけて、是非全てのネコたちにお目にかかりたいと思っている。
しかし、どうも人によって、呼び名が違うようである。別に飼いネコというわけではないので、それでも構わないということだろう。例えば、体が長くて白黒のネコがいたとすると、ある人は「ナガ」と呼び、ある人は「クロブチ」と呼び、ある人は「ウシ柄」などと呼ぶようなものである。
そんな中、初めて名のあるネコに出会うことができた。女の子で、レーラという。この子は、エルミタージュの近くを流れるネバ川に面した、冬宮と小エルミタージュの間を縄張りとしている。比較的社交性の強いネコで、近寄っても逃げないで、こちらに寄ってくる。
ここエルミタージュは、値段のつけようもないような世界的に有名な絵画やら彫刻などが展示されているところなので、当然のごとく、一般の人の出入り口は限られている。レーラのいる小エルミタージュと冬宮の間にある中庭には、大きな鉄柵があって、もちろん中に入ることはできない。
レーラは、人を怖がらないので、時々、その鉄柵の外に出てきては、日向ぼっこをしているというわけである。
僕はいつも、エルミタージュの周りを3週くらいするのだが、大体いつでもレーラに会うことができる。
ネバ川沿いからの侵入者を見張る門番レーラ
時には、柵の中でまったりしていることもある。
美しい目のレーラ
この子は、外で生きるネコにしては、とても美しい。後で述べることになるが、エルミタージュのネコたちは、必ずしも幸せとは言い難い。僕は、サンクト・ペテルブルグに来るまで、あまり外で暮らすネコたちと交流を持ったことはなかった。日本には、愛するふく子(保健所から助け出され、愛護団体のシェルターから譲り受けたネコ)がいる。その前にもサバトラのシマというネコと一緒に暮らしていた。
外ネコを見ていて思うのは、飼い主がいて、暖かい家が確保され、家族から愛されて生きているネコとは、随分と目つきが異なるということだ。飼いネコよりもずっと鋭い目をしている。外で生きるネコの環境は人間が思っているよりも厳しい。サンクト・ペテルブルグは、冬にはマイナス20度以下の寒さになる。食べ物も毎日、お腹一杯食べられるとは限らない。病気になっても、病院にも連れて行ってもらえない。交通事故で命を落とすものも多い。
我が家のネコたちは、外で生まれた野良ネコの子供と、心無い飼い主に捨てられたネコだ。どちらも、家に迎え入れてまもなくと、愛情をかけて育てた後とでは目つきが全く違ってきた。一緒にいる時間が長ければ長いほど、優しく丸い目になっていく。
レーラは、そんな優しく丸い目をしていた。きっと、美術館のスタッフたちから特別に可愛がられているに違いない。だからこそ、レーラという立派な名前も持っているのだろう。
ちなみに、前回ご紹介した冬宮中庭の三毛猫の名前はまだ知らない。時間をかけて、是非全てのネコたちにお目にかかりたいと思っている。
しかし、どうも人によって、呼び名が違うようである。別に飼いネコというわけではないので、それでも構わないということだろう。例えば、体が長くて白黒のネコがいたとすると、ある人は「ナガ」と呼び、ある人は「クロブチ」と呼び、ある人は「ウシ柄」などと呼ぶようなものである。
そんな中、初めて名のあるネコに出会うことができた。女の子で、レーラという。この子は、エルミタージュの近くを流れるネバ川に面した、冬宮と小エルミタージュの間を縄張りとしている。比較的社交性の強いネコで、近寄っても逃げないで、こちらに寄ってくる。
ここエルミタージュは、値段のつけようもないような世界的に有名な絵画やら彫刻などが展示されているところなので、当然のごとく、一般の人の出入り口は限られている。レーラのいる小エルミタージュと冬宮の間にある中庭には、大きな鉄柵があって、もちろん中に入ることはできない。
レーラは、人を怖がらないので、時々、その鉄柵の外に出てきては、日向ぼっこをしているというわけである。
僕はいつも、エルミタージュの周りを3週くらいするのだが、大体いつでもレーラに会うことができる。
ネバ川沿いからの侵入者を見張る門番レーラ
時には、柵の中でまったりしていることもある。
美しい目のレーラ
この子は、外で生きるネコにしては、とても美しい。後で述べることになるが、エルミタージュのネコたちは、必ずしも幸せとは言い難い。僕は、サンクト・ペテルブルグに来るまで、あまり外で暮らすネコたちと交流を持ったことはなかった。日本には、愛するふく子(保健所から助け出され、愛護団体のシェルターから譲り受けたネコ)がいる。その前にもサバトラのシマというネコと一緒に暮らしていた。
外ネコを見ていて思うのは、飼い主がいて、暖かい家が確保され、家族から愛されて生きているネコとは、随分と目つきが異なるということだ。飼いネコよりもずっと鋭い目をしている。外で生きるネコの環境は人間が思っているよりも厳しい。サンクト・ペテルブルグは、冬にはマイナス20度以下の寒さになる。食べ物も毎日、お腹一杯食べられるとは限らない。病気になっても、病院にも連れて行ってもらえない。交通事故で命を落とすものも多い。
我が家のネコたちは、外で生まれた野良ネコの子供と、心無い飼い主に捨てられたネコだ。どちらも、家に迎え入れてまもなくと、愛情をかけて育てた後とでは目つきが全く違ってきた。一緒にいる時間が長ければ長いほど、優しく丸い目になっていく。
レーラは、そんな優しく丸い目をしていた。きっと、美術館のスタッフたちから特別に可愛がられているに違いない。だからこそ、レーラという立派な名前も持っているのだろう。
そうですね。目つきが違いますよね。ここのネコたちは微妙なんですけどね。飼い猫でもないし、野良猫でもないし。一応、温かい寝床と食事は確保できている状況。