(宮殿広場にて)
昨日、無事サンクト・ペテルブルグに戻ってきた。
空港ではマスクをした日本人の姿が目立っていたのが
印象的だった。
こちらに戻ってくるときに乗り合わせた団体観光客の
みなさまも半分以上がマスク着用。
気持ちは分かるが、正直やはりなんだか異様な感じがする。
もちろん、マスクは一定の効果があるのだろうとは思うのだが、
科学的効果とは別のなにか脅迫観念にも似たものを感じる。
インフルエンザが流行りだしたときのマスコミの煽るような
報道の仕方、罹患者や周囲に対する責任の押し付け、みんなが
やっているから、自分もそうしたほうが無難だろうという集団心理。
日本から少し離れてみると、日本固有の感覚が奇妙なものに
思える時がある。
集団で特定の人を無視するなどの学生時代に多くの人が見聞き
し、あるいは関係したであろうイジメ問題。
特定の強いものには逆らうことができず、逆らえば
自分も無視される側に回されるかもしれないという心理。
サラリーマンはスーツにネクタイ姿が常識とされ、それを
はずれると、変人扱いされる。
異常なまでの接待やサービス。日本の団体観光客の添乗員は
機中に居合わせる他の乗客のことも考えずに、機内の中で
自分たちのお客の席をくるくる回って、ご機嫌を伺う。
コンビニではお釣りをくれるときに、店員は両手でお客の差し出した
手を包み込むように渡してくれる。(気持ち悪くないか?)
1000円の床屋に行くと、従業員が全員で「いらっしゃいませー」と
機械的に言い、順番が来ると全員で「お待たせしましたー」と
言い、店を出るときにはやはり、全員で「ありがとうございましたー」
と言ってくれる。これはラーメン屋でもそうであった。
家電量販店にいくと、大勢の従業員たちが、それぞれの
商品を販売するための宣伝文句を大声で張り上げる。
きっと、声を出さないと雇い主や上司に怒られるのだろう。
でも、とにかくやかましい、騒々しい。スーパーやデパートでもその
店オリジナルソングが「じゃんじゃん買って!どんどん買って!」
と終日エンドレスで流れている。
下手をすれば、翌朝目覚めても、ダイエーのテーマソングが頭の中に流れている
ことすらある。
ゆっくり、静かに買い物ができるクラシックでも流れている家電量販店や
スーパーがあっても良いのではないかしら?
学生時代の部活動を想い出した。テニス部でも野球部でもバレー部でも
とにかくよく声を出す。これも出さないと顧問や先輩から怒られるからだ。
怒られるから、声を出す(あるいは出す振りをする)。
別に心から味方を応援しているわけでなくとも、とりあえず、声を出さなければ
ならなくなる。
ひょっとすると、こういう煽られやすく、流されやすい国民性が、
かつて我々を世界大戦にまで駆り立てた原因のひとつではないかと
さえ思ってしまう。
話が飛躍しているだろうか?
最後に、日本人固有と思われる感覚が全て悪いと思っているわけでは
ないので、あしからず。
例えば、いわゆる、ファジー(死語?)な感覚や、はっきり伝えなくとも、
お互いに感じあって分かり合う感覚などは、ときに素晴らしい能力とも思えることがある。