エルミタージュ美術館の小さな番人たち

サンクト・ペテルブルグ市にある世界三大美術館のひとつ『エルミタージュ美術館』で暮らすネコたちの様子をお届けします。

第3部 『三月猫の日』フェスティバル 3

2009年03月31日 | Weblog
さて、奥さんと一緒に冬宮の中庭でカラフルなネコたちに迎えられながら、いつものメインエントランスから美術館内を目指す。招待状があるから、今日はチケット購入の必要はない。すんなり館内へと入るところまでは良かったのだが、クロークが異常に混雑している。美術館に入るためにはコートを脱いで、大きな鞄などはクロークに預ける規則になっている。全てのクロークが一杯になってしまうと、クロークの前に人がごった返すのである。

せっかく、招待状で中に入ったのではあるが、これではいつになったら美術館の中へ入れてもらえるか分からない。タチヤナさんはずっと前から待っているというのに・・・
仕方がない。覚悟を決めて待つしかない。
奥さんと一緒に、クローク前でボケーっとしていると、突然、小さな女性が叫びながら近づいてきた。タチヤナさんだ!
「ちょっと、あなたたちこんなところで何やってるのよ!まったく!招待客なんだから、こんなところに並ばなくていいのっ!まったくもー!」といいながら、グイっと手を引っ張られ、混雑の中から脱出。

「ずっと、電話していたのにつながらなかったのよ!どこにいるかと思ったら、こんなところで引っかかってるんだから!」
その後、タチヤナさんに引っ張られながら、凄い勢いで、広い美術館内を移動し、スタッフ専用のクロークへ案内された。「さあ、ここでコートを預けたら、サッさと屋根裏に上がるわよ!」

クロークに荷物を預けると、次はエレベーターに向かう。移動中、タチヤナさんはなにやらずっと喋っている。「今日は朝から大忙しよ。」「オープニングのときは地下室から猫たちを外に連れ出したわ。それはそれは大変だったんだからっ」「ほら見て、みんながくれたプレゼント(ドライフード)」「閉会式は19:00からよ」「昨日は年金生活者のおじいさんとおばあさんが現れて、エルミタージュに40匹の猫を預けたいと言ってきたのよ!さすがに断ったけど、半分くらいは引き取ることになりそう。あとの半分は、施設に引き取ってもらうしかないわね。」「ジョーラは、良い貰い手が見つかって、今は地下室暮らしから脱出したわよ。」「インターネット上にエルミタージュの猫たちの里親探しの掲示板を作ってもらったわ。おかげで20匹以上里親が見つかったけど、また同じくらい捨て猫されちゃったけどね、もうっ。」

あら?こんなに喋るおばちゃまだったけか?なんだか、今日は興奮気味のようです。

あれよあれよという間に、謎めいたエレベーターに乗せられ、4階の屋根裏に向かう。エレベーターの扉が開くと、待っていたのがこの光景。一瞬、地下室かと見紛うような雰囲気。冬宮の屋根裏に見事な、特設展示会場が出来上がっていた。


◆冬宮の屋根裏の素敵な特設展示会場

時代を感じさせるレンガ積みの屋根裏部屋。先客が30人くらいいた。みんな、招待客なのだろう。一般会場の人ごみとは打って変わって、ここは静かな空間が広がっている。


◆エルミタージュ猫たちの写真が展示されている。一番右の写真にはタチヤナさんも写っている。


◆屋根の骨組みやら電線などが無尽に張り巡らされている。


◆サンクト・ペテルブルグのアマチュアカメラマンによる写真展示


◆エルミタージュネコをモチーフにした作品たち


◆雰囲気の良い会場だから、作品が映える。


◆猫好きが集う特設展示会


◆広い広い屋根裏


◆何が素晴らしいって、こういう猫の展示会を国立美術館で本気でやってしまうところが素晴らしい。

にほんブログ村 猫ブログ 猫 海外生活へ

第3部 『三月猫の日』フェスティバル 2

2009年03月30日 | Weblog
エルミタージュ美術館で行われる『三月猫の日』当日の3月28日(土)は、不運にも午前中に仕事が入っていた。
従って、11時から冬宮の中庭で行われるオープニングセレモニーには、残念ながら参加できなくなってしまった。あとから、タチヤナさんに聞いたところ、中庭に12匹のネコたちを連れてきて、一緒にオープニングを祝ったそうである。(もっとも、ネコたちには迷惑な話でしかなかっただろうが・・・)


◆子供たちの作ったカラフルなネコたちがお客様をお出迎え。

マスコミ向けにサービスといったところ。いきなり地下室から人前に連れ出されたネコたちは、驚き戸惑ったそうである。30分くらい、マスコミのカメラマンとフェスティバル参加者たちの目を喜ばせた後、早々に退散させたとのこと。ちょっと気の毒ではあったが、おかげで、寄付金も集まったし、選抜ネコたちは自分たちの勤めを果たしたと言えるのだろう。


◆お気に入りのネコちゃんはいたかな?

タチヤナさんにも多くの人から、カリカリや缶詰などのプレゼントが集まったようである。この日、お会いしたときも、なにやらもらったプレゼント(ネコたちへの)を両手に抱えていた。

さて、仕事を終え、遅ればせながらエルミタージュに到着すると、待っていたのは、中庭に立ち並ぶカラフルなネコたちだった。どこかの学校の子供たちが一所懸命に作ったもののようだ。
今日が『三月猫の日』のフェスティバルだと知らない人たちには、愉快に立ち並ぶネコたちの姿を理解できなかったかもしれないが、ちゃんと説明の入った立て看板も置いてあったので、心配は無用だったかもしれない。ロシア語だけなのが残念ではあったが。


◆子供たちの心はいつでもファンタジスタ

にほんブログ村 猫ブログ 猫 海外生活へ

第3部 『三月猫の日』フェスティバル 1

2009年03月30日 | Weblog
皆様、すっかりご無沙汰しております。この間、奥さんがサンクト・ペテルブルグにやってきたり、早速、その後、一時帰国をしたりで、バタバタしておりました。 今日、3月27日は、マイナス1度。まだまだサンクト・ペテルブルグの春は、先のようです。エルミタージュ美術館のネコたちも、まだ、ほとんど外に出てきていません。みんな、広大な地下室で冬眠しているようです。

===============

さてさて、そんな中、エルミタージュ美術館で1年に1回だけ行われる、あるお祭りの招待状をいただいた。
 実は初めてタチヤナさんにお会いしたときから、お願いしていたものである。3月25日に一時帰国先の日本から戻り、翌朝にタチヤナさんから電話があった。今年の『三月猫の日』の日取りが決まったから、招待状を取りに来なさいというものであった。今年の開催日は、3月28日(土)。「それって、明後日じゃん・・・」などと考えながらも、なんとか仕事の合間にエルミタージュに立ち寄り、タチヤナさんから招待状(写真)を受け取った。





内輪だけの小さなパーティーかと思っていたのだが、どうしてどうして、立派に印刷された招待状である。表紙の絵は、エルミタージュ美術館内に展示されている、ある絵画のフラグメント。ちなみに、フランス人画家ジャン・バチスト・レプレンス(1764年作)のものである。もう、この招待状をもらった時点で、私は嬉しくて感動してしまった。タチヤナさんが忘れずに覚えていてくれたこと、そして、今回のフェスティバルは、なんとエルミタージュ美術館の屋根裏部屋で行われることにますます興奮してしまうのであった。

2008年は、地下室で行われたそうである。今年は、なんと屋根裏部屋ときた!エルミタージュ美術館に4階行きのエレベーターがあることなど全く知らなかった。もちろん、通常は立ち入ることはできない。
 その他には、冬宮の中庭で『私のエルミタージュネコ展』が開催され、美術館内では学生たちの描いた絵画が飾られる。メイン会場の屋根裏部屋では、サンクト・ペテルブルグ市内のプロやアマチュアの画家による絵画展示、写真家による写真展示が行われる予定である。

いくつかのボランティア団体や学生たちが中心となって盛り上げているフェスティバルで、それにエルミタージュ側も全面的に協力しているといった感じである。

にほんブログ村 猫ブログ 猫 海外生活へ